69
「あんまり人いないねっ!」
「そうだね」
「静かに食べれそうで良かったわ」
「何でもいいから早く食べたいんだけど…・・・」
お腹を押さえながら乙女先生が呟く。
とってもお腹が空いてるみたい。
ここに来るまでもお腹空いたってずっと言ってた。
私達が食堂についたのは。
もう夜の8時に近い時間。
食堂にはまばらにしか人がいなくて。
奥の方では後片付けとかしてる雰囲気がある。
そんな感じだった。
食堂にいる人達も食べてる人はほとんどいない。
楽しそうにお喋りしてる人ばっかり。
「あっ・・・・・・」
って私は思わず声を出した。
食堂の真ん中。
仲良くお喋りをしている数人。
その中に……
「どうか……」
カナは言いかけて言葉を止める。
きっとカナも気づいたんだって思う。
「ナツミさんがいるね」
「うん。そうだね」
多分、バスケットボール部の人と話してるんだって思う。
食後のお喋りタイムって感じ。
私は何となくそっちが気になりながら食堂を移動。
一番奥で料理部の人にご飯をもらって。
好きな場所で食べる。
そして食べ終えたら返却するところに持っていく。
私は頭の中で何度かシミュレーションする。
あんまり難しいことじゃない。
だから大丈夫だって思う。
「アタシ、食堂に来るの初めてだわ」
興味深そうにきょろきょろしながらアイコは言う。
「本当?」
「嘘つくわけないじゃない」
人が多いところが苦手なアイコ。
昼休みの食堂はとっても人が多い。
だから食堂で食べないのは納得できる。
けど・・・・・・
「オリエンテーションで入ったのは入ったでしょ」
私が言いたかったことをカナが言ってくれた。
入学してすぐ。
当時の三年生に学校の中を案内してもらった。
あの時に誰が案内してくれたとか覚えてない。
今思えば。
ちゃんと覚えてたら良かったなって思う。
でも食堂に来たのは覚えてる。
「あの時はみんなここで食べたよね」
確か私はうどんを食べた。
ナツミと一緒だったのはばっちり覚えてる。
カナとはその時はまだ話したことなかったから。
「そうだよね。だから初めてってことはないんじゃないかな?」
「初めてよ」
それでもカナは断言する。
「だってアタシ、オリエンテーション休んだもの」
「風邪をひいてたの?」
「ううん。めんどくさかったから休んだわ」
何だか予想外の言葉だった。
でも納得はできる内容だった。
「オリエンテーションとか馬鹿らしいじゃない」
「そりゃ馬鹿らしいけど……」
ってカナは呟く。
やっぱり基本的には。
カナとアイコの考え方とか似てる気がする。
だから意外に・・・・・・。
っていったら悪いって思うけど。
仲良くできてるのかもって思った。
「カナも休めば良かったのにね」
アイコは楽しそうに言う。
オリエンテーションの時のカナはあんまり知らない。
でも。
1人でお昼ご飯を食べてたのは覚えてる。
「わたしは学校はさぼらないから」
「あれだけ悪い噂があったのに?」
「そうよ」
そのやり取りを聞いて。
私はカナが中学生のころに色々してたことを思い出す。
もっとも。
私は話としてたまに聞くだけ。
だからなのかもって思う。
私が知ってるカナとそうしてたカナがあまり一致しない。
何だか別の人の話を聞いてるみたい。
「だってさぼるってことは逃げるってことじゃない」
「逃げる?」
「うん。逃げたらまけだって思ってたからね」
「何だか凄くカナっぽいわ」
言いながら楽しそうに笑う。
負けず嫌いなのは私も知ってる。
だから私もアイコと同じ気持ちだった。
そんなところがカナのいいところだって。
私が学校をさぼらなかった理由とは大違い。
「いい匂いがしてきたわねー」
