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の部分はアイキャッチが入る予定です。
「あんまり人いないね」
夏休みの遊園地。
しかも日曜日。
人がたくさんいるって思っていた。
でも人はそこそこってところ。
どの乗り物とかも全く人がいないわけじゃない。
でも列が出来てる乗り物もないって感じ。
人混みがあんまり得意じゃないから、嬉しいといえば嬉しいけど……。
「地方の遊園地だからね」
カナはあんまり驚いてない。
ずっと住んでいる分だけ、遊園地とかのことについて詳しいのかもしれない。
「それに大人気なら招待券とかもらえないよ」
「それもそうだね」
私は遊園地を見回す。
だいたいのものは揃ってると思う。
これなら問題なく楽しめそう。
「いっちゃんってジェットコースターとか大丈夫?」
「多分、平気。ちょっと酔うかもしれないけど……」
乗り物酔いはたまにする。
でもジェットコースターは乗ったことがないからどうか分からない。
短い時間だし、早いから大丈夫かもしれない。
逆にすぐに酔っちゃうかもしれない。
乗ってみないと分からないって感じ。
「具合が悪くなったりしたら言ってねっ!」
「その時はゆっくり楽しむよ」
なんだかどきどきした。
前に来たときはなんだか怖くて乗らなかった。
でもあの時から3年経過してる。
動いているのを見て、怖そうっ!っていう感覚もあんまりない。
きっと乗ってみたら楽しいって思う。
というか思いたい。
「空いてるから行こうっ!」
足取り軽い感じでカナが歩いて行く。
見ているだけでうきうきしているのが伝わってくる。
カナはジェットコースターみたいなのが好きみたい。
なんだかちょっと意外な感じがする。
「早くっ! 早くっ!」
少し後ろを歩く私にカナは言った。
普段は大人っぽいカナ。
だから遊園地ではしゃぐ姿がとっても可愛く見えた。
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「楽しいねっ!」
「うんっ!」
思わず出る笑み。
久しぶりに来た遊園地は思ったよりも楽しかった。
ジェットコースターも風を切って走る感じが気持ちいい。
最初の登るところはあんまりなれないけど、走り始めたらとても好き。
カナがはしゃぐのも分かるような気がした。
中学生の時の私は食わず嫌いをしてたんだなって思う。
「人少ないのもいいでしょ」
「そうだね」
待ち時間なんてほとんどない。
乗りたいって思ったらすぐに乗ることができる。
それがとてもいいって思った。
「でも潰れないぐらいには人が来てほしいよね」
「それはそうだねっ!」
「でもカナが遊園地が好きってなんだか意外な気がする」
「そうかな?」
「なんとなくなイメージだけどね」
「好きなのは好きだけど、来たのは久しぶりなんだよね」
「そうなんだ」
「一緒に来る人もいなかったしね」
「1人じゃなかなか来づらいのはあるよね」
1人遊園地。
なかなか難易度が高そうだなって思った。
「だからいっちゃんと遊園地に来れてとっても幸せっ!」
「私もこんなに遊園地って楽しいものなんだなって分かって、なんか嬉しい」
きっとカナと来てるから楽しさが5倍ぐらいになってると思う。
「いっちゃんが楽しめてくれてるならすっごく嬉しいっ!」
「私もカナがはしゃいでるの見るの、とっても可愛いって思う」
「か、可愛いって……」
顔を赤くするカナ。
なんだか今日はカナの珍しい姿を見れてる気がする。
「でもこうできるのも、いっちゃんの前だけかも」
「私もカナと一緒にいる時が1番リラックスできるよ」
カナ以外で仲いいって言えばナツミ。
ナツミといるのも、電話で話すのも楽しい。
でも完全にリラックスできてるわけじゃない。
心の中でやっぱり警戒しなくりゃって思ってしまうから。
秘密がばれないようにしなくちゃって考えるから。
「カナは私のことを1番分かってくれてるからね」
「そう言ってもらえるととっても嬉しいなっ!」
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「さすがにそろそろ疲れてきたね……」
