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十色の追想  作者: 詩庵
人間と神族編
150/160

家族。

ー紫音視点ー

「皆ー!終わったかー?」

怜燈兄さんが叫んでいた。

「結界は終わったわー!」

「死体の処理も多分、大丈夫!」

「こっちも大丈夫だよ!」

皆終わってるみたいだった。

「姉様、これでもう安全なのよね?」

「そうね、弱い存在は入ってこれないけど、

術を見破れるような存在がいたらわからないわ。」

「じゃあ、もっと安全にするにはどうすればいいの?」

「この世に完全な安全は存在しないのよね、

だから私達は備えることしかできないのよ。

でも、さっきみたいな襲撃はしばらくはないはずよ!」

姉様は私を元気付けるようにそう言っていた。

「さ!紫音、桜花、怜燈兄さんのところに戻りましょ!」

怜燈兄さんのところには、既に優夜以外の家族が集まっていた。

「怜燈兄さん、優夜は?」

そう聞くと、怜燈兄さんはちらりと優朝に目線を流した。

「優朝、知ってるの?」

「え、紫音お姉ちゃん、やだなー。

俺達は双子だけど、片割れのしてることが全部わかったりはしないよー!」

優朝は笑って誤魔化していた。

「それもそうよね。

だそうよ、怜燈兄さん。」

「まぁいいさ。今こっちに向かってるみたいだからさ。」

そう言った次の瞬間、優夜が草むらから出てきた。

「優夜、遅かったね、一体何をしていたんだい?」

怜燈兄さんは、そう言って優夜を見つめた。

「何って、襲撃者の記憶を調べてたんだよ。

思ったより人数多くてさ。」

「優夜、俺が聞いてるのはその後、人間と何してたんだい?」

「え……」

「優夜、俺は怒ってないよ。聞いてるんだ。

だから、優夜の気持ち教えて?」

怜燈兄さんの言葉はとても優しかった。

けれど、実際自分が向けられたいとは思えなかった。

「えっと、その、別に大したことは……」

「怜燈お兄ちゃん!優夜を怒んないで!

別に優夜は、家族を裏切ってなんかいないよ!

なのに、どうしてそんな言い方するの!」

優朝が優夜を庇うように怜燈兄さんの前に立った。

けれどその身体は震えていた。

「……え、ごめん。

別に、俺は怒ってなくて、その……」

怜燈兄さんはハッとしたかのように動揺していた。

「怜燈兄さん、落ち着いて。」

すぐさま姉様が、怜燈兄さんの背中を撫でていた。

「優朝、優夜、怜燈兄さんは怒ってはないと思う。

ただ、優夜が人間に自分から会いにいってたから知りたかっただけだと思うぞ。」

「うん。多分、怜燈兄さん、人間嫌い、じゃない。」

時雨と凪が双子を慰めていた。

「でも、言い方いつもと違って……」

「そんな日もあるさ。」

「僕、ここに居ていいの?」

「当たり前だ!優夜の家はここだ。

家族もここにいるんだ。それは考えが違っても変わらないよ。」

「そうだよ。先生が言ってた。生き物、十人十色って。」

「その後、違いを知り、理解をしろともな。

大丈夫、俺達は絶対に優夜を捨てたりしない。

そうだろ?優朝。」

「うん!!俺は優夜と絶対離れない!

例えここに居られなくなっても俺は優夜といる!」

「優朝!」

優夜が優朝に抱きついていた。


「姉様、これどうするの?」

「どうって?」

「男だけで、熱い会話してるわ。」

「いいじゃない!そう言うのも素敵だと思うわ!」

「そうよね!流石姉様!」

「……紫音、なんでも私に同調しなくていいのよ?」

「同調じゃないわ!私は姉様に共感したのよ!」

「そ、そう?ならいいけど。」

姉様は、少し驚いていた。

「あ、怜燈!落ち着いた?」

「響、ごめんな。なんか気持ちが昂ぶり過ぎてたみたいだ。ありがとう。」

「いいのよ。」

「優夜も詰めるようなことしてごめん、優朝止めてくれてありがとう。」

怜燈兄さんは、頭を下げていた。


「えっと、話しを戻すんだけどさ。

まず、俺は人間のことを嫌えないんだ。」

怜燈兄さんはいきなり、とんでもないことを言い出した。

「怜燈兄さん!それは一体どう言うこと?!

人間がしたこと忘れたの?!」

「紫音、落ち着けって、そう言うことじゃないんだ。

世界の決まりとして、神と神族は、人間を愛するように創られてるんだ。」

「どう言うことなの?」

「創造神がそう定めたんだ。

この決まりは変えられない。

わかりやすく言えば、主として定められた神誓約なんだ。」

「じゃあ、怜燈兄さんは人間のこと好きなの?」

「それは、難しいんだけど、嫌えない、が正しいんだ。

その傾向は、神力が強い程強く出る。

俺達は、人間を愛するように、最初から作られたんだ。」

怜燈兄さんの言ってることは、わけがわからなかった。

ただただ困惑してしまった。

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