一番後ろにいる乙女先生の声が聞こえた。
そうこうしてるうちに。
ご飯をもらうところまで来たから。
こうやって見ると意外と広い調理場。
中では料理部の人達が動き回ってた。
「……順番変わってくれない?」
一番前を歩いてたアイコが言う。
「というか座ってるから持ってきて欲しいんだけど」
料理部の人から直接受け取るって今知ったのかもしれない。
人見知りってのは知ってたけど……。
ご飯を受け取るのも嫌ってほどだとは思わなかった……。
「わたしもめんどくさいから持ってきて欲しいなー」
って後ろの乙女先生まで言い出すし……。
「すぐ終わるからそれぐらいいいでしょ」
カナはびしっと言ってくれる。
もちろん、持っていってあげるなんて。
私も全然する気なんてなかったけど。
でもアイコと順番を変わってあげてる。
カナはやっぱり優しいなって思った。
順番はカナ、アイコ、私、乙女先生って並び。
その順番で歩きながら食器を載せるのをとってお箸をとって……
「ありがとうっ!」
カナがサラダやビーフシチューを受け取っていく。
お皿にづいで渡してるのは私が知らない人。
たまこは……。
ってみるとパタパタって感じで片づけをしてる。
小さい体で一所懸命に動いてるのが分かった。
だから……。
頑張ってね。
そう心の中で応援する。
後でちゃんとお礼とか感想とかを言いたいって思った。
そうこうしてるうちに私の番。
私もカナと同じように料理をもらっていく。
綺麗なサラダととってもいい匂いのビーフシチュー!
何だか見てるだけで匂いを嗅ぐだけでとってもお腹が空いてくる。
私もカナみたいに言いながら進んで言った。
アイコと乙女先生は何も言ってなかったけど……。
「どこで食べる?」
全員がご飯をもらって。
カナが言った。
人は少ないからどこでも座れるって感じ。
ナツミはまだ仲良くお喋りをしてた。
こっちにはまだ気づいてないみたい。
「端っこの方でいいと思うわ」
「そうね。それがいいって思う」
私もそう思ってた。
真ん中よりなんか端っこの方が落ち着くし。
私達は一番近いテーブルの端に座った。
そこでナツミと目が合った。
「あっ!」
ってナツミが声を出す。
ちょっと驚いたような、そんな表情。
私はテーブルにご飯を置いて……。
ナツミに向かって小さく手を振った。
すぐにナツミは嬉しそうな表情をしてくれる。
そして私と同じように小さく手を振り返してくれた。
それはとっても嬉しいこと。
でも……。
少しあれって思った。
いつものナツミならもっと大きく手を振りそうだって。
すぐにこっちに来そうだって。
でもナツミは座ってるところから動く気配はなかった。
まぁ友達と一緒にいるからね。
そっちをほっといてこっちに来るのもナツミらしくないなって思った。
「それじゃ食べよっか」
「うん。そうだね」
そして私達は食べ始める。
料理部が一所懸命に作ってくれた料理を。
まずはビーフシチューを一口……
「っ!!」
食べた瞬間!
思わず声が出そうになったっ!
美味しいってっ!
普通に言えばいいんだけど。
でも思わずそんな言葉が言えなくなる。
そんな美味しさだった。
家で食べるビーフシチューより。
ずっとずっととろみがあって、お肉とか野菜もしっかり味があって……。
でも濃ゆいってだけじゃない何だかよく分からない感じ。
「美味しいね……。これ……」
カナが呟くように言う。
何だか感激してるみたいだった。
「確かに美味しいわ」
アイコも感心してる。
「ビーフシチューなんて誰が作っても一緒だって思ってたけど……」
「違うみたいだね」
私は料理ができない。
だけどこのビーフシチューが凄いってのは分かる。
本当にどうやって作ったんだろう?
