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十色の追想  作者: 詩庵
人間と神族編
145/159

目的。

ー時雨視点ー

「怜燈お兄ちゃん、僕達少し出かけてくるね。」

優夜達はそう言って出かけようとしていた。

「ちょっと待て。どこいく気だ?」

「すぐそこだよ。」

「すぐそこってどこだ?」

「……聞きたいの?」

「そうだな。」

「うーん。決めてないや。ただの夜の散歩!」

優夜は平然と笑った。

「優朝、どこ行くんだ?」

「え、俺?」

「優朝も一緒に行くんだろ?」

「う、うん。」

「どこへ行くんだ?」

「夜の散歩だよ?」

「ちょっと!怜燈お兄ちゃん!僕のこと信じてくれないの?!」

「二人が本当のこと言うならこんな聞かないさ。」

「「……怜燈お兄ちゃんは、僕(俺)達のこと疑うの?」」

「その通りだよ。さっさとはけ〜。」

「怜燈お兄ちゃん、やめてよー。」

「怜燈お兄ちゃん、ほんとだよー。」

三人は仲良く戯れているようで、探り合っているようにも見えた。

「……わかった。行くのはいいが、時雨と行きなさい。」

「「えーー……」」

「えーじゃない。時雨と行くなら行ってもいいぞ。」

「だって、あ、時雨お兄ちゃんが嫌なわけじゃないよ!」

俺に気づいたのか優夜が慌てて弁明した。

その横で優朝も首を大きく縦に振っていた。

「わかってる。安心しろ。」

「ありがとう!」

二人はほっとしたようだった。

「怜燈お兄ちゃん、でもさ、

ここで時雨お兄ちゃんが皆から離れるの駄目じゃない?」

「大丈夫だ。すぐそこなんだろう?」

「う、うん。そうだよ……」

なんとかしようとした優朝が、怜燈兄さんの圧に負けていた。

「時雨もいいよな?」

「はい。」

俺も思わず返事してしまった。

「怜燈兄さん?姉様が……どういう組み合わせ?」

怜燈兄さんを呼びに来た紫音が首を傾げた。

「あ、紫音か。響がどうしたんだ?」

「姉様が、明日のご飯は簡単なものでいい?って」

「あぁ。大丈夫だ。ありがとう!」

「はーい。そういえばなんの話しだったの?」

「優朝と優夜が夜の散歩行くって言うから、止めてたんだ。」

「なるほど、私も着いて行こうか?」

「え……別にいいよ!」

「そうそう!紫音お姉ちゃんはゆっくり休んで!」

「別に大丈夫よ!大したことないわ。

それに夜は危ないわ。」

紫音が嗜めるように言った。

「や、でも……」

優夜の声は、なんだか嫌そうに聞こえた。

「優夜、優朝。

俺達は何を見ても二人のこと嫌いにはならないよ。」

「それは、わかってるよ。」

「わかってるよ、怜燈お兄ちゃん。」

「それは良かった!じゃあ四人で仲良く行くんだぞ!」

怜燈兄さんが強引にまとめた。

「「はい……」」

二人は渋々頷いていた。

こうして、俺達四人は夜の森へと向かった。


森の中は、真っ暗だった。

月の光が、静かに森を照らしていた。

「なぁ、紫音。どうして着いてきたんだ?」

こっそり紫音に聞くと、

「時雨は、わかっててついてきたんじゃないの?」

少し驚いたような顔をされた。

「いや、俺は怜燈兄さんに言われて着いてきただけだ。」

「そうだったのね。なんでもないわ。」

「紫音?」

「時雨お兄ちゃん、紫音お姉ちゃん。

二人とも先戻っててよ。」

優朝にいきなりそう言われた。

「どうして?」

「えっと、危ない、から?」

「じゃあ尚更帰れないわ。」

「俺達は危なくないよ。」

「うーん。私、怜燈兄さんに逆らえないからなー、難しいな!」

紫音が笑顔で押し切ろうとした。

「紫音お姉ちゃん!お願いだから帰って!」

「いやよ?」

「もう……どうしたら帰ってくれるの?!」

「優朝と優夜が大人しく帰ったらよ。」

「俺達は帰らないよ!」

「私達も帰らないわ。」

「なんで?!」

「うーん。お姉ちゃんだから?」

「関係ないよ!」

「関係はあるわよ?

弟の親戚だもの。挨拶しなくちゃ!」

「え、今、なんて……?」

「え?挨拶しなくちゃって。」

「その前。」

「弟の親戚?」

「なんで……」

「そんなの簡単なことよ。

輝鞠の記憶を見てればわかるわ。」

紫音はさも当たり前のように言ってのけた。

その洞察力の高さに驚いた。

「そんなこんなで私達は着いて行くわ。

別に、私が行きたいから行ってるのよ?気にしないで!」

「知ってるのに、どうして?危ないのわかるでしょ?!」

「わかってるわよ。

でもそれ以前に、私達は二人のお兄ちゃんとお姉ちゃんよ。」

「それは、危ない目にあっていい理由にはならないよ!」

「そうよ。だけど、二人をわかった上で見送っていい理由にもならないわ。

私達は何があっても二人を恨んだりしないわ。

だから、大丈夫よ!」

そう言って紫音は笑った。

その顔は、響姉さんとよく似ていた。

「……似てるな。」

思わず口から出てしまった。

「知ってるわ!」

紫音は嬉しそうだった。

「……ねぇ、時雨お兄ちゃん、紫音お姉ちゃん、聞いて欲しいんだ。」

今まで静かだった優夜が覚悟を決めたかのように話出した。

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