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最も効果的なVR技術活用法  作者: 作為の肴
第一章 こんにちは新世界(説明が多い!)
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彼と私と新世界

コメントくれると嬉しいです

机の上の時計からアラームが鳴る。

机で何か作業をしていた彼はすぐさま顔を上げ、立ち上がった。

彼は床に散乱した本に躓きそうになりながら早足で部屋を飛び出して寝室へ駆け込んだ。

その部屋は私には異様に見えた。寝室という名でありながら、部屋にはまるでSFのようなポ(・)ッ(・)ド(・)が5つ、横に並んでいた。

彼は急いでそのうちのひとつ、右から2番目のポッドに近づくと、ボタンを押し、上の面をス(・)ラ(・)イ(・)ド(・)さ(・)せ(・)た(・)。(・)

中はなるほど、確かに高級な布団のようだ。

……私が使いたいほどである。

「ふふっ!ようやくか。楽しみだなぁ。」

誰も見ていないと思ったのか、彼は呟いた。

そうしてポッドの上面の扉をボタンを押して閉めると彼は深い眠りについた。……………………


■■■■■

さて、ここまで話してきた私(・)は何者なのか疑問な読者も多いだろう。

しかし読者には私の事を十分に理解する為の前提知識が足りない。ここで長々と説明するのはそれこそこの作品とは別ジャンルとなってしまうので、タイトルを見てやってきた読者には少々不満なものになるだろう。

なので私の自己紹介は次の機会にさせてもらおうかと思う。とりあえず私のことは語り部さんとでも読んでほしい。

変わりと言ってはなんだが、先ほどの彼の事を紹介しよう。

彼の名前は羽生千縁(は ぶ ちよす)十八歳。

高校は先日めでたく卒業し、ゲ(・)ー(・)ム(・)三昧の日々を過ごしている。

成績も悪くなく、全国偏差は上位20%に入るほど。

運動も毎日行っており、健康的な高校生程はある。

父、母、兄、妹の5人家族で関係は良好。

今日は十八歳の全人類の異界渡り(ディメンションゲート)の解放日で、先ほどはすぐに異界へ渡れるようVR空間に直行したが、解放時間の1時間前のアラームだったので待機空間でひとり待機中である。

ん?今VR空間と言わなかったか?

そう!VR空間である!

もちろん皆さんご存知あ(・)の(・)バーチャルリアル(VR)空間である!

ゲーム世界に閉じ込められるオンラインやクソゲーハンターのフロンティアと同じ現実と見紛う様な世界。

そんなとんでも技術が2132年の現在には全世界で一般化しているのである。

その中で異界。もしくは新(・)世(・)界(・)は国連(国際平和世界連合)が人員を大量動員して作り出された6つの別世界の総称である。

異界渡りはこれらの世界にログインする為の専用の操作の事で、ディメンションゲートと海外では言われる。

この5つは余りにも現実的で、そして現実以上に空想的(ファンタジー)なので、自己を形成する期間は一律で異界渡りは禁止されているのだ。

良識と常識を育む期間に人を殺す事を良しとする倫理観の世界で暮らすのはいろいろと弊害があるたろう。

もちろん、VR空間に行く事が出来る布団であるポッドは人類の権利なのでそれこそ生まれた時から持っているし、異界以外の例えばスキーだけが出来る雪山とか、動物と触れ合う牧場、3D映画など全年齢対象のものや年齢次第でいろいろないわゆるVRゲームというものも出来る。

まぁ少年少女の健全な育成のためにログイン時間も管理されているので、依存症や不登校など現実と折り合いをつけられなくなることは150年前と違ってないだろう。

だからこそ!彼らは夢を見る。大人たちはどんな景色を見て、どんな世界で暮らしているのだろうかと。

テレビや本、配信で見てきたその世界はどんなものなのだろうかと。

そして今日この日こそが!

その夢見た世界へ行ける日で、偉大な躍進を果たす日なのである。

さて、そろそろ1時間。千縁くんはどんな世界でどの様な日々を過ごすのか。

出会いがあり別れがあり未知がある。これから始まるのは想像のよう(バーチャル)で現実的(リアル)な冒険譚!彼は新世界の冒険に何を感じ、何を見るのか。『最も効果的なVR技術活用法』、始まり始まり。

□□□□□

彼以外に何一つない真っ白な空間。

「ついに!ついにだ!」

興奮した彼……千縁の眼の前には一つの画面が。

『生体情報を含む基本データの登録を完了しました。

 これよりディメンションゲートを開きます。

 ※初めは基礎世界へ接続します。接続完了後、四世界への自由渡航が可能になります。

 ※基礎世界にログインした時、必ずポッドの位置にスポーンします。

 ※公道などの共有エリアは他のプレイヤーの方もいらっしゃいますので節度を持った行動を心がけてください。』

その後、画面は消え、彼の眼の前には形容しがたいような渦(・)が現れ、彼を飲み込んだ。

なかなかシュールだが、これがディメンションゲートなのだろう。

彼は無抵抗でそれに呑み込まれた。

視界から目一杯の渦消えると眼の前の景色は全て白ではなく先ほどいた寝室になっている。

ここは基礎世界。始まりの世界にして、現実世界の現在(いま)と過去を記録する立体史料館。

彼はついに新世界へと降り立った。

新世界[異界]…国際平和世界連合すなわち国連の発足した2045年に制作を発表した別の世界であり、仮想現実。

VR技術の開発、普及も多額の資金と人員を使い同時並行で進めた。世界規模の人員を80年以上費やして完成に漕ぎ着けた。全ては人類の永遠の繁栄のため。この計画の原案を出したパーシー・ゲゼルは言う。

「私たち人類には経験が足りない。賢者は歴史に、愚者は経験に学ぶための時間が足りない。愚者が生きる術を見出す前に彼ら彼女らは死んでしまう。賢者が理想的な社会を構築する前に人類の歩みは終わってしまう。それは余りにも悲しいことだ。」

VRは個人が、そして人類全体が様々な経験をし発展するために生まれた。私たちの歴史を、子どもたちを時間の荒波に呑み込ませないために。


基礎世界…プロジェクトで初めて作られた世界。宇宙誕生から現在まで全てを演算して再現している。

権利の関係で現在から120年は人の事は再現されないし、権利のない場所には入れない。

だが、このシステムを使ったVR動画や、公開された場所や時間は体験出来る。

また、120年以上過去の戦争や動物の軌跡、深い深海、遥か遠くの宇宙までを実際に見ることは出来るので、考古学や歴史学、生物学に天文学といったあらゆる学問が飛躍的に発展した。

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