別れ道。
ー鷹丸視点ー
金色の少年が輝き始めた途端、輝鞠がその光の中に飛び込んだ。
突然のことに戸惑う暇もなかった。
けれど、このままではいけない。
俺は琰陽の背中を力一杯押した。
普段なら、絶対しないはずの行動だった。
「おい!鷹丸!何してんだよ?!」
「そうよ!危険すぎる!」
鏡悟と瘉果が抗議した。
「二人、落ち着こう。
鷹丸君を責めても、どうしよもない。」
「そうだ。それに、先に動き出したのは輝鞠だ。
輝鞠だけよりは、いいはずだ。」
歌水と透が庇うように言った。
「俺のせいだよね。皆本当にごめん。」
土虎は項垂れていた。
「土虎、気にすんなよ!仕方なかった!」
「そうだ。仕方ない。」
「いや、二人のせいでもあるんだよ!
火雷と朝緋が放火したせいで、逃げられたんだ!」
「「違うだろ。」」
「違わないよ!
俺が二人を止められなかったのも悪いけど、
止めても聞く気なかったよね!」
「……当たり前だろ?」
「何が悪かった?」
「ほんっとに!君達は三年前と何も変わってない!
いい加減にしろよ!」
「あの件は、あれが正しかった。」
「そうだ。火雷のおかげで助かっただろ?」
「助かってない!
そのせいで、その何倍の人が悲しんだと思ってるんだ!」
「「知らない。」」
「お前らはやっぱりクソだよ!!」
「土虎やめて。
あの件は私にも非があるわ。ごめんなさい。」
「ちが、歌水を責めてるわけじゃ……」
「いい加減にしろ。
今は、昔の話をしてる場合じゃない。」
「鷹丸が言うのかよ!涼しい顔しやがって!
元を言えばお前が止めなかったから!」
「鏡悟、やめて。」
「風南…...だって」
「黙って。」
「はい。」
「鷹丸。どうする?」
「俺は、里に戻って報告すべきだと思う。」
「探さないのか?!」
「現実的に考えて無理だ。
透と風南の探索能力内にはもういないだろ。」
「それでも、見捨てるって言うのか?」
「見捨ててない。
俺は……琰陽を信じてる。」
その一言で、皆が黙った。
「異論はないな?下山する。」
「あ、ああ。」
「わかった。」
思い思いの言葉を放った。
俺達は、里へ向かった。
ー琰陽視点ー
蓮華と呼ばれた少女は、輝鞠を氷の膜で覆ってくれた。
触れるだけでも、指が痛くなった。
俺は怜燈達から離れたところで、そっと輝鞠を寝かせた。
「ねぇ、それ本当に連れて帰るつもり?」
いきなり声をかけられた。
「えっと、君は?」
「言いたくない。
それより、本当に連れて帰るの?」
「あぁ。」
赤紫色の少女は、無表情だった。
「誰のために?」
「それは……輝鞠の家族のためだ。」
「ただの自己満足でしょ?」
「え?」
「何も見えてないね。」
「それって……」
「あなたの言葉が、嘘にならないことを祈るわ。」
そう言って、少女は去っていった。
少女が言っていたのは、輝鞠のことだろう。
確信を言わない問いが、もどかしかった。
ー桜花視点ー
人間は、輝鞠の遺体を持ち帰るようだった。
それになんの意味があるのだろう。
輝鞠は偽物だ。
自分を突き落とした、優夜達を怒らなかったから、
優しい人間なのかと思った。
けれど、ただ何も考えてないだけみたいだった。
怜燈兄さんは、人間の行動が駄目なこと気づいているはずなのに、
止めなかった。
一体何を考えてるんだろう。
この状況で、人間についていけば私達が危ないのに……
輝鞠を連れ帰れば、私達は疑われる。
そう思わざるを得なかった。




