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十色の追想  作者: 詩庵
成立編。
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砦。

六歳に口で負けたことより、優夜の「純粋じゃない」

と言う言葉の方がダメージが大きかった……

「わかった。だが、ちゃんと俺の指示に従うこと。

それが約束できないなら置いて行く。わかった?」

「わかりました。」

「「わかった!!」」

「本当に頼んだぞ?!」

そう言って、俺は三人を連れて翔んだのだった。


「怜燈兄さん、ここは?」

「連中の拠点近くの山だ。あそこの砦が拠点だ。」

「どうしてここだと?」

「秘密だ。それより、優朝と優夜はここから援護だ。時雨は俺と一緒に行くぞ。」

「「なんで?!」」

「ここからでも、十分力は使えるだろ?それくらいは兄ちゃんでも知ってるぞ。」

「ちぇ、わかったよ。」

「いい子だ、ありがとう。ここからなら好きにしていいぞ。

ただし危ないと思ったらすぐ逃げること。」

「わかった!怜燈お兄ちゃんと時雨お兄ちゃんも気をつけて!」

「気をつけてね……」

「頼むから、危ないことはするなよ?!!!」

「「うん!気をつける!!」」

優朝と優夜の言葉に、俺と時雨はそれぞれの応えを返し砦へ向かった。


「兄さん、これを。何もないよりはいいでしょう。」

時雨から、ひょっとこのお面を渡された。

確かに、と思いながらも、複雑な気持ちでお面を見ていると、

時雨はおかめのお面をつけ、

「どうかしました?」

と言ってきた。

「いや、ありがたいけど、なんでこれなのかなーーって」

「ああ、これですか?こないだ市場で買ったやつです。可愛いですよね!」

「……ああ、うん。」

いろんな言葉を飲み込んで、俺は頷いた。

今度、時雨の美的感覚について、一度話し合おう。

そう心に決めた。


「それじゃあ、行く……」

「ぎゃーーー!!」「うわーーーーーーーー!」

突然、叫び声が響き渡った。

「……優夜だな。」

「ですね。」

「俺達も行こう。」

俺達は砦に侵入した。


侵入してすぐ見たのは、この世のものとは思えない景色だった。

人が、いたる所に倒れていた。

「あ、あ……やめてくれ……」

「殺してくれ、殺さないでくれ、殺してくれ……」

泡を吹いて倒れている者もいれば、

奇声をあげて走り回る者、

自傷行為に走る者までいた。

「えぐ……」

時雨が小さく呟く声が聞こえた。

俺も少し引きつつも、奥へと向かった。

奥には力が届いてないのか、俺達を見た途端武器を持った人間が沢山出てきた。

「侵入者だ!!」

「商品を逃すな!!」

「人を集めろ!!!」

様々な声が聞こえた。

中には、俺達の体格をみて安心したのか笑みを浮かべる者もいた。

先に動いたのは、時雨だった。


時雨は一瞬で間合いを詰め、敵の首を飛ばした。

苦しむ暇すら与えなかった。

ただひょっとこの歪んだ笑みだけが、血の中で浮いていた。

俺も負けじと、気術を使い応戦した。

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