表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十色の追想  作者: 詩庵
成立編。
76/83

二面性。

ー怜燈視点ー

「怜燈様!どうか我らの元に戻ってきてください!」

六花がそう叫んだ。

冬の王族の長としては、珍しく感情的だな。

俺は、既に考えることをやめていた。

……ただ景色を眺めていた。


「六花殿!いくら若いといっても、もう五十手前であろう!

見苦しいことを言うでない!」

そう仲裁した志彗に、六花はくってかかった。

「なにがだよ!志彗こそ五百七十八歳のばばあのくせに!口を挟むなよ!」

「六花!お前な!女性の歳を叫ぶとは何事じゃ!」

「あぁ?事実を言ってなにが悪い?ばばあはさっさと引退しちまえよ!」

「私はまだ現役じゃ!この小童!」

「志彗さん?落ち着きましょう?」「もう帰っていい?俺眠い。」

熱くなった志彗と六花を、陽依が宥めていた。

その横では、海狐が大きな欠伸をしていた。


「陽依!黙れ!今日という今日はこのクソガキに灸を据えてやる!」

「やってみろよ!」

志彗の足元からは火球が、六花の足元からは氷槍が浮き上がった。

「あぁ。夕綺様。どうかお助けください。」

陽依はとうとう天に祈り始めた。

そんな様子を見ても、俺はどこか他人事だった。


「ねぇ、怜燈様。止めないの?」

海狐が、さもどうでもよさそうに聞いてきた。

「うーん。どっちでもいいかな。いつもこんなんなの?」

「そうだよ。陽依のじいちゃんは夕綺様が絡まなければ、まともだけど、

絡むと見ての通り、信者になる。

志彗の婆さんは、冷静に見えてありえないくらい短気。

六花はまぁ、説明するまでもないけどガキだよ。」

「なるほど。じゃあ、海狐さんも冷静に見えるめんどくさがり?」

「あはは!そうだよ!怜燈様はっきり言うね!」

海狐は、声をあげて笑った。

「怜燈様!俺のことは海狐って呼んでよ!俺は怜燈って言うからさ!

年もそんなに離れてないし、いいだろ?」

「あぁ!構わない!」

「怜燈はやっぱり若いな!素直だ!」

「そうか?そんなもんだと思ってた。」

「いいや、若いね。まだ子供だ。」

「身体ね。中身は大人だよ。」

「中身っていっても、今までの王の記憶があるだけだろ?

怜燈は怜燈。子供のままさ。

てか、そろそろ二人を止めてよ。里が壊滅する。」

「……どうしよっかなー」

ちらっと海狐の方をみると、

「わかったよ、怜燈様。どうか争いを鎮めてくださいな。」

投げやりに、海狐がそう言った。

「よし!承った!」

「いい笑顔だな!頼んだ!」

海狐の楽しそうな声を背に、俺は一歩踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