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ある日の出来事。

昼休みが終わる5分前ぐらい。


「また部室でね」


私はカナに小さく手を振る。

いつものように部室でご飯を食べた。

お喋りをしながら。

そして昼休みが終わるぐらいにそれぞれの教室へ。


「うんっ! またねっ!」


カナも小さく手を振ってくれる。

そして教室の中に入っていく。

教室の中のカナは私が知らないカナ。

きっと私に見せない表情もあるんだろうなって思う。

どんな感じなのかな。

ちょっと気になる。

気になってしまった。

あんまりいい趣味ってわけじゃないけど……。

でも何かの時に聞いてもいいかもしれないって思った。

カナ同じクラスといえばナツミとか……

ううん。ナツミに聞こうって思った。

部活が忙しい中でもナツミはたまに電話をくれる。

そして楽しくお喋りをしてくれる。

面白い本やアニメを教えあったりしする。

本当に楽しい時間。

次に電話をくれるのはいつのかな。

楽しみ。

そう思いつつ私は教室の中に入った。

教室にはほとんど全員がいる。

もうすぐ授業が始まるから。

みんな自分の席で近くの人とお喋りをしている。

私はその間を通って自分の席へ……

辿り着く前に立ち止まってしまっうた。

美香の席の前で。

そして思わず言ってしまう。


「美香、もうすぐ授業が始まるよ」


5月ぐらいの時の私には想像もできないような言葉。

美香を心配して起こすなんて。

美香は私の言葉に反応して顔を上げる。

美香が部活で疲れてるのはいつものこと。

でも朝に眠ることは多くても昼休みまでこんな風なのは珍しい。


「……眠い」


ぼやっとした声でつぶやく。

よく見ると目の下に隈があった。


「寝不足?」


「寝不足」


言いながら大きな欠伸。

何だかだらしない仕草。

でも美香ならなんか似合ってしまうのが不思議。


「あの馬鹿が泊りにきた」


「そうなんだ」


「それで演劇と映画鑑賞に付き合わされた」


「・・・…それは大変だね」


前にも似たような話を聞いた気がした。


「でも何だかんだ言って仲良しなんだね」


文句言いながらも泊まらせるし一緒に映画とか見るし……。

でも私の言葉で美香は不機嫌そうな表情。

私を睨むように見て軽く舌打ち。

基本的に更生したって思う。

でもやっぱり完全にいい子になったってわけじゃないみたい。

まぁ目つきとかはしょうがないって思うけど。

それが何だか好きな人は好きらしいし。

私にはよく分からない感性だなって思う。


「仲良しじゃない。しょうがなく」


ふいって顔を背けて言った。

それは照れ隠しで言ってるって分かった。

こういう仕草は確かに可愛い……。

何だか無性にからかいたくなる。

でもこれ以上言うと本当に怒られそう。

だから……


「そうなんだね。でも授業中に寝ないようにね」


この話は終わり。

そういうつもりで私は言った。

それが分かったのか美香は横に向けてた顔を戻す。

そしてちょっと意地悪そうな表情で言った。


「いつきに言われたくないな」


「…・・・何で?」


「いつも授業中ぼけっとしてるだろ」


「そうかな」


「たまちゃんに聞いてみれば?」


その言葉と同時にチャイムがなった。

ぼーっとはしてないんだけどな・・・…。

私はそう思いつつ自分の席へ。

そして……


「私って授業ぼーっとしてるかな?」


授業が終わって私はたまこにたずねた。

何だか気になってさっきの授業は集中できなかった。


「それは……」


たまこは答えにくそうに言う。

その感じでたまこが伝えたいことは分かった。


「たっ! たまにですよっ!」


私が分かったことに気が付いたみたい。

たまこはフォローになってるような、なってないようなことを言った。


……

…………

………………


ある日のできごと。


「漫画研究部ってどんな感じなの?」


休み時間。

私は藍姫に聞いた。

ちょうど話の途切れ目だったから。


「どんなって言われてもな……」


藍姫は考える。


「いつも通りっていえばいいのかな」


「そのいつも通りも分からないんだけどね」


そういうと藍姫はそれもそっかっと微笑んだ。


「相変わらずだらだらしてるって感じだね」


「好きな漫画の話とか?」


「そうそう。次のイベントでどんなコスプレをしようとかね」


「何だか楽しそうだね」


そういうのに憧れてる。

ナツミがそんなことを言ってたのを思い出す。

漫画研究部は文系でも人数が多い方の部活。

きっと色々な人がいるんだとうって思う。

でもナツミならすぐに溶け込めそうだなって分かった。


「でも最近はまた漫画をかきたいって人も増えてきたんだ」


藍姫は楽しそうに言った。

そのことが本当に嬉しそうに。


「アイコから教えてもらってる人もいるしね」


「アイコに……」


何だかアイコが誰かに教えてる姿は想像できない。

どんな風に教えてるんだろう。

とっても気になるし、見てみたいって思った。

前なら直接聞いてたんだけど、今はそうすることもできない。

藍姫は私とアイコがそういう状態にあることを知ってるんだろう?

