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十色の追想  作者: 詩庵
成立編。
80/82

色を形に。

ー鬼鐵視点ー

俺は悩んでいた。

それぞれの剣を見つけろと、課題を出したまでは良かった。

しかし、時雨達は予想以上の速さで答えを出してきた。


響の「生命」

時雨と優夜の「縁」

凪の「水」

紫音の「毒」

桜花の「花」

鈴音の「風」

優朝の「想い」

蓮華の「氷」


ほとんどがそのままだったが、何人かは意外な答えを出してきた。

ただ驚いたのは、凪だった。

「先生。俺は「水」にします。」

「魚」やら「夕飯」を言ってくると予想していた。

正直、返し方を考えていた。

それだけに、拍子抜けだった。

時雨が修正したのだろう……



俺はこの二百年以上の間、剣技だけではなく、鍛治技術も磨いてきた。

今では、かなりの腕前になった。

だからこそ、弟子の剣は自らの手で打ってやりたいのだ。

「生命」「水」「花」「風」「氷」は使用者がいた。

既に出来上がっている剣だ。

ただ、同じ物を作るのでは意味がない。

彼らにもっと合うものを作りたい。

そう思いながら、俺は刀を打つのだった。


ー怜燈視点ー

「ただいまー」

俺は恐る恐る、扉を開けた。

里から出ると、外では既に半年が過ぎていた。

入る前は桃の花が咲く前だったのに、今は紅葉が散っているのだ。

時間の流れが違うことを、失念していた。

すぐ戻るつもりだったが故の失敗だった。

行き先も言わずに消えたのだ。

皆絶対怒ってる。

扉を開けると、そこには何気ない日常が広がっていた。


「あ、兄さんおかえりなさい。用事は終わったの?」

響が微笑んで迎えてくれた。

「あぁ。終わった。それと、急に消えて申し訳なかった。」

「そうだよ!心配したんだよ!」

「怜燈お兄ちゃん。子供の成長は早いんだよ?

この半年で、どれだけ貴重な瞬間を見逃したと……」

優朝は少し怒ったように、優夜は揶揄うようにそう言ってきた。

いつもの日常だ。

「ただいま!」

俺は、改めてそう言った。

「「「「「「「「「おかえり!」」」」」」」」」


「そういえば、怜燈兄さんどうする?やっぱり「お団子」がいい?」

「え?」

凪の一言に固まると、

「凪違うだろう!主語をつけろ!」

時雨に小突かれていた。

「怜燈兄さん。この間、鬼鐵さんから自分の剣について考えろと言われまして……」

紫音がわかりやすく説明してくれた。

「なるほど。それは一度鬼鐵さんに聞いてみようかな。」

そう言うと、

「それには及ばぬ。」

いきなり鬼鐵さんが入ってきた。


「おかえり。怜燈。」

「ただいま戻りました。鬼鐵さん、色々ありがとうございます。

それで、なにかあったのですか?」

「あぁ。怜燈の剣についてだ。「月」はどうだ?」

いきなり言われた。

「月ですか?」

思わず聞き返すと、

「そうだ。「月」は俺が考えた剣だ。

だが、元々は月夜族の舞を参考に編み出したもの。

怜燈なら使いこなせるのではないか。そう思ったのだ。」

「……見せてください。」

お礼より先に、口が動いていた。

「よかろう。」

そう言って鬼鐵さんは外に出た。


鬼鐵さんの「月」は、月夜族の舞そのものだった。

全ての四季の舞を、忠実に再現していた。

「どこでそれを……」

「昔、旅をしておった頃一度だけ見たのだ。

とても美しかった。」

鬼鐵さんはそう言った。

できるはずがない。

そう思ったのに、否定できなかった。

一度見ただけで、この再現度。

寸分の狂いもなかった。


これは、俺のためのものだ。

「鬼鐵さん。私に「月」を教えて下さい。」

俺はそう言っていた。

「……もちろんだ。」

そう答えてくれた鬼鐵さんの声は、とても暖かかった。

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