私の答え。
ー蓮華視点ー
「ねぇ、蓮華ちゃん。話があるんだ。」
ある朝、双子のどちらかに声をかけられた。
「あなたはどっち?」
「優夜。」
「わかったわ。なに優夜君?」
「着いてきて。」
そう言って優夜は歩き出した。
優夜は森に向かって進んでいた。
「どこに向かってるの?」
「すぐそこまで。」
優夜君は、それだけしか言わなかった。
だけど、その声は上擦っているように聞こえた。
森には、もう一人の双子がいた。
「優朝君おはよう。」
「おはよう。蓮華ちゃん。」
「今日はどうしたの?」
「えっと、話があって、聞いてくれる?」
「いいわよ。」
「蓮華ちゃん。お父さん嫌い?」
いきなりそう聞いてきた。
「嫌いよ。自分勝手なところも、押し付けがましいところも大嫌い。」
「「それは違うでしょ?」」
同時に否定された。
「なんでそう思うの?」
「だって、蓮華ちゃん。怒ってないから。
グラシエ様の話の後、怒ってたけど、悲しんでた。」
「優朝君……どうして、そんなこと言うの?」
「蓮華ちゃんの心が、そう言ってた。
今だって、俺達の言おうとしてることがわかっちゃうから、誤魔化してる。」
「そんなことないわ。私にはなにもわからないわ。」
「じゃあ聞いて、実は……」
「言わないで!!」
思わず優朝の声を遮っていた。
「どうして?だって、今日の夕飯カレーって話だよ?」
「え、今なんて?」
「今日の夕飯はきっとカレーだ。そうだよな優夜?」
「あぁ間違いない。
響お姉ちゃんが鼻歌歌いながら、人参を切ってたから間違いない。」
「カレー?」
「蓮華ちゃんはカレー知らない?」
「知ってるけど……」
「響姉さんのカレーは、家族一美味しいんだ!
なんせ、隠し味に蜂蜜を入れてるんだ。あっ、これ内緒ね。」
そう言って、優夜は笑った。
「じゃあ、僕達は行くね!夕飯楽しみだね!」
そう言って二人は去っていった。
「……そうね。」
私は、知っていた。
父さんが、私達のために村を守ってるって。
ある晩、母さんと父さんが話してるのを聞いてしまったから。
だから、グラシエ様の話を聞いた時、
父さんは、そうだろうなって思ってしまった。
言ってくれればよかったのに。
もしかしたら、力になれたかも、役に立てたかもしれなかった。
悔しかった。
悲しかった。
優朝君に、そのことを言われると思った時止めてしまった。
確信を得たくなかった。
知らなければ、耐えられる。
前を向ける。
優朝君は、結局なにも言わなかった。
だけど、不思議と心は少し軽かった。
「カレー。蜂蜜カレー、美味しそう。」
今日のカレーが、楽しみになった。
ー優朝視点ー
「優朝。蓮華ちゃんどうだった?」
「ちゃんとわかってたよ。」
「そっか!それならいいんだ!」
そう言った優夜の顔は、明るかった。
俺達は昨日話し合った。
「優夜、聞いてくれ。
俺は、蓮華ちゃんに観たことを言いたくない。
だけど、蓮華ちゃんが誤解してるなら伝えたい。」
俺は優夜に計画を説明した。
そして今日、俺は蓮華ちゃんの感情に集中した。
俺が、確信を突きかけた途端、彼女は遮った。
その時、拒絶の感情と共に、喜びが見えた。
彼女はわかっていたんだ。
俺は言うのをやめた。
言えなかった。
だけど、気分は悪くなかった。
「なぁ、カレーってほんと?思いつきだったんだけど。」
「だと思って昨日のうちに、響お姉ちゃんに頼んでおいた。」
「流石、優夜はわかってるな!」
「でしょ!」
目を合わせ、俺達はまた笑い合ったのだ。




