違い。
ー怜燈視点ー
グラシエはそう話を結んだ。
……見守る?
どうして、助けてやらなかったんだ。
言いたいことがあり過ぎて、言葉にならなかった。
そう感じたのは、どうやら俺だけではなかったらしい。
スパーン!
またもやすごい勢いで、アウラの平手打ちが、今度はグラシエの頬にきまっていた。
「この馬鹿息子!!お前は何をしていたんだ!
さっきから馬鹿だとは思っていたがここまでとは……」
「……お母様?!どこに問題が?」
「はーーーー、お前そんな事も分からないのか?全てだよ。」
「どういう事でしょうか……」
「なんでも聞けばいいと思うなよ?自分で考えな!」
目の前でそんな会話が繰り広げられていた。
このままでは拉致があかない、そう思い俺は発言する事にした。
「口を挟むことをお許し下さい。グラシエ様。
アウラ様が問題だと仰った事は先程の話で三つございます。
一つ、気軽に神族を創ってはいけません。
これは簡単な話です。
眷属と言えど、意志を持った存在であることに変わりはありません。
そんな生命を創るという事には責任が伴います。
実験感覚で創ってはいけないのです。
しかし、孤独が辛いというのも事実でしょう。
ですから、この件についてこれ以上言うつもりはありませんが、
この事をお心に停めていただければ幸いです。
二つ、能力の使い方です。
先程仰られたように、我々神が行う瞬時的な移動では、物質のあるなしが関係してきます。
私で言えば月の光、アウラ様なら空気。グラシエ様なら雪でしょうか。
その時雪が降っていなかったため、瞬時な移動が出来なかった。
と言うのは間違いではありません。
しかし、貴方は出来たはずです。
雪と言っても降っているだけが雪ではありません。
積もっていても雪は雪です。
移動出来なかったと言うのは貴方様の言い訳です。
能力が使いこなせていないことを、露呈させてしまうだけなので今後はお控えください。
三つ、封印を解かなかった事です。
この子、蓮華に施されていた封印は彼女の兄、貴方様の眷属が施したものです。
それならば主人であり、力の源流でもある貴方様に解けないはずがありません。
それに守ろうと思ったのならば、吹雪を使ったのは悪手です。
それでは自分の失敗を隠そうとしているようにしか見えません。
以上です。
追加で言わせてもらうと、貴方様は傲慢過ぎます。
出来るはずのとこをせずに他人に責任を擦り付け、自分本位の価値観を押し付けているだけです。
それではただの、玩具で遊ぼうとして壊してしまったから隠そうとする子供と大差ありません。」
「…………」
そこまで言うとグラシエは黙り込んでしまった。
「よう言った!怜燈!それでこそ月の王だ。歳を食ってるだけあるな!
そしてグラシエ、今言われたことわかったか?」
「……いいえ、分かりません。
私はこの者、いえ、月の王にそこまで言われるほど悪いことをしたとは思えません。
彼は先程一方的に私の悪い所を言っていました。
ですが、私が本当に手を抜いたとお母様はお考えですか?
神族を安易に創るなと言われましたが、元々私も安易に創られた神の一柱です。
それに安易に創った眷属でも助けようとしたり、守ろうとしたりはしていました。
それなのに、どうしてこれほど責められるのですか?」
「……グラシエ、お前はそんな風に感じたのか……」
そう言ったアウラの顔はとても悲しそうだった。
「怜燈、此度はこんな事に巻き込んですまなかったね。
ほんとに申し訳なかった。
怜燈の家族に関しては、私が責任をもって連れてくるから待っていてくれ。
ほんとに申し訳なかった。」
深々と頭を下げてそう言うとアウラはフッと消えてしまった。
しかし、気配はまだ近くにいるようだった。
俺は蓮華を抱えてアウラの元へ向かった。




