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十色の追想  作者: 詩庵
人間と神族編
138/153

別れ。

ー琰陽視点ー

「言ったでしょ?」

そう言った少女顔は、無表情だった。

「何を……」

「こうなることは、わかっていたわ。」

「違う、俺はこんなことになるなんて……」

「結果が全て。

怜燈兄さん、やっぱり無理よ。」

「……そうだな。

琰陽さん、あのお話しはなしにしましょう。」

「待ってくれ!!」

輝鞠を失った今、彼らのことも失えば俺は……

そんな俺に、怜燈は冷たく言い放った。

「どうかしましたか?」

「もう少し待ってくれ!

俺がどうにかするから!だから、もう少しだけ!」

「どうしてでしょう?

別に私達は、ここで生きることにこだわりはありませんよ。」

「俺が怜燈達に、ここにいて欲しいんだ!」

「……」

「怜燈兄さん、私が代わりに言いましょうか?」

「いや、大丈夫だ。

琰陽さん、今日は無理でしょう。」

「待ってくれるのか?」

「いいえ。

ですが、私達は来るものを拒みはしませんよ。」

怜燈は静かに笑った。

「あ、ついでに皆さんに言っておきますね。

琰陽さんに対して私達は、なんの術も掛けてはいませんよ。

その価値がないこと、皆さんならわかりますよね?

それでは!」

そう言って怜燈達は、闇夜に消えていった。


「おい!琰陽!どういうことだ?!

どうして誓約なんか結んだ?!」

透がすごい剣幕で怒鳴った。

「怜燈達の信頼を得るためには仕方なかった……」

「仕方なかった?騙されたの間違いだろ?」

「透、言い方!」

「風南、俺間違ったこと言ったか?

下手をすれば俺は死んでた。」

「それは……」

「琰陽!お前にせいで皆の命が危険に晒されたんだ。

どう責任を取るつもりだ?」

「責任……俺は、皆を危険に晒したかったわけじゃ……」

「そんなことを言ってるんじゃない!

琰陽の気持ちがあろうがなかろうが、命が危険なのは変わらない!

お前一人の命じゃないんだぞ?!」

「ちが……」

「あ、お前とお前の家族は安全だからか?」

透は吐き捨てるように言った。

「俺達のことはどうでもいい」「水球散。」

その声とともに、透に水が浴びせられた。

「歌水!なんのつもりだ?!」

「少しは頭冷やしなよ。

琰陽のせいだけじゃないでしょ。

私達はその場にすらいなかったじゃない。」

「だとしても!」「死ぬのが怖いの?」

言い返そうとした透に、歌水が続けた。

「私達は、裏の人間よ?

穏やかな死は保証されてないのよ?」

「ッ……」

「ねぇ、琰陽。何があったの?」

歌水は、優しく聞いてきた。

俺は、あったことをそのまま話した。


「そう、輝鞠が……」

歌水はそう驚かなかった。

「怒ってないのか?」

「怒ってはないよ。

でも、何処から考えていいのかはわからないかな。

鷹丸はどう思う?」

歌水は困ったように、鷹丸に聞いた。

「今回の件は俺にも責任がある。

すまなかった。」

鷹丸は頭を下げた。

「鷹丸、お前のせいじゃ……」

「違う。琰陽、お前を突き飛ばしたのは俺だ。

この件は、琰陽と俺で長に報告する。

今日は解散しよう。」

「……わかった。」

透の苦々しい声を皮切りに、皆が散っていった。

「鷹丸、その」「何も言わなくていい。」

「違うんだ、長のところに行く前に、輝鞠の家行っていいか?」

「いいわけないだろ。行くぞ。」

鷹丸はそう言って歩きだした。


「成果は?」

父であり長の第一声だった。

「……」

俺が黙っていると、

「なんの力も得られず、仲間を死なせ、

その仲間が偽物だった感想は?」

「それが一か月ぶりの息子に言うことですか?」

「俺は、出来損ないを育てた記憶はない。」

「俺も貴方に育てられた記憶はありませんよ。」

「上司として問おう。

此度の作戦においての成果はあったのか?」

「……ありません。」

「だろうな。誓約までした挙句この体たらく。

出て行け。」

「言われなくとも。」

「誓約を撤回するまで、里に戻ることは許さぬ。」

「長!お言葉ですが、今琰陽は疲れているのですよ?!」

「影来鷹丸。お前に発言を許した覚えはない。」

「しかし!」

「もう一度言う。余計なことを言うな。」

「はい。」

「鷹丸、行こう。」

鷹丸に言ったが、鷹丸は動かなかった。

「長、俺も琰陽に着いて行っても良いでしょうか?」

「必要あるか?」

「此度の件は、私の未熟さ故に起こったことと認識しております。

責は火駆琰陽だけではありません。

彼が処罰を受けると言うならば、私も受けるべきです。」

「着いて行ってどうなる。」

「必ずや、誓約を無効にいたしましょう。」

「……よかろう。ただし、明日の明け方までにここから去れ。」

「ありがとうございます。」

「「失礼いたします。」」

俺と鷹丸は一緒に部屋を出た。

「鷹丸!何考えてんだよ!危険だ!」

「いや、お前一人よりマシだろ。」

「だとしても、鷹丸が来る必要はどこにも……」

「少なくとも、組む奴がいなくなった場合、他のやつと組む事になる。

俺はそんなの嫌だ。

琰陽について行く方が、面白そうだ。」

「面白そうって……あてはあるのか?」

「ある。そのための頭だろ?」

そう言って鷹丸は、頭を突いた。

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