魔法みたいだなって思った。
そんな中……
「グリーンピースが入ってる……」
乙女先生が言う。
「わたしグリンピース食べないんだけど……」
「大人なんだから我慢して食べてください」
ってカナはきっぱり言う。
「大人なんだから我慢しなくていいって思うんだけど」
言いながら乙女先生はグリンピースを集めてる。
そしてスプーンに乗せて……
「いつきさん、グリンピース食べてくれない?」
「私っ!」
いきなり指名されて驚いた。
「うん。だって一番食べてくれそうだしー」
「それは……そうですね」
私はお皿を出す。
グリンピースは割と好きだったりする。
だから食べるのは全然いいって思う。
「ありがとー。お礼にお肉を食べてあげるよ」
「それは絶対に嫌です」
この人はなんてことを言うんだ……。
「みんなは嫌いなものとかないの?」
グリーンピースがなくなったビーフシチューを。
乙女先生はぱくぱくって食べていく。
「わたしは……納豆とか匂いがきついものが苦手ですね」
そういえばって思う。
カナの嫌いな食べ物って知らなかった。
アイコのもだけど……。
「いっちゃんは苦いのが苦手なんだよね」
「うん。苦手」
カナは知ってたんだって思う。
いつ話したのとか覚えてないけど。
「コーヒーとか本当に飲めないから」
って言って思い出した。
去年の天体観測の時に言った記憶がある。
「苦いの苦手って子供舌ね」
アイコはけらけらって笑う。
「いつきさんって大人っぽいのにね」
乙女先生は何だか少し驚いた感じ。
「コーヒーとかよく飲んでそうだけど」
「いっきは見た目は大人で中身は子供だから」
「……それ何か分かるかも……」
「カナまで同調しないでよ……」
「でもそれがいっちゃんのいいところなんだからねっ!」
「うん。ありがとう」
「アイコさんは苦手なものないのー」
乙女先生がサラダを食べながら言う。
「何だか1番好き嫌いありそうだけど」
「それってどういう意味?」
不満そうにアイコは言う。
相変わらず先生相手に敬語じゃない……。
「だって見た目的にそうだから」
「意味が分からないんだけど」
アイコは呆れたように言う。
でも私は乙女先生の言ってることが分かる。
だってアイコってわがままそうだし。
というか実際にわがままだし。
食べ物もあれが嫌とかこれは食べたくないって言ってそう。
そんなイメージ。
人間関係だってそうだから。
でも……
「アタシは出されたものは何でも食べるわよ」
違った。
「だって食べれるだけいいじゃない」
なんだかそっけない言葉に。
とっても重い何かを感じる。
「今はましだけど本格的にびんぼーだった時はやばかったわ」
「…………」
「当時は知らなかったけど普通の家って毎日、夕ご飯を食べてたのね」
「…………」
「お腹空きすぎてダンボールを食べそうになったこともあったわ」
「…………」
「夕ご飯があっても良くてお好み焼き。具はほぼなし」
「…………」
「たまにでるバナナ1本で狂喜乱舞してたわ」
「…………」
「今日はバナナ食べていいのってね」
「…………」
「初めて給食を食べた時は美味しすぎて泣きそうになったのを覚えてるわ」
「…………」
「どんなに不人気の給食でも余ったのは食べてたからついたあだ名がざ……」
「アイコさん。そのへんで……」
カナがアイコにストップをかける。
思ってた以上にアイコの過去は重かった。
きっと全部が本当のことで。
好き嫌いが多そうって言われて。
ムカついて仕返しで言ったんだって思う。
でも……。
ダメージを受けたのは私とカナ。
実際に言った乙女先生は……
「そっか。大変だったんだねー」
ビーフシチューを食べながら言う。
普通なら何だか同情を持ったり可哀想って思ったりするところ。
アイコもそうやって罪悪感を抱かせるのが狙いだったんだって思う。
でも乙女先生は動じてない。
ある意味凄いって思う。
「やっぱり何だかお酒欲しくなってくるわね」
なんて言い出すし。
