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十色の追想  作者: 詩庵
成立編。
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花の国へ。

ー鬼鐵視点ー

「鬼鐵さん。そろそろまた、旅を始めようと思います。」

ある晩、怜燈にそう言われた。

「そうか。では、これを持って行きなさい。」

「これは……」

怜燈の前に置いたのは、十刀の刀だった。

「これは、仮の武器だ。

お前達に渡そうと思っていた物は、まだ未完成だ。

次皆が帰って来るまでには、仕上げておこう。」

予想はしていたが、それでも早い出発だった。

この半年で完成できたのは、時雨の刀のみ。

武器を渡せぬことだけが、心残りだった。

「鬼鐵さん。ありがとうございます。

仮初だとしても、これほど合う刀はございません。

本当にありがとうございます。」

怜燈は丁寧に頭を下げ、続けた。

「それと、この刀は鬼鐵さんから皆に渡してください。

尊敬する師匠からもらうことほど、嬉しいことはないと思います。」

「そうだな。俺から渡すとしよう。」


次の日の夜、出発の準備をする時雨達にそれぞれ刀を渡した。

「いつでも帰ってきなさい。」

そう言いながら渡した。

「師匠!ありがとうございます!

「ありがとうございます。大切に使わせていただきます。」

皆、笑顔で受け取ってくれた。

そして、十人は大きく手を振りながら旅立って行った。


ー桜花視点ー

「そろそろ旅を再開しようと思う。」

ある昼下がり、怜燈兄さんはそう言った。

「どこか、行きたいところはあるか?」

皆に向かってそう聞いた。

「暖かいところがいいわ。」

響姉さんがそう言った。

「わかった。じゃあ桜花。桜花はどこへ行きたい?」

突然話を振られた。

「……」

あまりに急すぎて、答えられなかった。

いつも皆に着いていくだけだった。

兄さん達と居られればどこでもよかったから……

思わず辺りを見回すと、新緑の葉が芽吹き始めていた。


「お花……たくさん咲いてるところがいい。」

最近、花が少なくて、少し寂しかった。

「……そうだな。じゃあ、花の国に行こう!」

怜燈兄さんは少し考えて、そう言った。

「いいわね!気候も暖かいはずだし嬉しいわ!」

響姉さんも嬉しそうだった。

「美味しいものあるかな?」

「花の国がある、火の大陸は気候が穏やかなはず。

多分、あるんじゃないか?」

「そっか。楽しみ。」

時雨兄さんと凪兄さんが話ていた。

「蓮華!美味しいものだって!」

「なにがいい?やっぱカレー?」

「優朝と優夜は、そればっかり言うのね。

でも、私もカレー好きよ!」

優朝達も楽しそうだった。

こうして私達は、花の国へ行くことを決めたのだった。


出発の直前、鬼鐵先生から刀を渡された。

刃に蝶と桜が刻んであって、とても可愛かった。


天狗島を出てすぐ、私達は野原にいた。

「怜燈兄さん、ここは?」

紫音姉さんが聞くと、

「花の国近くの草原だ。」

「いや、そうじゃなくて。

どうして、いつもみたいに国の中じゃないの?」

「花の国って、外から来た人に厳しいんだ。

中に入ると、身分証みたいなの持たされるし。」

「なるほど。」

皆が納得した顔をしていた。

私達は、夜が明けるのを待って、花の国への入り口に並んだ。

検問は、思っていたより緩くてすぐに終わった。

ただその時に、番号の刻まれたカードを貰った。

「お嬢ちゃん。これは、この国では鍵の代わりになるから、なくしちゃだめだよ。」

門番のおじちゃんに言われた。

頷くと、

「よし!じゃあ、花の国を楽しんでくれ!」

笑顔で送り出してくれた。

なんだか、花の国で過ごすのが、もっと楽しみになった。

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