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十色の追想  作者: 詩庵
出会い編。
51/73

女神の記憶。

ー時雨視点ー

(……怒涛の勢いで話が進んで終わった。

怜燈さんは突如どこかに言ってしまった。どうしよう……)


ー怜燈視点ー

「……どうしてこんな事に。」

「いた!……アウラ様!大丈夫ですか……」

突然の声に驚いた。

「……!どうしたんだい?」

「アウラ様が心配で……」

「あー、安心したまえ。

今、君の家族の居場所は探っている。もう少し待ってくれ。」

「いえ、そうではなくて……」

「違うのか?」

「いえ、家族のことも心配ではあるのですが、

それよりアウラ様の事が心配で追いかけて来ました。大丈夫ですか、御子息のこと。」


「……面倒事に巻き込んですまないね、神としても母としても不甲斐ないよ。」

「そんな事はありませんよ、私は貴方に救われたことがあります。

それに今だって、私の事を助けてくださっているではないですか。」

「……そんな事はないよ、ただの気まぐれさ」

「気まぐれで、ここまで神はしませんよ。」


「……そうか。そうなのだな。勉強になったよ。ありがとう。」

そう言ってアウラは黙ってしまった。


ーアウラ視点ー

私はどこで間違えたのだろうか。

あの日、あんな事をしなければあの子は苦しまずに済んだのだろうか。


〜五万年前〜

「アウラ!調子はどうだい?」

「普通だ。そう言うアクアはどうだ?」

「普通か〜。俺は元気だよ!それにアウラに会えたからもっと元気になった!」

いつもの会話、懐かしい記憶が蘇る。


クレアシオンが世界を創造し、

神六柱を創り出してからしばらくは、私達は七柱で楽しく過ごしていた。

広い世界。

毎日代わり映えのしない平和な日々だった。

私達は皆お互いの事を愛していた。

それは、クロノスとラニがくっついても変わらなかった。

しかし、彼らがくっついたのをきっかけに私は、アクアの事を意識するようになっていた。

その時はただ、何となく目で追ってしまうというだけだったが、

今思うとあれは、家族愛が恋愛に変わったからだったのではないかと思う。


アクアといたい。

いつも一緒にいるはずなのに、その気持ちは次第に強くなっていった。

その時のアクアは、クールなようで誰よりも懐っこい性格だった。

毎日皆に話しかけて楽しく遊ぶ。

そんな生活を送っていた。

そんな日常に変化が訪れたのだ。

クロノスとラニの子である新しい神ファスルの誕生だった。

兄と姉の子であるファスル。

可愛いと思った。

それと同時に私も、アクアと……

私の思いは加速していくばかりだった。


ある日のこと

「アウラ!おはよう!!」

「おはよう。アクア。こんな早い時間からどうしたんだ?」

「そうそう!聞いて聞いて!アウラ!俺と子を作ろう!!」

「え、えー?!な、なな、な急にど、どど、どうしたんだ?!///」

「どうしたの?急に大声なんてだして?」

「どうしたって今、自分がなに言ったのかわかってないのか?///」

「え?だから子を作ろうって言ったんだけど俺、変なこと言った?」

「変て、私達は兄妹だ」

「そんなことはわかってるよ!クロねえとラニにいもそうじゃん!」

「そうだが、私達はその、あ、あ愛し合ってないのだぞ!」

「そうなの?!俺だけがアウラのこと好きだったの?」

「い、いや、私も、その、な、アクアの事は、スキダ、ケド、心の準備がその、な」

「えーそんな事気にしてたの?

大丈夫!俺ちゃんとできるからさ任せてよ!」

「///ちゃんとってアクア、経験なんてあったのか?」

「ううん!クロねえとラニにいに聞いた!」

「聞いた!?」

「うん。じゃないとわかんないじゃん!なんか今日のアウラ変……?」

「いや、そんな事はない。アクアがそこまで言うなら、べ、別に嫌じゃない。」

パァァ

そう言った瞬間、アクアはとても嬉しそうな顔をした。

「じゃあ決まりね!早くしよ!!

アウラはここに立って、俺と同じくらいの力をここに注いで!」

そう言ってアクアは小さな水滴を私との間においた。


「あ、ああそういうことね……」

ようやく、アクアの言っていることを理解した。

私達神は、神格を混ぜ合わせることでも新しい神を創れるのだ。

私は少し寂しいと思う一方で、アクアらしいと思った。

そんな過程で誕生したのが、私とアクアの神格を併せ持ったグラシエだった。

最初のうちは子というより、何かを作ったという感覚だった。

しかし、次第にグラシエを大切に思うようになった。

一方的な片思いだったが、二人の子であるグラシエが生まれたことで私は満足していた。

それは厄災が過ぎ去った後でも変わる事はなかった。


言い訳になるかもしれない。

しかし、あの時の私は、私達は余裕がなかったのだ。

破壊神ヘレス。

私達神が創り出した四属性を持つ神であり、失敗作。

いや、私達の欲が生み出してしまった、罪の証だ。

ヘレスが生まれた事で、世界は混沌となった。

火は破壊の炎となり、

水は濁り、

風は澱み、

土は生命を失った。

私達が創り出した存在。

私達に止める術などなかった。

その結果として、父であり、母であり、最愛でもあるクレアシオンを、

姉であるクロノスを、兄であるラニを失ったのだ。

正気ではいられなかった。

私達が、私が殺したのだ。

私は、異空間に閉じこもり来る日も来る日も泣き喚いた。

それこそ、アクアもグラシエも目に入らぬくらいだった。

時間は過ぎ、感情は薄れ、記憶は曖昧になっていった。


久々に視た世界は、大きく変容していた。

私達が暮らした楽園はどこにもなかった。

人が力を持ち、神族を虐げていた。

その世界に、アクアの姿はもうなかった。

信じられなかった。

違う。アクアはその姿を変えていたのだ。

三神を失ったアクアは絶望した。

その結果、贖罪としてその身を水に変え、全てを浄化するという選択をしたのだ。

あの時の私の想いは、口にするまでもなかっただろう。

空は暗くなり、風が吹き荒れ各地で、災害が起こった。

また数年を浪費してしまった。

それからの私は、何をするにも無気力だった。

異空間に閉じこもり、何もしなかった。

唯一動いたのは、鈴音に加護を与えた時だった。

そんな鈴音にすら、私は酷いことをしてしまった。

謝っても謝りきれないな……

そして、グラシエにも……

私はあの子に寄り添ってすらあげられなかった。

その結果がこれだ。

他人に迷惑をかけるな。

なんて私が言えた口じゃないな。


「アウラ様!アウラ様!しっかりして下さい!」

「あっ、すまない。私としたことが、考え事に夢中になり過ぎてしまったよ。」

「……いえ、お気になさらず。

それと、人は間違えます。

それは、人を創った私達も例外ではないのかもしれませんね。

私はこれで失礼します。

あの子達のところへ行かなくては、響と凪のことお願いします。」

そう一礼して怜燈は去って行った。


怜燈は私の事を責めなかった。

責めてくれた方がずっとマシだった。

「言い忘れてました!全部終わったら、アウラ様もお説教です。」

いきなり戻ってきた怜燈に、そう言われた。

あぁ、怜燈は私を責めないのではない。

選択しているのだ。

私も見習わねば、そう思い私は転移したのだった。

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