「ねぇここってお酒ないのかな?」
「……多分ないと思います」
さすがのカナも困った感じ。
「学校に泊まるのに飲めないんじゃ何が楽しいの?」
「わたし達は未成年ですし……」
カナが凄く困ってる。
何だか珍しい光景。
「顧問の先生、変えてもらったほうがいいんじゃない?」
ってアイコが私に呟く。
「楽しいからいいと思うよ」
私はだんだん乙女先生が好きになっていくのが分かった。
憧れとかは全然ないけど。
それは断言できるけど。
「うーん神河先生も泊まるっぽいから持ってそうなんだけどな」
よっぽどお酒が飲みたいみたい。
抜け出して買いに行きそうな雰囲気もある。
「乙女先生……問題は起こさないでくださいね」
ため息をつきながら。
カナは言った。
何だか本当にカナの方が担任の先生に見える。
「大丈夫。大丈夫。きっとみんな夜は酒盛りしてるから」
「何が大丈夫なのか本当に分からないわね」
そう呟くアイコに心の中で全面同意した。
そうやって喋りしながらもご飯はすすむ。
美味しいって分かってた。
だってたまこたちが作ってくれた料理だから。
でも……想像以上の美味しさ。
こんなに美味しいのを食べれるなら合宿したいって思う。
文化祭の時に。
料理部があんなに盛り上がってるのも納得できる。
「……何だか騒がしいね」
ってカナがつぶやく。
私も少し気になってたことではあった。
食堂の真ん中の席。
ナツミ達がいるところ。
よく分からないけど何か盛り上がってる。
楽しい話をしてるのかな?
何となく気になってみてると……
「ナツミさんが何か言われてる?」
「そうみたいだね」
ナツミが何かからかわれてるみたい。
そしてみんなたまにちらってこちらを見てる。
何なんだろう?
そう思ってると……
「こっち来た」
ナツミが席を立って1人で来る。
バスケット部の人達はこちらを見ている。
……よく分からないけど何か緊張。
「あっ! こんばんはだねっ!」
すぐ近くまで来たナツミが言う。
「今日から合宿?」
「うん。そうだよ」
心なしかナツミが緊張してる気がする。
珍しいって思った。
「明日までだけどね」
「そうなんだねっ!」
「ナツミさん達は?」
って聞いたのはカナ。
アイコは案の定、話す気0状態。
「えっと昨日から明後日までっ!」
「長いんだね」
「そうだね。料理部の人には何か申し訳ないけど……」
「たまこはたくさん食べてくれて嬉しいって言ってたよ」
「そう言ってもらえるとありがたいかなっ!」
「それでね……。夜は何か予定はあるの?」
「夜は?」
「うんっ!」
「夜は天体観測かな。それが目的なわけだしね」
「天体観測……」
「うん。屋上で星を見るの」
「そうだよねっ!」
ほっとしたような。
ちょっと残念なような。
変な感じのナツミだった。
「部活をしに来てるんだもんねっ!」
「ナツミさん達は何かするの?」
「まだ決まってないんだけど……みんなでオリエンテーションしようかなって」
「そうなんだねっ!」
「そっちは人数多くて楽しそうだね」
「うんっ! 楽しいっ! けど……」
「けど?」
「ううんっ! 何でもないっ!」
いつものナツミははきはきってしてる。
でも。
今日は何だか歯切れが悪い気がした。
「それじゃアタシはそろそろ時間だからっ!」
「うん。オリエンテーション楽しんできてね」
「そっちも天体観測頑張ってねっ!」
言いながら。
手を振りながら。
元の場所に戻っていく。
そして……
「また何か言われてるね」
「そうだね」
それに頭をぽかぽか叩かれてる。
ナツミは恥ずかしそうな、よく分からない表情。
「何だったんだろうね」
「あの人も天体観測をしたかったんじゃない?」
アイコは言う。
でもあの人って……。
相変わらずナツミは苦手みたい。
「ここにいたのもいっきを待ってたんだって思うわ」
「それはないと思うな」
オリエンテーションまでお喋りしてたら。
たまたま私達が来たって感じだって思う。
「考えすぎじゃない?」
