↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/156

76

みんなが私の部屋にいる間。

私は居間で待ってた。

ぼんやりアニメを見ながら。

何をやってるんだろう。

どんなことを話してるんだろう。

そんなことを想像しながら。

何だか凄く気になったけど。

でも……。

私がいない時にどんな話とかするんだろう。

そう想像するのも凄く楽しいって思った。

そしてしばらくして……。

だいたい40分ぐらいが経過して……。

みんな戻ってきた。


「思ったより遅くなっちゃったねっ!」


「料理作るの始めましょうっ!」


「そうだねっ!」


って感じでカナとたまこはぱたぱたと台所へ。

きっとすっごく美味しい料理を作ってくれるんだろうって思う。

凄く楽しみ。

そして食べる係の私とナツミとアイコは居間で雑談。

のんびりと戻ってきた2人が出ていく前に座ってた場所に座る。

何だかみんな凄く満足そうな感じ。

でも……。

私の部屋にそんな満足するようなものがあったかな?


「あまり面白いものはなかったわね」


って座ってすぐにアイコが言うし。

でもそういうアイコだって何か嬉しそう。


「私の部屋で変なことしてないでしょうね」


「ちょっとあさっただけよ」


「してるじゃない」


「常識の範囲内での話」


「あさること自体が常識の範囲内じゃないって思うんだけど」


「でもいっきだってカナの部屋に行ったらするでしょ?」


「それは……」


しないって断言できないのが悲しい。

カナがどんなものを持ってるのかやっぱり気になる。


「それにベッドで寝てたカナよりましだって思う」


「嬉しそうだったよね。カナさん」


「そうなんだ……」


まぁそれぐらいならって思う。

嬉しいならいいかなって。

たくさん荷物とか運んでてたし。

これから料理を作らなくちゃだし。

疲れが取れたなら私も嬉しいって思った。


「でも本当にいい部屋って感じだったよねっ!」


「そうね」


「珍しく素直に褒めるじゃない」


「きちんと片付いてたけどどうせ手伝ってもらったんでしょ」


違うって言いたかったけど。

でも……。

アイコの言う通りなだけに何も言えなかった。

そして何も言わないことが何よりの返答になってた。


「やっぱりね」


ってアイコは嬉しそうに言う。

なんだか悔しい。

でも手伝って貰わなかったらあんなに綺麗に片付けできなかった。


「どうせそんなことだろうって思ってたわ」


「あたしもいつきにしてはきちんとしてるんだなーって思った」


「全員そう思ってたわよ」


「みんなの中の私はどうなってるの……」


薄々は分かってたことだけど。


「でも本当のカナの部屋が見たかったなっ!」


「ドン引きするぐらい散らかってそう」


「そんなことはない……はず」


「自信なすぎるわね」


「片づけは別としても机とか椅子もなんかすっごくおしゃれだった!」


「それは確かにセンスあるなーって思ったわ」


「入学祝いで買ってもらったものだからね」


お父さんにどれがいって聞かれて。

3つのうちから選んだもの。

シンプルだけど使い勝手がよくて気に入ってる。


「あれ合わせて30万円ぐらいするわよ」


「嘘っ!」


「本当っ!」


って私とナツミは同時に言った。

あれってそんなに高いものだったんだ……。

安くはないだろうなーっては思ってたけど。


「カナが調べてたのを見せてもらった」


私の部屋でそんなことしてたんだ……。

何だか恥ずかしい気もする。


「ってかなんでいっきが驚いてるのよ……」


「値段とか気にしてなかったから」


「ベッドも高そうだったしいつきって本当にお嬢様みたいだねっ!」


「いや……そこまでじゃないでしょ」


「カナが言ってた通りお姫様ね。甘やかせられて育ってる感じはあるわ」


「お父さんとお母さんは優しいとは思うけど……」


普通ぐらいって思ってた。

でも……。

もしかしたら普通より甘いのかもしれない。


「アタシなんか自分の部屋なんて持ってないわよ」


「あたしも妹と同じ部屋だしねっ!」


「ナツミって妹もいるんだ」


お姉ちゃんがいるってのは前も聞いてた。

小さいナツミが頭に浮かぶ。

……きっと凄く可愛いんだろうなって思った。


