混在。
ー怜燈視点ー
「怜燈兄さん。人間が少し、可哀想よ。」
紫音に止められてしまった。
傷ついている者を淡々と詰める俺は、皆にどう映っただろうか。
不安が混じった音が、幾つも聞こえた。
人間が嫌いだ。
響達に、人間を知って欲しいと言った手前、
言えなかったけれど、
俺は人間が嫌いだ。
同時に、愛している。
神族と人間はどちらも神に創られた、種族だ。
神の唯一の親である、
創造神クレアシオン
クレアシオンは、人間を創った。
そして、人間を愛せと神に言った。
神族と人間族の違いは、神力の有無だ。
神族だけが、神力を体内で作ることができる。
違いはそれだけだ。
思考が違うなんて特徴、最初はなかった。
時が経つにつれ、神族も人間族も変わった。
子は、育てた者の影響を強く受ける。
だから、俺と共にいた響達は、
人間を嫌うようになった。
俺のせいだ。
響が、心がなくなっていくと言った。
そこでようやく気づくことができた。
俺の存在が、響達を歪めていると言うことに。
人間に少しでも、戻せるよう、
人間の近くにいるようにした。
髪色を変えず、目立つようにした。
物珍しい商品に、目立つ容姿。
自然と、沢山の人間が集まってくるようになった。
俺は選別した。
この人間なら信頼できるんじゃないか。
危険性が低い人間を、家族に合わせた。
少しでも、馴染めるように。
今の家族は、俺に依存している。
依存先を、人間にすれば皆は人間に近づけるんじゃないか。
琰陽は、都合が良かった。
神族に偏見がなかった。
そして、人間らしかった。
琰陽なら、任せられる。
だから、琰陽を連れてきた。
正直、輝鞠が付いてきたのは予想外だった。
でも、丁度良かった。
輝鞠が死んだおかげで、俺は完成された。
紫音達が、俺を疑うようになったはずだ。
俺は、人間を愛さずにはいられない。
響達が、本当に神族になったら?
家族を愛せなくなりそうで、不安だった。
それなら、響達が人間であればいい。
自己中心的な神の思考。
……?
俺は、神じゃない。
だけど、神族でもない?
じゃあ、俺の思考は……
ー琰陽視点ー
怜燈は、約束事を決めようと言った。
輝鞠のことは納得したつもりだ。
だけど、怜燈はそんなこと気にも止めていないようだった。
怜燈が理解できなかった。
家族を大切にしているようで、どこか遠ざけるような……
約束事を決めると言う案は、納得できた。
怜燈の言う約束事は、誓約の事だろう。
誓約は、神族を縛るうえで絶対的な力を持つ。
誓約さえあれば、怜燈達は危険じゃなくなる。
俺は、長になれる。
「約束事は、誓約のことか?」
「はい。その通りです。」
怜燈の返事は、とても速かった。
「わかった。誓約しよう。」
この時の俺は、冷静ではなかった。
よくよく考えれば、気づけたはずなのに。
「えぇ。では始めます。」
「私の名は怜燈。
月夜の名において、其方の家族を傷つけぬ事を誓う。
汝は、この誓約が続く限り、
私の家族と、その同胞を傷つけぬことを誓うか?」
「あぁ。誓おう。」
「汝の名は?」
「……火駆琰陽。」
「ここに、誓約の締結を宣言する。」
あっという間だった。
いつの間にか怜燈の手には、球体が握られており、
怜燈の言葉と共に、光輝いた。
誓約が結ばれた瞬間だった。
怜燈は、俺の家族を傷つけない。
そう約束した。
怜燈は、危険ではなくなった。
ー桜花視点ー
怜燈兄さんは、嘘つきだ。
誓約だって、人間のためじゃない。
私達のために結んだ。
人間は気づいてないみたいだけど、
誓約は、怜燈兄さんに対してだけ、
それも家族だけしか守れない誓約だ。
その光景を見た時、人間のことを気の毒だと思った。
そして、怜燈兄さんのことを何故か愚かだと思っていた。
ー??ー
「人間は、愚かだ。消えてしまえばいい……」