……きっと知らないって思った。

知ったら何か行動するはずだって。

解決したかったら藍姫に相談するのが早そうだって思った。

でもなかなか相談できない。

私が自分でどうにかしなくちゃいけないことだって思ってるから。

でも相変わらずなんでアイコが私を避けるのか分からない。

そろそろ直接聞かなくちゃって思ってるけど…・・・。


「天文部はどんな感じなの?」


「うちも同じ感じ」


文化祭が終わったから特にやることはない。

前は新聞部に渡してた原稿を書いてたりしてた。

でも今はくるると話すだけだからとっても楽だ。


「文系のいいところだよね」


のんびりして楽しい。

確かに文系の部活のいいところだって思う。

でも、もちろん例外もある。


「演劇部とか吹奏楽部とかは大変そうだもんね」


どちらも毎日のように朝練とかしてる。

本当に大変そうだなってのが感想。

本当に好きじゃないと続けれそうだって思う。


「あそこらへんはほぼ運動部だしね」


「よく走ったりしてるもんね」


「とってもきつそうだよね」


「あと上下関係っていうの?」


私は吹奏楽の先輩が後輩を怒ってるのを見たことがあった。

怒ってる方は同じクラスの人だった。

今は楽しそうにお喋りをしてる。

あんな風に怒るんだ。

なんだかそう思った。

あと、ちょっと怖いなって思った。

私が下級生の立場なら泣いてしまいそう……。


「上下関係が厳しいって意味ではうちもそこそこあるけどね」


「そうなんだ」


なんだか意外な気もした。


「まぁそれは文系とかってより人数で決まると思うけど」


「人数が多いほうが上下関係に厳しくなるの?」


「私はそう思うな」


人数が多ければそれだけ決まりも必要。

みんなが好き勝手にしたら統制が取れなくなるから。

だから必然的に上下関係も厳しくなる。

そんな感じかなって思った。


「私は部長だしいろいろあるしね」


「いろいろ大変そうだね」


「うん。予算の話とかね」


「そういうのもあったね」


去年はカナが行ってくれた。

今年もカナがそうしてくれるって思う。


「天文部は相変わらず2人だけでしょ?」


「うん」


「新入部員って考えてるの?」


新入部員が入るのは来年の4月。

だから半年ぐらい先の話。

なんだかとっても気が早いと思う。

それに……


「今のところは考えてないかな」


「そうなんだ」


何だか気になる言い方だった。


「どうかしたの?」


だから思わず私は聞いてしまった。


「別に私が口をはさむことでもないんだけど……」


「うん」


「何だかもったいないなーって思ったんだ」


「もったいないの?」


「そうだね」


藍姫はちょっと考える。

きっと自分の頭の中を整理にしてるのかもしれない。


「せっかく作ったのに2人だけの部活で終わるのは寂しいなって」


「もっと続けた方がいいってこと?」


「そうそう。だってきっと星とか星座が好きな人は探せばいるって思う」


確かにそれは私も思うことだった。

ちゃんと説明とかしたら、入部してくれる人はどこかにいるって。


「それにあの部誌」


「ひとりぼっちの天体観測?」


「それそれ。ああいうのはやっぱり続いた方が嬉しくない?」


「私たちが卒業した後も?」


「うん。そういうのって他じゃなかなかできない体験だからね」


「それは……」


言いながら私は想像する。

私達が卒業した後もあの部室に集まって部誌を作る姿。

そしてそれを私が文化祭で……。

