観えたもの。
ー優朝視点ー
「えー!そうなんですか?」
「そうなの!」
「素敵ですね!」
目の前では、
響お姉ちゃんと、輝鞠と名乗る女の華やかな会話が繰り広げられていた。
女の人特有の、意味があるのかわからない会話だ。
輝鞠という女は、警戒心がないのか隙だらけだった。
「そういえば、輝鞠さんはどうしてこちらに残られたんですか?」
響お姉ちゃんが質問した。
「響ちゃん達が残るみたいだったから、お話を聞きたいなって!」
「……何を聞きたかったんですか?」
「響ちゃん達のこと!
普段どうやって暮らしてるとか、美しさの秘訣とか?」
「「夢渡し。」」
ドサッ。
俺達がそう唱えると、彼女は糸が切れたように倒れた。
「響お姉ちゃん、いつまで茶番をするつもり?」
「響お姉ちゃん、いつまで待たせるつもり?」
頬を膨らませて言った。
「ごめんね、この人間の話しがなかなか終わらなくて。」
響お姉ちゃんは、笑うばかりだった。
「……響お姉ちゃん、何が知りたいの?」
「目的と、深層心理。」
「目的はわかるけど、どうして深層心理もなの?」
優夜が首を傾げながら聞いた。
「人間について知りたいの。」
響お姉ちゃんは優し気に微笑んだ。
「ふーん。
目的は、怪しい子供の商人の調査と保護。」
「この人間は、俺達を捕まえるの可哀想って思ってる。」
「火の国の隠れ里、紅蓮から来たみたい。」
「琰陽のこと、気の毒に思ってる。」
「いつもは、琰陽、鷹丸、輝鞠の三人で任務?してるみたい。」
俺達は事実を並べた。
「どうして可哀想なのかしら?」
響お姉ちゃんは不自然そうに聞いた。
「そこまではわからないや。
感情を言語化するの難しいんだもん。」
俺は、感情を感じることはできても理解はできない。
中途半端だ。
「全然大丈夫よ。ありがとう!」
響お姉ちゃんは、いつも通り笑うだけだった。
「ねぇ、優朝!ここ見て!」
優夜に言われて記憶を覗いた。
そこには、泣いている琰陽の姿が見えた。
「……悲しみと後悔と喜び?」
琰陽の中には相対する異質な感情があった。
「なんか変だよね。」
「そうだな。」
大人数で来た怪しい団体。
いつもなら一人か三人なのに、珍しかった。
怜燈お兄ちゃん達が言う「お客様」は、外部からの敵を指す言葉。
来るだけは珍しくないけど、捕獲目的は初めてだ。
なのに弱い。
矛盾だらけのこの団体は一体なんなんだろう?
ー優夜視点ー
泣く男に寄り添う男。
確か、泣いている方が琰陽で寄り添ってるのが鷹丸だったな。
そんなことを考えながら、移りゆく記憶を眺めた。
どうしてこの輝鞠という人間は、見てるだけなんだろう?
どの記憶も傍観しているものが多くて、
主体になってるものがほとんどなかった。
優朝が感情を観ていた。
けれど、つまらなかったのかすぐに琰陽の方を観だした。
観ても、面白い記憶じゃなかった。
「優朝、優夜!そろそろ終わった方がいいわ!」
響お姉ちゃんにそう言われて観るのをやめた。
「いい感じに会話の記憶入れておけばいい?」
「お願い!」
僕は、会話の記憶を捏造した。