「……そうかもね」
何だかアイコも煮え切らない。
カナもちょっと寂しそうな表情。
「カナもどうかしたの?」
「ううん。何でもないよっ!」
言いながらサラダを食べ始める。
乙女先生は相変わらずお酒が飲みたいって言い続けてる。
「天文部の人たちまたねっ!」
不意に声がした。
入り口の方から。
ナツミと一緒にいた人達。
食堂を出るから私達に言ってるみたい。
あまり私達とは面識がないのに。
あんなに明るく言えるのは凄いって思う。
私が小さく手を振ると。
その何倍も大きく手を振りながら食堂から出ていく。
「リア充どもめ……」
……やっぱりアイコはああいう人達が嫌いみたい……。
本当に人間の好き嫌いは激しいなって思う。
それからは今後の予定とかを話した。
夕ご飯が遅かったからそんなに余裕はない。
屋上にいられるのは10時までってカナが教えてくれた。
他の説明も全部カナがしてる。
本当にカナが顧問っぽい。
「長く見たいしそろそろ行こっか」
「うん」
「こんなに美味しいビーフシチューは初めてだったわ」
「酎ハイ飲みたい……」
それぞれで食器とかを持って返却口へ。
そこに……
「たまこっ!」
たまこがいた。
担当は終わったのかも。
エプロンとかつけてなかった。
「いっくんっ!」
たまこはいつものにこにこした笑顔。
急いで食器とかを置いてたまこに向かう。
「ビーフシチューどうでした?」
「すっごく美味しかったよっ!」
「本当ですかっ!」
「うんっ! あんなに美味しいビーフシチュー初めてっ!」
「とっても美味しかったわ」
カナも嬉しそうに言う。
「今度どうやって作ったのか教えてもらいたいぐらい」
「いつでも教えますよっ!」
「ありがとうっ!」
「いっくん達が来るから一生懸命に頑張りましたっ!」
「すごく伝わってきたよ」
「嬉しいですっ!」
たまこは料理部の人達の方を見る。
片付けとかを一所懸命にやってる。
「みんなのおかげで美味しい料理が作れて楽しいですっ!」
「本当にそうだね」
「でも本当はオムライスを作りたかったんですけど……」
「オムライス?」
「はいっ! 前にいっくんが食べたいって言ってくれたからっ!」
「そんなこともあったね」
「でも手間がかかるから駄目だって……」
「たくさん作るならオムライスはちょっと難しいかもね」
「ビーフシチューもすっごく良かったから満足だよ」
私はアイコを見る。
「だよね。アイコ」
「アタシに話を振らないでよ……」
たまこは不満そうに呟く。
あんなに美味しいって言ってたのに。
ナツミが苦手なのはなんとなく分かる。
でもアイコが苦手なのが本当に分からない。
今だって少し後ろにいて黙ってる。
乙女先生は椅子に座って眠そうにしてる……。
天体観測前に眠ったりしないよね……。
「今日はアイコさんも一緒なんですねっ!」
「うん。来たそうだったからね
「そんなこと言ってないわよっ!」
「でもいっくんと星を見れるなて羨ましいですっ!」
「そうかな?」
「はいっ!」
「……たまこも来る?」
乙女先生に頼めばなんとかなりそう……。
そう思ったけど……。
「行きたいですけど明日の話とか準備とかあるのでっ!」
「そうなんだ」
「本当に大変だね」
「でも楽しいですしっ!」
「凄いね」
カナは感心したように言う。
「カナさんも凄いって思いますっ!」
「たまこ、頑張ってね」
「はいっ!」
「あとカナさんまた後で連絡しますねっ!」
「うん。ありがとう」
「たまこはやることあるのでこれでっ!」
「今日は本当にご馳走様でした」
「うん。ご馳走様だったね」
「また合宿して食べてくださいねっ!」
そう言って料理部のところに戻っていく。
ずっと朝から夜まで大変なのに。
たまこはとたとたって元気に走ってる。
「連絡って何かあるの?」
「ちょっとねっ!」
カナはいたずらっぽく微笑む。
何だかとっても気になる笑顔だけど。
でも教えてくれないんだろうって分かる表情だった。




