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十色の追想  作者: 詩庵
成立編。
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師匠と弟子。

ー鬼鐵視点ー

「鬼鐵さん。私に剣を教えてください!」

いきなりそう言われた。

「なぜだ?」

「強くなりたいのです。大切な人を守る力が欲しいのです。」

そう言った響の顔は、真剣そのものだった。

「響殿。それは無理な相談だ。」

「かもしれません。ですが、どうかお願いいたします。」

彼女は、深く頭を下げた。

「……響殿。諦めよ。

貴殿に剣の才はない。断言しよう。

それに、強さは力だけではない。

響殿の治癒力。それも十分大きな力だ。」

「それでは駄目なのです!私のせいで凪を、傷つけてしまいました。

私がもっと強ければ、誰も傷つきはしなかったのです。」

「凪が未熟だった。それだけだ。響殿が気に止むことはない。」

そう言っても彼女は、引き下がらなかった。

「どうしてですか。私のなにがいけないのでしょうか。

直します!私に、剣を教えてください!」


「力が弱すぎる。」

「もっと鍛えます!毎日努力します!」

「響殿が努力できるのは、今までを見れば十分わかる。

だが、貴殿は優しすぎる。

相手は人だ。

剣を持てばいずれ誰かを、手にかけることになるやもしれぬ。

悪いこと言わぬ。やめておけ。」

「覚悟のうえです。

鬼鐵さんがおしゃったことはもっともです。

私は追われる身。殺らなければ殺られるのみ。

私が迷えば、周りに迷惑をかけるだけです。

私はもう逃げません。

私に、戦い方を教えてください!」


純粋無垢な、花のような少女。

それが響の印象だった。

しかし、

「家族のためなら、なんだってする。」

彼女はそう言ったのだ。

口だけではない。

桃色の瞳が、逸れることなく俺を見据えていた。


「……わかった。だが、俺が響殿に教えるのは、守りの剣のみ。

貴殿が誰かを傷つけることを、貴殿に家族は望まぬだろう。

それでも、構わぬか?」

「はい。ありがとうございます。

では、覚悟の証にこの髪を切らせていただきます。」

「それは駄目ー!!」

俺が止めるより速く、響の手を紫音が止めた。

「紫音。止めないで。」

「姉様!強さと髪は比例しないわ!鬼鐵さん!そうでしょう?!」

「あ、あぁ。」

「ほら!鬼鐵さんもこう言ってるんだし、覚悟は別の形で示しましょう?」

「え、でも。」

「せっかく綺麗な髪なのよ!それと、姉様の短髪は絶対嫌!」

目の前で、紫音が熱弁していた。

響もその勢いに押されたのか、頷いていた。

そして、

「鬼鐵さん。私にも剣を教えてください。」

そう言ってきた。

「紫音殿。先程の会話全て聞いていただろう。駄目だ。」

「鬼鐵さんの剣は、門外不出のものですか?」

突然そう聞いてきた。

「いや、違う。だが、私の教える剣は、適応の剣。

簡単に、習得できるものではない。」

「それなら、教えてください。

このままでは後少なくとも五人と、同じ話をすることになると思いますよ。

私達十人は、皆失う痛みを知っています。覚悟なら既に決まっているのです!」

「私からもお願いします。私達家族に、力の使い方を教えてください。」

「「「「お願いします!」」」」

いつの間に戻ってきたのか、怜燈は他の子供達も連れていた。

こう一斉に頼まれたのは初めてだ。

だが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。

俺自身も、いつの間にかこの家族を放っておけなくなっていた。

この子達のためになるのならば、断る理由はもうなかった。

「わかった。教えよう。

ただし、私の指導は厳しいぞ。」

「「「「「はい!先生!」」」」」」

そう元気な声が返ってきた。


「……皆、なにしてるんだ?」

「はぁ、はぁ、もう、無理。」

時雨だけが、状況を理解できず首を傾げていた。

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