理解者。
ー優朝視点ー
……なんで、どうして、わかってくれないんだ。
俺は戸惑っていた。
いつもは言わなくても、わかってくれる優夜。
だけど今日は、全然伝わらなかった。
確かに蓮華ちゃんは、父親に愛されていた。
だけど、蓮華ちゃんの父親は最後まで表に出さなかった。
彼は、蓮華ちゃんが知ることを望んでいないはずだ。
それに、知ることは知らないより残酷なこともあるんだ。
知ればきっと彼女は自分を責めるし、親を恋しがるだろう。
だけど、親はもういない。
どれだけ求めても、返ってはこない。
「もういないんだよ。」
そう小さく呟くと、
「なにが、もういないの?」
いつの間にか優夜が後ろに立っていた。
「優夜。なにしに来たんだよ!」
思わずそう言うと、
「優朝と話に来た。怜燈兄さんがちゃんと話せって。」
優夜の声は、拗ねているようだった。
「そんなに嫌なら、来なくてよかっただろ!」
「そしたら、優朝と一緒に居れなくなるじゃん!!
なんでわかってくれないの!!」
そう言った優夜は、声を上げて泣き出した。
「なんで泣くんだよ!わかってくれないのは優夜だろ!!」
思わず声を荒げると、優夜は火が付いたように叫び出した。
「なんで、なんで!
もう僕のこといらないの?嫌いになったの?」
「そんなことは言ってないだろ!」
「言ってるもん!そう聞こえるもん!」
「言ってない!勝手にそう思ってるだけだろ!!」
抑えきれない。
溢れる。
そう思った直後、
ゴンッ「やめなさい。」
静かな声が響き渡った。
「「痛い!誰?!」」
「俺だ。」
「「怜燈お兄ちゃん!痛いよ!」」
「それはすまなかった。だけど、優夜。
俺は話をしてこいとは言ったが、暴走させてこいとは言ってないぞ。」
「え、暴走?」
「そうだ。優朝の力が暴走しかけてた。」
「あ、ちが、僕は、そんなつもりは……」
「だとしてもだ。優夜……」
「違う!優夜は悪くない!優夜を怒らないで!」
気づけばそう叫んでいた。
「じゃあ、優朝が悪いのか?」
「違う!優朝は悪くない!僕が悪いんだ!」
今度は俺を庇うかのように、優夜が前にでた。
「……なら、喧嘩両成敗だ。」
今度は優しく小突かれた。
「優朝。ちゃんと話さないと伝わらないこともあるぞ。
優夜。変に勘ぐりすぎるのも良くないぞ。
二人とも、叩いて悪かった。今度は、ちゃんと話せよ。」
そう言って怜燈お兄ちゃんは去っていった。
「優夜……」「優朝……」
「「あっ、先いいよ。あっ」」
「また被っちゃったね。」「揃っちゃったね。」
俺達は声を上げて笑った。
その声は、しばらく森に響いていた。
「ねぇ、優夜。聞いてくれる?」
「なぁに?」




