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十色の追想  作者: 詩庵
人間と神族編
124/153

輝鞠。

ー優夜視点ー

「ねぇ、輝鞠。

いつまでお仲間ごっこしてるつもり?」

「ごっこじゃないわ。ちゃんと仲間よ。」

「自分の仕事、忘れたの?」

「いいえ。覚えてるわ。」

「覚えてないでしょ?

覚えているなら、もっと里の中枢にいるはずよ。」

「いるじゃない。私は今、次期里長と組んでいるわ。

彼はいずれ里長になるわ。」

「それじゃ遅いわ。」

「……ねぇ、輝鞠。

貴女はなにが言いたいの?

土の国で失敗した貴女と違って、私は火の国で上手くやってるわ。」

「喧嘩売ってるの?

紅蓮には、既に基盤があったわ。

ペトラには、なにもなかった。

準備された環境で、なにも進んでない貴女と、

なにも期待されずに失敗した私との評価は、違うのかしら?」

「少なくとも、失敗した貴女よりはマシよ。」

「そうかしら?

輝鞠、私思うのよ。

私なら、もっと上手く輝鞠をできる。」

「……だから、なにが言いたいの?!」

「代わってあげるって言ってるのよ。」

「そんな馬鹿なこと通るわけないじゃない。」

「通るわよ。

私達が違うのは、持ってる記憶だけ。

顔も名前も能力も、全部一緒よ。」

「違うわ!」

「なにが違うの?なにも違わないでしょ?」

「今の場所は、私が作った場所よ!」

「それは、私が作った場所になるわ。」

「輝鞠!いい加減にして!」

「いい加減にするのは、貴女よ。

輝鞠。貴女は、男に現を抜かしたわ。」

「……抜かしてなんかないわ!」

「輝鞠、なにを焦っているの?

火駆琰陽。

それが貴女の大切な人間でしょ?」

「違うわ!

私は、利用しているだけよ!」

「そう。じゃあ貴女は失敗作よ。

文字通り、貴女の代わりはいくらでもいるのよ。」

「それは、貴女もそうでしょ?」

「そうよ?私は、貴女の代わりになれるのよ。

だから、さっさと消えて?」

「嫌だと言ったら?」

「輝鞠七号。

命令違反により、処分。

って筋書きはいかが?」

「命令違反は、貴女でしょ?

輝鞠六号。」

「いいえ。私はあくまでも、輝鞠八号よ?」

「貴女、八号をどうしたの?!」

「殺したわ。

だって、あの子私を処分するって言ったんだもの。」

「当然よ!輝鞠六号。貴女は、任務失敗に加えて敵に情報を与えて逃げたのよ。

処分されるのは、当たり前よ!」

「そんなの納得できるわけないでしょ?

私は優秀なのよ。一号よりも強いわ。

それに、本家の人間は気づかなかったわ。」

「それが、八号を殺していい理由にはならないわ!

責任は貴女が取るべきよ!」

「いいえ。責任を取るのは貴女よ。

私はこのあと、本家にこういうつもり。

輝鞠八号が、言われのない理由で任務を妨害してきたため、

処分致しました。申し訳ありません。

遺体は、全て燃やしましたので、ご安心ください。ってね。」

「……狂ってるわ。」

「それがなんだって言うの?

私は、正常よ?

おかしいのは、貴女達よ。」

「……貴女、自分がなに言ってるのかわかっているの?

私達は、本家の役に立つために作られたのよ。」

「それがおかしいのよ。

私は神族なのよ。

なのにどうして、同じ神族の言うことを聞かなくてはいけないの?

どうして処分するって、と言われなきゃいけないの?」

「私達は神族じゃないわ!私達は、神族に作られた人間よ!」

「本家のあいつらより、能力が使えるのは私達よ?」

「違う、違うわ……私は、輝鞠七号。

本家の役に立つのは、私よッ……」


「……ようやく静かになったわ。

敵を前に感情的になってはいけないこと、忘れたのかしら?

あ、もう聞こえてないか。

……さて、記憶をいただこうかしら。」


輝鞠は、確かに存在した。

だけど、僕が殺したのも輝鞠だ。

僕は、本当に輝鞠を殺してしまったのかもしれない……

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