商売のすすめ。
ー鈴音視点ー
紫音姉は、絶対好きな人に意地悪するタイプだ。
花の国の薬屋で、
「一番苦い、じゃなかった。効く胃薬をください!」
満面の笑みを浮かべていたのが、忘れられない……
でも、紫音姉より怖いのは響姉だ。
しっかりしてるように見えて、かなり抜けてる。
残念な美人って、こんな人のことを言うんだろうな……
「鈴音!いつもみたいに売り子頼めるか?」
怜燈兄にそう聞かれた。
「うん!任せて!」
「ありがとう!
じゃあ、時雨、凪、紫音、響、蓮華は向こうで水と薬売り。
桜花、鈴音、優朝、優夜は俺と花と布売りだ。
じゃあ解散!」
怜燈兄の声と共に、響姉達は移動していった。
「桜花!お花お願い!」
「うん。」
桜花姉は、たくさんの花を咲かせた。
「綺麗!」
そう言うと、桜花姉は嬉しそうに笑った。
「優朝!優夜!採取頼んだ!優しくだぞ!」
「もちろん!」
「はーい!」
「「桜花お姉ちゃん、いい?」」
「いいよ。」
優朝と優夜は、桜花姉に聞いて花を摘み始めた。
桶がいっぱいになると、
「よし!行くぞ!」
「「「「うん!」」」」
村に入って茣蓙を引くと、少しずつ人が集まってきた。
「すいません。そこの綺麗なお姉さん!
ここにお姉さんに、よく似合いそうな布がありますよ!
お時間宜しければ見ていってください!」
「あら、いい男。ちょっと見ていこうかしら?」
「ありがとうございます!
こんな綺麗な方に見ていただけるなんて、布も喜びます!」
怜燈兄が、流れるように接客を始めた。
「ねぇ、そこのおじ様!お花、お花はいかがですか?」
「お嬢ちゃん、どうしたんだい?」
「お姉ちゃんのお手伝いしてるの!お花綺麗だよ!」
「おーどれどれ?とても綺麗だ。
一束買おうかな。いくらだい?」
「えっと、銅貨五枚!」
「じゃあ、これで。」
「えっと、銀貨一枚だから、銅貨五枚のお返しです!」
「おぉ!ちゃんと計算できてえらいね!
お釣りはお嬢ちゃんがとっておきな!おじさんからにお小遣いだ!」
そう言っておじさんは去っていった。
「鈴音お姉ちゃん、相変わらず上手いね。」
「うん。すごい演技上手だ。」
双子が後ろでひそひそ話をしていた。
そう言う二人も、私と同じくらい売っているのに、
上手いもなにもないと思うけど……
気づけば、日が暮れる頃には全部売り切れていた。
「売れたね。」
「売ったね。」
優朝と優夜が楽しそうにお金を数えていた。
「怜燈兄さん!終わりましたか?」
「あぁ!完売だ!」
時雨兄が、手を大きく振りながら帰ってきた。
「蓮華どうだった?」
「……疲れました。」
そう言って蓮華は寝転んでしまった。
「ほら蓮華起きろー」
「もー無理。起きれない。」
「仕方ない。時雨、蓮華を頼んだ。」
「わかりました。」
そう言った時雨兄は、蓮華を抱え上げた。
「行こうか!」
怜燈兄は山に向かって歩き出した。
「怜燈兄さん!荷物!」
「あ!忘れてた!」
怜燈兄は走って戻ってきた。
その様子が珍しくて、私達は笑い合った。




