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十色の追想  作者: 詩庵
成立編。
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考え。

ー優夜視点ー

「蓮華のお父さんは、ちゃんとお父さんだったんだね。」

顔色の悪い優朝にそう言うと、

「そうだな。だけど、伝わらないならその思いは無意味だ。」

冷たくそう返された。

「そうだね。でも、僕達なら意味のあるものにできるんじゃない?」

「どうして?」

「僕達の力があれば、届かなかった思いを届けられるよ!」

「それに意味はあるのか?」

「少なくとも、悪いことをするよりはきっと良い。」

「相手が望んでいなくてもか?」

「記憶も感情も、考え方なんて皆違う。

あるものをどう使うかは、使う人次第だよ。

救われない人もいるかもしれないけど、救われる人もきっといる。

蓮華ちゃんにこれは届けた方が良い。少なくとも僕はそう思う。」

「彼女にとっては、恨む方がきっと楽だと思う。」

「どうして?」

優朝の言葉の意味が、わからなかった。


「優夜。今日観たことは、怜燈お兄ちゃんだけにしか言うな。

わかったか?」

「わからない。どうしてそんなこと言うの?」

「優夜には、わからないよ!」

優朝はどこかへ行ってしまった。

俺は仕方なく怜燈お兄ちゃんのところへ戻り、観たことを伝えた。


ー怜燈視点ー

「優朝、優夜一つ頼まれてくれないか?」

双子に、過去を観てもらった。

その過去は、想像とは少し異なるものだった。


「ねぇ。怜燈お兄ちゃん。お兄ちゃんは過去を知ってどうするつもりだったの?」

そう、優夜に聞かれた。

「どうって?伝えるかってこと?」

「うん。でも、優朝は伝えるなって怒っちゃった。

どうして優朝は怒ったの?」

「うーーん。優夜はどうしてだと思う?」

「わからない。僕は伝えてあげた方が良いと思うもん。」

優夜は拗ねた口調でそう言った。

俺は、伝えるつもりはなかった。

だけど、

「優夜。優夜はどうして伝えてあげたいと思うの?」

「だって、わかったら悲しくないでしょ?

愛されていたってわかったらきっと、蓮華ちゃんも喜ぶんじゃないの?」

優夜らしい答えだった。


「優夜が同じ立場だったら知りたい?」

「うん。」

「そっか。じゃあ伝えるか伝えないかは、二人で決めるんだ。」

「優朝は嫌って、言ったよ。」

「優夜は伝えてあげたいんだろ?」

「うん。」

「二人で得たものだ。俺が決めちゃ駄目だ。

だから、二人で納得できる答えを探すんだ。」

「……わかった。優朝とちゃんと話すよ。」

諦めたように、優夜は去っていった。


双子が揉めるなんて珍しい。

だけど、これは二人に必要な事だと思う。

優朝は今を、

優夜は未来を見ているのだろう。

正解なんてどこにもない。

あるのは、己の正義だけなのだ。

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