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十色の追想  作者: 詩庵
出会い編。
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氷雪の神族。

「ここには昔、白霧村という村がありました。」

そう言ってグラシエは語り始めた。


今は雪に埋もれて見えませんが、そこは雪の止むことのない村でした。

普通こんな気候の悪い所に村があっても、すぐに無くなってしまいます。

ですが、この村は無くなることはありませんでした。

それは、私の眷属である氷雪族が居たからでした。


氷雪族。

その起源は、私が誕生してからしばらくたったある実験でした。

母である風神 アウラ、

父である水神 アクア。

二柱から離れてから、私はこの山のもっと先にある雪の深い場所で過ごしていました。


最初は何も思いませんでした。

しかし、少しずつ孤独を感じるようになりました。


気づけば私は、他の神々の真似をして眷属を創っていました。

はじめは動物にしようと思っていました。

ですが、創るうちに楽しくなりいかに自分に似せれるかを追求していました。

こうして生まれたのが初代氷雪族の長イエロでした。


偶然の産物に驚きながらも嬉しく思い、大切にしていました。

「グラシエ様!見て下さい!今日は大物ですよ!」

「あぁ。流石だな。」


「グラシエ様!家族ができました!」

「おめでとう。」


「グラシエ様!村というものを作ってみました!」

「おっおう。すごいな……」


気づけばイエロは私の加護を受けさらに強くなり、

同族を増やし小さな集落を完成させていました。

それが今の氷雪族が暮らす村になりました。


私の眷属と言えど半分は人です。

ずっと村で暮らす者もいれば、外の世界に行く者もいました。

私は別に、外の世界との関わりを禁じてはいませんでした。

そればかりか、外に行った眷属を通じて見る他の国を面白く思っていました。

そんな事を続けていたある時、

外に行った眷属の一人が、神族である事を理由に酷い攻撃を受けました。


慌てて助けに向かいましたが、

母のように、瞬時にどこにでも行けるわけではない私は、とても時間がかかってしまいました。

そんな時に眷属を助けてくれた人間がいたのです。

それが白霧村の人間でした。


「人間よ。私の眷属を助けたこと、褒めて遣わそう。」

「い、いえ。私どもは人として当然のことをしたまでです。」

「謙遜せんでも良い。して人間よ、何か望みはあるか?

此度の礼だ。望みを叶えてやろう。」


「でしたら、この村を存続できるようにしてはくださいませんか?

ここは雪が止むことはありません。このままではいつか滅ぶでしょう。

ですが、ここは私どもの唯一の故郷なのです。

できるならば、どうかお願いいたします。」

そう言って人間達は深く頭を下げました。


雪を止めること自体は難しくありません。

ですが私は氷雪を司る神であり、雪を生み出しているわけではありません。

できるのは、意識を向けて操作することだけでした。

しかし、ずっと白霧村に意識を向け続ける事は現実的ではありませんでした。


「グラシエ様。私に任せてはくださいませんか?」

「なに?」

「グラシエ様のお手を煩わせた身ではありますが、貴方様のお役に立ちたい。

それに、この村なら助けたいと思うのです。」

助けられた眷属が、自身がその操作を行うと申し出ました。


私の眷属は、私の力の一部を扱うことができます。

悩んだ結果、眷属の意見を採用することになりました。


私は、最初に白霧村に住むことになった眷属「ニクス」に、

この辺一帯の雪を操作出来る力と、万能薬になる花を与えました。

それが最初の守護者と雪蓮花でした。


神族といえど十世代を超えると、神血が薄まりさらに人に近くなります。

そのため、この村に派遣される者達は力を持つ者が五十歳を迎えると、

生まれた里に帰り次の守護者に力を渡し世代交代を行うという流れでした。

その周期が確立してからは、上手くやっていると思い白霧村を視る事が疎かになっていました。

その結果が此度の事件に繋がりました。


人間の信仰心は永遠ではありませんでした。

分かってはいましたが、こんなに速いとは思いませんでした。

事態に気づき、駆けつけましたが手遅れでした。

麗は既に息絶え、叶和もほとんど死にかけていた。


「グラシエ様。申し訳ありません。私が力を使いこなせなかったばかりに……」

「よい。もう余計なことを言うな。お前は生きることだけを考えろ。」

「ですが、私の役目は……」

神力を流し込み延命を試みましたが、その効果もなく彼は息絶えました。


叶和と麗の気配を辿り、残された子供達を探しに行きました。

ですが、見つけられたのは氷漬けになったこの子だけでした。

以来、長い期間この子を見守っていました。

そして先程封印が解けるのを感じてここまで来た次第です。

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