「かなり生意気だけどねっ!」


「でも姉妹とかいるのってなんか羨ましいな」


「そんなことないよっ!」


ってナツミは言う。


「上からはいじめられるし下からはわがまま言われるしっ!」


「ナツミも意外と苦労してるのね」


ってアイコは言う。

私はそういうのを差し引いても楽しそうだなって思うけど。


「それより面白いものがなかったのは残念だったわ」


また言う……。

それだけ残念だったのかも。


「アイコさん、熱心に探してたもんねっ!」


「何を探したかったのよ……」


「面白いものよっ!」


アイコが見つけたかったものはなんとなく分かる。

でも……。

見られて嫌な物は朝のうちにお父さんとお母さんの部屋に隠してる。

さすがにそっちまで入らないだろうから安心。

お父さんとお母さんが帰ってくる前に回収しないといけないけど。


「カナはいっちゃんはそんなの持ってないって言ってたわ」


「力説してたよねっ!」


「かなりね。カナはいっきに幻想を持ってるわ」


「何ともコメントしづらいんだけど……」


そもそも。

私の見られたくないものとアイコが探したかったもの。

その2つが同一じゃないって可能性も大きいんだけど……。


「たまこはその時何してたの?」


「たまこちゃんは本棚の方を熱心に見てたっ!」


「それはたまこっぽいね」


アイコと違って変なことをしないところが。


「やっぱり天体の本とかたくさん持ってるんだねっ!」


「うん。図書室にはないのが多いからね」


読む人も少なそうだし。

小説以外は何となくリクエストしづらい。

だから自分で買うしかないなって思う。

意外と高かったりするから困るんだけど……。


「そういえばナツミはカナのことを羨ましそうに見てたわ」


「そっ、そんなことないよっ!」


ってナツミは慌てて言う。

カナといえば……。

確か私のベッドで寝てたんだっけ。


「ナツミも疲れてたの?」


「へ?」


「カナも疲れてそうだったしね」


「う、うんっ! 部活とかでねっ!」


「それなら今から寝てくる?」


「えっ!」


「ご飯ができたら呼ぶからさ」


「そんないいよっ! もう元気だしねっ!」


「そう?」


「うんっ!」


「遠慮しないでいけばいいのに」


ってアイコは意地悪そうな表情で言う。


「行かないならアタシが変わりに……」


「アイコは駄目」


「何でよっ!」


「何かいたずらしそうだし」


しそうっていうか絶対にするよねって思った。

ベッドの中に何か変なものを入れたり。


「まぁ今はここで仲良くお喋りしてようっ!」


「そうだね」


台所の方では。

料理がする音とか楽しくお喋りをする声が聞こえる。

やっぱりとっても仲良さそうだなって思う。

たまことだけじゃない。

カナはみんなと仲良くしてる。

あのアイコとだってすぐに。

もしかしたら……。

ちょっと無理してるのかもしれない。

でもきっと。

あれが本来のカナなんだなっても思う。

私を救わなければすぐにみんなと仲良くなったかもしれない。

クラスの中心になったかもしれない。

でもそうだったら今の私もいない。

今こうやってみんなで私の家にいるってこともない。

結果としてこれがよかったのかな?

そう思うと人間関係とか運命とか難しいなって考えてしまう。

とりあえず分かることが1つ。

今がとっても楽しいってこと。

今はそれが分かればいいかなって私は思った。


……

…………

………………


「お待たせしましたっ!」


「お腹すいてるよねっ!」


たまことカナが来て。

すぐにいい匂いに気がついた。


「かなりお腹すいたわっ!」


「アイコさんって意外と燃費悪いよね」


「ナツミだってお腹すいたーって言ってたじゃない」


「あたしは運動部だからねっ!」


「関係ありそうでなさそうね……」


「美香ちゃんは演劇部だけどよく食べますしねっ!」


「演劇部は半分運動部だって思うなっ!」


「よく走ってるのみるしね」


「体育じゃないのによく運動する気になるわ」


「アイコさんも1度部活を見に来てよっ!」


「今更、別の部活に入るわけ無いでしょ……」


何だか私の部屋から帰ってきてから。

みんな凄く仲良くなってる気がする。

私の部屋で何かあったのかな?

