24
私とカナは毎日のように学校の部室に行った。
そして黙々と作業をしていた。
小説を書こうっ!
そう決めてから2週間ぐらい経過してる。
夏休みはもう1ヶ月もなくなってしまった。
残ってるのは10日と少し。
ほとんどの時間を部誌作りに使っている。
こんな夏休みは初めて。
あっという間に過ぎていく。
それはいつもと同じ。
でもあんまり後悔とかはないのがいつもと違うところ。
特に小説を書き始めてからはとてもそう思う。
毎日少しずつだけど増えていく文章。
できていく物語。
あんまり書けない日もある。
でも帰って家で読み返すと、不思議な充実感があった。
今まで書いた枚数は、25枚ぐらい。
順調とは言えない。
でも書くペースは少しずつ上って来ている。
残り2週間で25枚ぐらい。
学校が始まってから3週間で50枚ぐらい。
目標としてはそんな感じ。
「挿絵ののラフできたよっ!」
カナが私に1枚の絵を見せる。
それは主人公が初めて幽霊の女の子を見つける場面。
ちょっと驚きな2人の顔が可愛いって思う。
「すごくいいと思うっ!」
「気になることろがあったら言って欲しいなっ!」
「そうだね……」
って私は考える。
何も問題ないっ!
そう言うのが一番楽だし、平和的。
でもわがままにするっ!
って決めたから何かあったら遠慮なく言おうって思った。
「えっと……斜めの構図で2人の表情が半分ずつだからそれが気になるっていうか……」
「うんうん」
カナは私の拙い言葉でも真剣に聞いてくれる。
それは出会ったことから変わってない。
「だからこう真ん中を斜め線でくぎって、2人の正面の顔を書くのはどうかな?」
私の言葉を聞いて、カナは1枚の新しい紙を取り出す。
そして私の言うとおり真ん中に斜め線をひいた。
「こんな感じかな」
右上に主人公。左下に幽霊って書いてここに顔を書くって感じで○を書いた。
「うんっ! そんな感じが好きかなって思うっ!」
本当にカナは理解力が高い。
「分かった! ……こっちの方がいいねっ!」
言ってカナは先程かいた方に印をつける。
そうやって使うラフと使わないラフの区別をつけてるみたい。
「カナは順調みたいだね」
「うん。今のところはね」
カナが書くのは表紙と挿絵5枚。
そのうち表紙と2枚が完成している感じ。
だから残り3枚。
半分以上が終わってる。
早く終わったらあと少し絵を増やすって言ってた。
私が駄目だったじゃ済まされないって思う。
私はカナが書いたとても上手で可愛い絵を見て一層気合を入れた。
今日は3枚以上書くぞっ!
そんな気持ちで文字を打ち始めた。
……
…………
………………
「時間になったよ」
「もうそんな時間?」
まだあんまり時間は経過してない気がした。
でも時計を見ると、本当に夕方の時間帯になっていた。
夏だからまだ外は昼のように明るい。
それもあってなんだか時間の感覚がおかしくなっていた。
「いっちゃん集中してたもんねっ!」
「うん。だんだん集中するコツがつかめてきた」
今までは書いてもすぐに余計なことが頭にもやもやと浮かんできていた。
そしてそのもやもやをどこかに飛ばすのに時間がかかった。
でも今はあんまりもやもやも出てこない。
私は自分で自分は集中できない人って思っていた。
でも訓練すれば集中できるようになるって学べて嬉しかった。
私は今日かけた枚数を確認していく。
「……4枚かけてるっ!」
嬉しくて思わず声が出てしまった。
4枚ってたぶん他の人からしたら大したことない枚数。
でも私には嬉しく感じれた。
「続き読みたいからUSBメモリ貸してっ!」
「うんっ!」
帰りにUSBメモリをカナに渡すのがいつものことになっている。
カナが続きを楽しみにしてくれているのはとても嬉しい。
きっとそのことがとっても大きなモチベーションになってる。
「そういえば明日って日曜日だよね?」
「そうだね」
夏休みの日曜日は完全に学校に入れなくなってる。
だから部活もできないって感じ。
「遊園地の券をもらったからどうかなって思ったんだ」
カナは2枚の券を私に見せる。
遊園地……。
確か行ったのは中学1年生の時の歓迎遠足が最後だった気がする。
「いっちゃんって遊園地とか好きかな?」
「あんまりいい思い出はないけど、でもカナとなら行きたいなっ!」
カナとならどこに行っても楽しいって思った。
「ありがとうっ! じゃ集合場所とか後で連絡するねっ!」
「うんっ!」