私は自分の卒業した後のことは想像できない。

でもそれは何だかとっても嬉しいことだって思えた。

星座の物語がずっと昔から受け継がれたように

私とカナが作った部誌も受け継がれていく

そういのは本当にロマンチック。


「うん。凄くいいって思う」


「でしょっ!」


藍姫はにっこり微笑んで言った。

凄く嬉しそうに。

自分のことみたいに。


「だから天文部も来年は部員集めをしたらどうかなって思う」


「そうだね」


何だか私も部員集めに前向きになってる。


「できたらしてみようって思うよ」


藍姫にそう言えるぐらいには。

でも……きっとカナは嫌がるだろうな。

それは何度も思ったこと。

だから私はできたらって言葉をつけてる。

卑怯な保険。

でもそんな私の心を知らない藍姫は無邪気に微笑んでくれる。


「そうだねっ! 一緒に頑張ろうねっ!」


何だかますますアイコのことを相談しづらくなったな。

私は藍姫の笑顔を見ながら言った。


……

…………

………………


ある日の出来事。

放課後の時間。

部室に行く前に私はたまことお喋りをしてた。

まだカナが来てないみたいだったから。


「それで今日はですね……」


「まじでやばいっすよっ!」


廊下から大きな声が聞こえた。

たまこから今日の部活ですることを聞いてた途中だった。


「本当に行くっすかっ!」


「当たり前っ!」


何事かと私とたまこは教室の扉を見る。

そこにはくるると……見覚えがある人を見つけた。

その人が上の階に行こうとするのを数人が止めてる。


「生徒会室に乗り込むって怒られますよっ!」


乗り込むっ!

しかも生徒会室にっ!

なんだか大げさな感じがする出来事。

まるでどっきりの1部を見ているみたいだって思った。


「あの何でも自分の思い通りになると思ってるくそ生徒会長はっ!」


ぴりぴりとした声。

そんなに大きな体じゃない。

でも凄く迫力がある声を出してる。


「一度ぐらいぶんなぐってやった方が世の中のために決まってるっ!」


その声を聞いて私は思い出した。

去年の文化祭の出来事。

私たちのクラスは今の生徒会長の指示で行動してた。

そしてそのやり方は数人で物事を決めるという効率重視のもの。

確かにそれはスムーズで個々のやるべきことがはっきりしてた。

でもあんまりみんなで頑張るっていう感じでもなかった。

それにかなり強烈に反発するグループもあった。

そのリーダー的存在だった人が、今の注目人物。


「部長っ! 愚痴なら部室で聞くっすから・・・…」


「お前に聞いてほしい愚痴なんて一個もないっ!」


可愛そうなくるるはそのまま引きずられていく。

あれがくるるがよく言ってた部長・・・…。

まさか去年の同じクラスの人だとは思わなかった。

今も名前を思い出せてないけど……。


「何があったんでしょうか・・・…」


怯えた声でたまこは言った。

新聞部の人達の姿は見えない。

でも声はたまに聞こえてくる。


「全然分からないね」


分かるのは新聞部の部長が生徒会長に怒ってることだけ。

日常の謎。

ミステリーにそんなジャンルがあったのを思い出す。

なんで新聞部の部長は生徒会長に激怒してるのか。

生徒会じゃなくて生徒会長にってところに何かありそう……。

私が主人公なら理由を見抜いて、部長と生徒会長を仲直りさせたりする。

でも残念ながら私はそうじゃない。


「部活行こうか」


だから私は言った。

カナが教室から出てくるのが分かったから。

カナはさっきの騒ぎをどう思ったんだろう?