それにさすがに飽きてきた気がする。
同じジェットコースターに5回も乗ってるし……。
人が少ないのはいいけど、小さい分だけ種類も少ないみたい。
あんまり贅沢は言えないんだろうけど。
人がいなくて、おまけに色々乗り物があるのがいいっていうのはわがまま。
しかも悪い方に。
「そうだね。そろそろお昼ごはんにしようかっ!」
言いながらカナはパンフレットを取り出す。
大きめのレストランとハンバーガーとかが売ってある小さなお店があった。
値段もかいてあるけどやっぱり高め……。
でもお父さんが特別にお小遣いをくれたから大丈夫。
「何か食べたいのある?」
「そうだね」
って私は考える。
気分的には一番小さいハンバーガーだけでいいぐらい。
体重もちょっと気になるし。
レストランに行くとなんだたくさん食べたくなりそう。
「ハンバーガーがいいかなって思う」
出た結論をカナに言った。
「分かった! ハンバーガーは……ここねっ!」
そこそこ近くの場所にあった。
ちょっと疲れているからあんまり歩かなくていいのは嬉しい。
私とカナは少し歩いてハンバーガーを買って、一緒に食べた。
のんびりとした時間。
いつもは頑張って小説を書いてるから、のんびりさがはっきりと分かった気がした。
今までの夏休みのだらっとした感じとは全然違う。
あれはあれでよかったけど、でも今の方が幸せだ。
「次行きたい場所があるんだよね」
ハンバーガーを食べ終えたカナが言う。
私はまだ食べてる途中。
カナの方が基本的に食べ終わるのが早い。
といってもカナが早いんじゃなくて、私が遅いんだけど。
「どこ?」
「お化け屋敷っ!」
「お化け屋敷……」
思わず言葉が溢れた。
お化け屋敷は私が苦手なものの1つ。
ジェットコースターは食わず嫌いだったけど、お化け屋敷はそうじゃない。
中学生の時に入ったけど、まだ夢に出るぐらい覚えている。
もちろん、悪い意味で。
「いっちゃん、お化け屋敷苦手?」
「それは……」
多分、苦手って言ったら行かないでよさそう。
カナは私が嫌がることを強要しなさそうだし。
でも高校生になってお化け屋敷が怖いっていうのも恥ずかしい……。
それにジェットコースターが大丈夫だったから、高校生の私はお化け屋敷も大丈夫かもしれない。
大丈夫であって欲しいって思った。
「だ、大丈夫っ! あんまりお化けとか信じてないしね」
「いっちゃんはホラー系の怖い小説もよく読むもんねっ!」
「そうだねっ! だからむしろお化け屋敷は好きだよっ!」
なんて勝手に言葉が出てくる。
お化け屋敷が怖いっていうのを隠そうと過ぎて、余計なことまで言ってる。
「だから食べたらすぐ行こうっ!」
気がついたらまた言ってた。
「なんだか頼もしいねっ!」
嬉しそうに言うカナに本当のことは言えないって思った。
だから怖くありませんようにって心のなかで祈り続けた。
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やっぱり怖いっ!
入った瞬間から真っ暗で、周りがよく見えなくて、それに流れる音楽が怖さを凄くしてる。
もっと陽気な曲を流して欲しいっ!
って本気で思う。
「さ、先に行かないでね」
私はカナの肩を持ってそろりそとりと歩いて行く。
置いていかれたら歩けないって思った。
「ずっとそばにいるからね」
なんだかちょっと楽しげな声。
カナはあんまり怖くないみたい。
むしろとっても楽しそうに歩いている。
私は何が出ないかびくびくしながら歩いて、わっと大きな音とともに幽霊が出てくると声も出せないぐらい驚いた。
ただひたすら早く外に出たいって思った。
お化け屋敷に入ったことをとっても後悔した。
あの時にあんな見栄をはらなければよかったって思った。
「ま、まだ終わらないの……」
「もうちょっとだから」
もうちょっと。
もうちょっとで終わる。
私はカナの言葉を信じて歩き続ける。
これは遊び。
何にも怖くない。
ちゃんと終わる……。
「ほらもう出口だよ」
「よ、よかった……」
安心して、ほっとして、ちょっと泣きそうになった。
そして私は心の中で誓った。
お化け屋敷はもう入らないっ!