思わずそんなことを考えてしまう。

ナツミみにそれとなく聞いてみたけど……


「どうだろうねっ!」


って笑顔で言った。

やっぱり何かあったのかなって思う。

でも……。

何だか秘密のことっていう雰囲気があった。


「とりあえずサラダとスープですっ!」


「メインはすぐに持ってくるから食べててねっ!」


たまことカナが前にミックスサラダと野菜スープを置いていく。

どちらもしっかり手作りっ!っていう感じ。

サラダとスープ。

でも何だか両方美味しそうに見えるのが凄いって思った。

カナとたまこはまた台所へ戻っていく。

その間にお言葉に甘えて……。


「美味しい……」


スープを一口飲んでの感想。

本当に一口飲んだだけなのにすっごく温まる気がした。

野菜もしっかり煮てあって食べやすい。


「このサラダ美味しいねっ!」


そんなナツミの声が聞こえる。


「本当。こんな味のドレッシング初めて食べたわ」


「どこで買ったんだろうね?」


私もサラダを食べてみる。

……本当に初めて食べる感じ。

ドレッシングにも何か細かい野菜が混じってる。

それがいい具合に食感を作ってて美味しい。


「それは手作りだよ」


お盆にオムライスを載せてカナは言った。

オムライスっ!

前に食べたいって言ったのを覚えてくれてたみたい。


「これ手作りなんだっ!」


「うん。意外と簡単に美味しいのが作れるよ」


「美味しいですよねっ! たまこもびっくりしましたっ!」


どうやらカナ特製のドレッシングみたい。

ドレッシングを手作りできるなんて知らなかった。

本当に凄いって思う。

私はそれを意識してサラダを食べる。

うん。やっぱり凄く美味しい。

そんな感じでスープとサラダを堪能してる間に……。


「メインのオムライスだよっ!」


「ありがとうっ!」


カナとたまこがオムライスを配っていく。

近くで見ると本当にとろとろした感じで美味しそうっ!


「家でもこんなに美味しそうなのが作れるんだねっ!」


何だか本当にお店で食べるオムライスみたい。

見てるだけでまたお腹が空いてくる感じがした。


「本当に美味しそうだねっ!」


「こんなオムライス、初めて食べるわ」


配り終えたカナとたまこはそれぞれ席に座る。

見てるだけで本当に贅沢な夕ご飯だって思える。

こんな料理を2人が作れるなんて。

本当に魔法みたいだなって思った。

私は何だかおそるおそるって感じでスプーンでオムライスを食べる。


「んっ!」


パクって1口食べるだけで何だか幸せが広がる。

たまごのふわふわとかケチャップの味とか鶏肉の美味しさとか……。

そういうのが口いっぱいに広がる感じ。


「凄く美味しいねっ!」


って私の代わりに言うようにナツミが言った。

アイコも満足そうな表情で食べてる。


「わたしがチキンライスを作って卵をたまこさんにしてもらったんだ」


「そういう役割分担なんだね」


「わたしじゃこんなにふわふわって作れないからね」


「やっぱりたまこって料理が上手なんだね」


「うん。わたしよりずっとずっと上手だよ」


「そんなっ!」


照れてる。

でも嬉しそう。


「たくさん練習してるだけですよっ!」


「練習できるのも才能の1つだよっ!」


ナツミが言う。

ナツミが言うと本当に説得力がある気がした。


「頑張ることって大変だからねっ!」


「言い訳ばっかりで何もやらないやつなんていくらでもいるわけだしね」


「そういう人は何を頑張ればいいのか分からないんだよっ!」


「それって甘えだと思うわ」


「そうかな。見つけれずに苦しんでる人もいるんだと思うよ」


「そういうのは目の前のことに努力しない言い訳してるだけだわ」


「アイコさんは強いからそう思うんだよっ!」


2人は何だか真面目な話をしてる。

2人とも頑張って生きて来た人だから。

それぞれに大事なこととかあるって思う。

私は続く会話を聞きながらオムライスを食べる。


「このオムライス、凄く鶏肉が入ってるね」


だから何だか凄く贅沢な感じ。

それに具材も鶏肉とグリンピースだけ。


「ですねっ! 料理も性格とかでるんだって思いますっ!」


「性格?」


「はいっ! たまこは色々な材料を入れちゃうんですっ!」


「その点、カナは具材の種類を少なめにするんだね」


「ですねっ!」


「そっちの方がわたしは好きだなって思うだけだよ」


「でも確かにカナっぽいって思う」


そして色々な材料を入れるのは本当にたまこっぽい。

料理だけでその人のことが分かるのは面白いなって思う。

こうやってみんなのことを知っていくんだな。

良いことも、悪いことも。

でもそういうのの積重できっと。

大事な人が増えていくんだなって思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。