ちょっとだけ考えた。

すぐに答えが出たから、ちょっとだけ。

きっとカナはこう言うって思う。

他人のことなんて興味ない。

って。


……

…………

………………


ある日の出来事。


「いつきっ!」


教室に入ると声をかけられた。

亜里沙が私の方に飛ぶようにやってくる。

どうしたんだろうって思った。

たまこがそうやって私の前に来るのはたまにあった。

たまこの場合はとたとたって感じだけど。

でも亜里沙がそうするのは初めて。


「おはよう。どうかしたの?」


とりあえずの挨拶。


「おはよう。えっとこっち来てっ!」


「うん。いいけど」


チャイムがなるまではまだ時間がある。

どんな用事かは分からない。

でも付き合ってあげようって思った。


「これを聞いて欲しいんだ」


そしてそう言われたのは教室の隅っこ。

人があんまりいないところ。

でも亜里沙はこそこそって感じで私に言う。

高そうなヘッドホンを手渡して。


「聞けばいいんだね」


「うんっ!」


私は言われるがままにヘッドホンをつける。

するとすぐに音楽が聞こえた。

それはギターの音。

じゃかじゃかって感じ。

そしてしばらくして歌が入ってくる。

それは亜里沙の声だった。

どちらかと言うとゆったりめなメロディ。

何だか懐かしい。

そんな感じ。

何の曲だろう?

亜里沙のバンドは私でも聞いたことあるような、有名な曲をしてた。

でもこの曲は全然知らない曲。


「どうだった?」


聞き終えた私に亜里沙は言う。

どうだった?