無理なものは恥かしがらずに言うのが今日の教訓だなって思った。
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「休憩していい?」
「うんっ!」
お化け屋敷を出た私はぐったりしていた。
これならジェットコースターに10回連続乗ったほうが楽だと思う。
「いっちゃんってお化け屋敷駄目だったんだね」
「高校生になったから大丈夫かなって思ったんだけど……」
全然駄目だった。
きっと年齢とか関係なしに私はお化け屋敷が駄目なんだって思う。
どんなに大人になっても、お化け屋敷は天敵であり続けるはず。
大人になってお化け屋敷に誘われる人生だけは送りたくないって思った。
でも小学生の女の子が楽しかったねっ!って言いながらお化け屋敷から出てくるのを見た時はショックだった。
私は小学生の女の子より怖がりなんだなって……。
「カナは楽しそうだったね」
「そうだね。ああいうドキドキするのって楽しいっ!」
ジェットコースターもそうだけど、カナはスリルとかが好きなんだなって分かった。
きっとカナにとって遊園地はスリルをお手軽に楽しめるところなんだろうって思う。
今日はカナのことが色々と分かって嬉しい。
「私はいきなり大きな音が出るのが駄目なんだよね」
だからホラー小説は大丈夫でもホラー映画とかホラーゲームは駄目だったりする。
後、雷も本当に苦手。
雷がなる夜はお父さんのヘッドホンを頭につけて布団に潜り込むぐらいに。
そんな姿は恥ずかしいから誰にも見せられないなって思う。
「お化け屋敷って怖いっていうよりびっくりさせるって感じだからねっ!」
カナはとっても楽しそう。
だからまぁお化け屋敷に入ってよかったなっては思う。
恥かしいところを見られたけど、カナだからよかった。
カナになら見られても大丈夫って思う。
ナツミには絶対に見せたくない。
とっても馬鹿にされるのが目に浮かぶ気がした。
「次はのんびり観覧車にでも乗ろうっ!」
カナが指差す先には大きな観覧車がある。
あれに乗って見る景色は綺麗だろうなって思った。
……
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「楽しかったねっ!」
「うんっ!」
気がついたらもう16時を過ぎている。
そろそろ帰る時間。
なんだかあっという間に過ぎた気がする。
本当に楽しかったし、来て良かったって思った。
カナの色々なところを見れたのが今日のよかったところ。
私の色々なところを見られたのが今日の悪かったところ。
「また来たいねっ!」
って私は言う。
前に来たときにはそうは思わなかった。
でも今回はまた来たいって思った。
「そうだねっ! 絶対に2人で来ようねっ!」
カナも同じように思ってくれている。
それが何よりも嬉しい。
心が通じ合う感じがして、カナは信じていいんだなって確信できる。
信じれる人と一緒だからこんなに楽しいんだなって思う。
そして私とカナは遊園地を……
「あっ!」
出る前に私は大事なことを思い出した。
「どうかしたの?」
「お土産買うの忘れてた」
でもすぐ近くにお土産が売ってあってよかった。
「ちょっと待っててっ!」
あんまり待たせちゃ悪いなって思った。
だから私は目の前にあるものから選ぶ。
幸いっていうか分からないけど、あんまり種類はなかった。
だからラングドシャを買っていこうってすぐに決めることができた。
包装紙が猫の絵で可愛い。
私は2個渡して袋に入れてもらう。
「お待たせっ!」
「大丈夫っ!」
言いながらカナは私が買ったお土産を見る。
「お父さんとお母さんに?」
「そうだよ」
「やっぱり仲いいんだね」
にっこりと微笑んでるけど、あんまり嬉しくはなさそう。
「2個買ってたけど、あと1つは誰にあげるのかな?」
にっこりと微笑んでるけど、なんだか怖い圧力を感じた。
1個はカナに言ったとおり。
もう1個はナツミにあげる分だった。
でもなんだかそう言っちゃいけないような気がした。
「もう1個は自分の分。美味しそうだから買っちゃった」
「そうなんだねっ!」
なんだか安心したような声だった。
でも私は嘘をついた罪悪感が心の中にちくりと刺さった。
それは小さいトゲだけど、すぐには取れない気がした。
「カナはお土産買わなくていいの?」
「あげたい人っていないからね」
「……そうなんだね」
なんだか暗い雰囲気になってる。
さっきまでとっても楽しかったのに。
多分、どちらのせいでもないんだろうけど。
でもこの空気で帰るのは嫌だなって思った。
「ねぇ。記念に同じキーホルダー買って帰らない?」
だから私は言った。
「お土産買って買える人がいないなら、私に欲しいな」
最初からこうすればよかったって思いながら。
1番あげたい人に買うのを忘れてた。
一緒に来た人にだってお土産を買っちゃいけないってわけじゃないのに。
「私もカナに買うから、交換しよう」
「いいねっ!」
ってカナはぱっと明るい声を出す。
「そういう記念になるのって素敵だって思うっ!」
私とカナはキーホルダーを買った。
そしてそれをお土産って感じで交換する。
「ずっとずっと大事にするねっ!」
飛び跳ねるようにカナは喜んだ。
「私もっ!」
それは私も同じ。
なんだかとっても嬉しい。
私がカナにもらったのは可愛い犬のキーホルダー。
私がカナにあげたのは可愛い猫のキーホルダー。
今日はとっても大事なものが1つ増えた。
何かあったらこのキーホルダーを見て今日のことを思い出そうって決めた。




