食い違い。
ー怜燈視点ー
「……可能ならば、俺はここに残りたい。」
「ちょっと!琰陽正気?最悪消されるわよ?!」
輝鞠が叫んだ。
「嫌だと言ってるでしょ!空気読みなさいよ!」
紫音が苛烈に責め立てた。
「分かりました。桜花、家二つ頼めるか?」
「どうして?」
「二人が過ごす場所がいるだろ?」
「野宿すれば良い。」
「お客はお客だ。
失礼なことは、してはいけない。
それとも、一緒に寝るか?」
「それはいや。」
「だろ。お願いだ。」
「……わかった。」
桜花は家を二つ創ってくれた。
「さぁ、皆さっさと荷物を片付けるぞ。
お二人は、そちらの家でごゆっくり。」
俺はそれだけ告げて、響達と家へ入った。
「怜燈兄さん!どう言うことですか?!」
入るなり、時雨が聞いてきた。
「怜燈兄さん!人間がしたこと忘れたの?!」
響達の事件以降、時雨と紫音の人間嫌いは酷くなっていた。
そして、他の皆も表には出さないが好いてはいないようだった。
「今回の件は、俺がやってしまったことだ。
本当に申し訳ない。
……俺が悪い。」
頭を下げることしかできなかった。
「怜燈お兄ちゃん。どうしてそんなに人間の味方をするの?」
優夜が聞いてきた。
「人間を、知るためだ。」
そう、俺は最近定住を考えていた。
いつまでも、落ち着かない生活をしてはいられない。
ただ、定住するとなるとどうしても人間との関わりができてしまう。
皆には、もう一度人間を知って欲しかった。
「人間についてなら、もう十分知ったよ。
なのにどうして?」
「人間の良いところも、知って欲しかったんだ。」
「「それなら、怜燈お兄ちゃんは間違ってるよ。」」
双子は口を揃えて言った。
「あの人間の感情、綺麗じゃない。」
「あの人間の記憶、良くない。」
「「良いところなんて、わかるわけないよ。」」
「怜燈兄さん、姉様のためにも考え直して。」
紫音が泣きそうな声で言ってきた。
「私も反対。人間と一緒に過ごしたくない。」
蓮華も嫌がっていた。
「……もう決まったことだ。
皆はなにもしなくていい。
近づかなくていい。
だから、これ以上拒絶しないでくれ……」
「……怜燈兄さん。わかったわ。
でも、これ以上皆に我慢させないで。」
「約束する。」
響の言葉は、優しいのにどこか冷たかった。
ー紫音視点ー
怜燈兄さんは、独りよがりだ。
勝手に決めて、勝手に実行してしまう。
今回だって、
姉様には人間がずっと側にいることは負担になるかもしれないのに……
怜燈兄さんのことは好きだけど、考えは全然わからなかった。
ー優夜視点ー
知らない人間がずっと近くにいる。
その事実だけで、気分が悪くなりそうだった。
僕達は身をもって、その汚さを見たのに、
怜燈お兄ちゃんはどうして、まだ人間と生きようとするのだろうか。
僕達は、今の家族といれればなんだっていいのに。
怜燈お兄ちゃんは、僕達のことを思ってるのに、
空回りしてばかりだ。