はヘッドホンの聞き具合のことを聞いたんじゃないって分かる。

さすがにそれぐらいは。


「いい曲だって思ったよ。それにやっぱり上手だよね」


高い声もちゃんと出せてて凄いって思う。

私はあんまり歌が上手じゃないからちょっと羨ましい。


「ありがと……」


「でもこの曲知らなかった」


「それはだって……」


亜里沙の顔が赤くなる。

何だか恥ずかしがってるみたい。

ステージであんなに堂々としてたのに。

なんで今こんなに恥ずかしがってるんだろう……。


「あたしが作った曲なんだ」


「そうなのっ!」


思わず出してしまった大きな声。

亜里沙は声を小さくしろってゼスチャーで表現。

私はなんでこんなに隅の方に連れてこられたのか分かった。


「亜里沙って作曲できたんだね」


素直に凄いって思える。

楽器をできるってだけで凄いのに。

さらに曲も作れちゃうなんて。


「初めて作ったんだけどね」


照れてる感じで言った。

きっと胸がどきどきしてるんだろうって思う。

私も自分が書いた小説を目の前で読まれたらそうなるから。


「でもいい曲だって思うよ。凄いって」


「ありがと」


でも亜里沙はとっても嬉しいって感じじゃなかった。


「めちゃくちゃ苦労したから嬉しいな」


言いながらはぁってため息をついた。


「どうかしたの?」


「うーん。でもあたしってやっぱ才能ないかもって」


「そうなの?」


「そんなことないよって言わないんだ」


「だって私は才能があるとかないとか分かんないし」


「それもそうだね」


って亜里沙はけらけらと笑う。


「亜里沙は何でそう思ったの?」


「ありきたりなものしかできないからかな」


確かに私も亜里沙の曲を聞いて懐かしさを感じた。

そこらへんを亜里沙はありきたりだって思ってるのかも。


「周りの人とか見て自分もやれるんじゃないかって思ったけど……」


「できてるじゃない」


「できてるっていうのかな?」


「これで駄目なら私の小説も駄目だよ」


「いつきの小説、面白かっよ」


「うん。でも自分じゃ駄目だって思うこともある」


「そんなものなの?」


「そんなものだって思うよ」


って言ってみたけど他の人は分からない。

アイコは絶対にそんなこと思わないだろうし。


「才能ないと何かやっちゃいけないわけでもないと思うしね」


「……それもそうだね」


言いながらちょっと表情が明るくなる。


「そうだよね。創作とかは才能ある人だけのもじゃないしね」


「うん。私は楽しいからやってるだけだしね」


だからあんまりプロとかは考えてない。

もちろん、今のところはだけど。


「ありがと。何だか相談みたいになっちゃったね」


「ううん。亜里沙が作った曲を聞けて楽しかった」


「そう言ってもらえると嬉しいな」


言いながら亜里沙はヘッドホンを鞄の中に入れる。


「また新曲ができたら聞いてねっ!」


「うん。楽しみにしてる」


最近は気になってることもある。

でも今日はとってもいい気分で最初の授業を受けれそうだなって思った。

最初の授業が数学だって気がつくまでは。


……

…………

………‥……


ある日の出来事。

教室中がざわざわってしてた。

昼休み。

今日はカナが用事があるってことで珍しく教室で食べていた。

生徒会長に呼ばれたとか……。

どんな用事なんだろう。

何だかずっと気になってた。

でも今はあんまり気になってない。

っていうより他のことで塗りつぶされてる。


「……なんで川島さんが?」


私はなぜか小声で言った。

今日は私とたまこと藍姫の3人で食べてる。

通称、文化祭メンバー。

そして今、教室の注目を浴びてるのは川島日和。

廊下からも見ている人がいるぐらい。

川島さんは私達のクラスの人じゃない。

というか同学年ですらない。

今年に入学した1年生。

そして1年の中で、それどころか学校でも1番っていうぐらいに可愛い。

私もはっきりと見たのは今日が初めて。

でも綺麗で長い黒髪。

ぱっちりした目。

はっきりとしたまつ毛。

白い肌。

小柄な体型。

何だか可愛いを過剰に詰め込んだような姿。

自分と同じパーツで出来てるとは思えない。

そんな感じ。


「今日もお弁当を作ってきたんですよ」


そして声も可愛いい。

でもなんで私達のクラスにいるかというと……


「こんなことされても迷惑なんだけど」


川島さんの前にいる人。

それは美香だった。

川島さんは美香に手作りのお弁当を届けたくて来たらしい。

きっとほとんどの人がそんなことをされたら……。

でも美香は本当に嫌そうな感じ。

あの睨むような目つきで川島さんを見ていた。


「噂で聞いたんだけど……」


こそこそって藍姫が話す。

別に小声で話す必要もないんだけど。

でもそんな雰囲気だった。


「川島さん、文化祭で演劇部の劇を見てて好きになっちゃったみたいなの」


「美香ちゃんを?」


そう言ったのはたまこ。

たまこも興味深そうに2人を見ていた。


「うん。それで断ったらしいけど……」


「諦められないって感じなんですね」


「何でも演劇部に入ったらしいわよ」


「そこまでなんだ……」


でもこんなに可愛い後輩に慕われるなんて……。

私なら本当に舞い上がりそう。

でも美香は面倒くさそうにしてる。

きっと美香を好きな人はそういうのがいいんだろうな。

やっぱりよく分からない価値観なんだけど。


「というか何で最近は部室で食べてくれないんですか?」


頬を含ませて川島さんが言う。

見るからにすべすべしたほっぺがぷりくとふくらむ。


「あたしの勝手だろ」


「そんなんじゃみんなの団結が深まりませんよー」


「……別に深まらなくていい」


「ご迷惑になってるかもだから今日は帰りますけど、明日はちゃんと来てくださいね」


「…………」


完全に無視!

きっと今、美香の敵が増えてるだろうって思う。

きっと川島さんのファンクラブはある。

入学してすぐに、それもたくさんの会員がいそう。


「お弁当、食べてくださいねっ!」


川島さんはそう言い残して教室を出て行く。

どうやら手作りのお弁当はちゃっかり置いていったみたい。

迷惑そうな表情で美香はそれを見ている。

あの弁当が欲しくてたまらない人がどれだけいるか……

そう思うと美香の表情は大罪的に思えた。

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