表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十色の追想  作者: 詩庵
成立編。
77/82

対話。

ー怜燈視点ー

「氷炎。」

俺がそう口にすると、火球は凍り、氷槍は蒸発した。

「志彗、六花。いい加減にしてください!」

「……!申し訳ありません!」

「なんだようっせぇ、あっ……失礼いたしました。」

二人は動きを止めて、跪いた。

「別にいいです。ですが、これ以上の破壊はやめましょう。

それと、争いの火種を作って申し訳ありませんでした。」

頭を下げると、

「怜燈様が謝ることなど、ありません!

私共こそ、不要な争いを起こしてしまい申し訳ありませんでした。」

「……そうですね。元をいえば貴方様が、」

ドスッ

「海狐!なにすんだよ!」

「怜燈が謝ってるんだぞ?そうじゃないだろ?」

「チッ……申し訳ありませんでした…… 」

すぐに謝る志彗と、不貞腐れた六花。

とても対照的だった。

「皆。私の、いや俺の話を聞いてくれないか?」

静かに問いかけると、陽依、海狐、志彗、六花は一同に低い姿勢をとった。


ー海狐視点ー

「俺の話を聞いてくれないか?」

怜燈が優しくそう言った。

なのに、気づけば姿勢を正し、傅いていた。

優しそうな表情とは反対に、怜燈は有無を言わさない気配を放っていた。

「さっきも言ったとおり、俺はこの里で暮らす気はない。

だが、月夜族を見捨てたわけではないんだ。

一族のことも大切だと思ってる。

だけど、それ以上に一緒に居たい家族がいるんだ。

それに、月夜族は俺がどこに居ようと変わらない。そうだろ、六花?」

「……は、い。おっしゃるとおりにご、ざいま、す。

私は、ただ、里にいて、欲しいだけで……」

六花の体は強張り、小さく震えていた。


「六花の言ったことも、理解できなくはないんだ。

王が消えれば、次の誕生はいつになるかなどわからない。

大切に囲っておきたいと思うのは、無理はないだろう。

だが、志彗。俺は弱く見えるか?」

「いえ。先程の気術を見れば、弱いなどと申すことはできませぬ。

ですが、私共の神を慕う気持ちは本物でございます。

貴方様を謀ろうなどとは、思っておりませぬ。」

志彗の言葉に淀みはなかった。まるで、用意された言葉のようだった。

そう感心していると、

「それは疑っていない。

これまでの記憶を見れば、大切に思ってくれてるのはわかるよ。

俺は、一族を誇りに思うと同時に、哀れだと思ってるんだ。

コノハ様が封印されてから、九千年が経つがその間に何度王は変わった?」

「十代でございます。」

「そうだ。俺で十代目。

寿命はないのに、これだけ変わってるんだ。

やはり、神族は神にはなれない。

王を維持するだけではだめなんだ。」

怜燈の喋りはいつの間にか、王のように変わっていた。


「では、どうするのですか?」

恐る恐る聞くと、

「さっきほども言ったが、コノハ様の封印を解き神格をお返しする。」

「それはできませぬ!コノハ様の堕落は、人間によるもの!

人間がいる限り、存在は浄化できませぬ!

だから夕綺様は!……なんでもありませぬ。お忘れください。」

「まさか、人間を全て消すおつもりですか?」

陽依の言いかけたことを聞こうと思ったのに、

六花がすぐ口を挟んだせいで、機会を逃してしまった。


「……今は予想に過ぎないゆえ、言及は避ける。

だが、近い未来世界は大きく動くだろう。」

怜燈はそれだけしか、言わなかった。

それでいて淡々と、自我を出すことなど許さないかのようだった。

寄り添いたい。

でも、怜燈は手の届かないどこか遠くにいるみたいだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