表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/156

65

……ある日の出来事。


「本当に追試を受けるなんてね」


「本当になにやってるのよ……」


「一夜漬けしなくてもそんな点数とらないでしょ……」


「それで赤点取ったらどうなるの?」


「追試が駄目だったら補修があるのね」


「アタシは80点以下ってとったことないから全然知らなかったわ」


「駄目な生徒がいると先生も大変ね」


「ふーん。補修は避けたいってわけ」


「補修って最低3時間以上あるのね」


「それって先生の方が大変だって思うわ……」


「先生のためにもアタシが数学教えてあげるわっ!」


「何か不満があるわけっ!」


「アタシはカナより点数がいいのよっ!」


「いっきに教えるのにアタシが1番適任に決まってるじゃないっ!」


「ありがたく思うことねっ!


「それでどこが分からないの?」


「ああ……ここは……」


「…………」


「……何でそれぐらいも分からないの?」


「ちょっと前からした方がいいわね」


「これも分からないの?」


「ちゃんと授業聞いてた?」


「普通に聞けば誰でも分かると思うんだけど」


「どうせいつもみたいにぼけっとしてたんでしょ」


「だからっ! 理屈が分かってればどうにかなるでしょっ!」


「それぐらい勘でどうにかしなさいよっ!」


「さっきから分からない分からないしか言ってないじゃないっ!」


「なんかイライラするわねっ!」


「2桁同士の掛け算ぐらい暗算できるでしょっ!」


「って簡単な割り算を間違えないでよっ!」


「ケアレスミスが多すぎっ!」


「いっきの頭の中星でつまってんじゃない?」


「何で足し算まで間違えてるのよっ!」


「根本的に解くのが遅すぎっ!」


「泣きそうにならないでよっ!」


「そんな顔したって追試はなくならないわよっ!」


「…………」


「誰かっ! いっきに教えるの変わってっ! アタシじゃ無理っ!」


……

…………

………………


「冬休みですねっ!」


「冬休みだねっ!」


先生の話が終わって。

たまこがとたとたって走ってきた。

私も自然とテンションが上がる。

だって冬休みだからっ!


「追試も無事、切り抜けれましたしねっ!」


「そうだねっ!」


もし追試が駄目で。

冬休みも補修ってなってたら。

とっても落ち込んでたって思う。

でも目標よりずっと良い点数を取れたから。

心置きなく冬休みを迎えることができた。


「いつきの裏切りものっ!」


なんて亜里沙が言ってた。

亜里沙は追試も3教科駄目で補修がみっちりらしい。

亜里沙に教えるなんて先生は大変だなって思う。


「テストの後に勉強したかいがあったよ」


数学の追試が決まって。

私は部室で数学の勉強をしてた。

最初はアイコに習ってたけど…‥。

すぐにアイコは教えるのに向いてないって分かった。

なんか頭の作りとかが私とまるっきり違うって思う。

どうやって暗算してるのか聞いたら


「見たら普通に分かるでしょ?」


みたいなことを言ってた。

本当に凄い。

けど意味不明だって思う。

だから結局、カナに教えてもらった。

おかげで追試はばっちりだった。


「アタシのおかげねっ! 感謝しなさいっ!」


そうアイコは自慢気に言ってた。

私としてはちょっと思うところもあった。

でも教えてくれたのは本当。

それに。

追試が良かったって伝えたときに。

アイコがすっごく嬉しそうな表情を見せてくれた。

だからちゃんと心からのお礼を言うことができた。


「アイコに習うのは疲れたけどね」


思い出しただけでもなんか疲れてくる。

アイコの方がもっと疲れただろうけど……。


「アイコさんってとっても頭良くてびっくりしましたっ!」


「そうだね。テストの点数がいいのは知ってたけど……」


計算の早さとか本当に想像以上だった。


「ナツミさんやカナさんも凄いですしいっくんの周りは凄い人が多いですっ!」


「そうだね」


あの後。

カナがみんなに謝った後。

ナツミとたまことアイコ。

天文部の部室に遊びに来てくれるようになった。

ナツミとたまこはちょっと面識があった。

夏休みの合宿の時に。

ナツミはたまこと話せたことがとっても嬉しそうだった。

たまことアイコはほとんど初対面。

その上に2人とも人見知り激しいみたい。

だからまだあんまり話はしてない。

けど、ちょっとずつ仲良くなってるって思う。

みんなが部室に来てくれる。

それが何よりも嬉しいって思った。


「たまこは今日は部活?」


「はいっ!」


「冬休みも忙しそうだもんね」


料理部。

冬休みも合宿の料理担当。

夏休みよりずっと短い。

合宿するところも夏休みより少ない。

でも、大変そうだって思う。

けれど。

たまこはとっても嬉しそう。


「でも、楽しみですっ!」


とびっきりの笑顔で。

明るく言うたまこ。


「たくさんの人に食べてもらえるのは嬉しいですっ!」


「今回は私とカナもお世話になるからね」


「そうですねっ!」


たまこの料理。

本当に楽しみだなって思う。

本当は合宿するのに1つ問題はあるけど。

でもカナが張り切ってたから多分、大丈夫だって思う。


「たまこの料理楽しみにしてる」


「とびっきりの料理を作りますねっ!」


「普段どおりでいいよ」


そう言ってもらえるのはとっても嬉しい。

でも、普段通りでも。

とびっきり美味しいものが食べれるって分かってる。


「そういえば同じ日に演劇部も合宿するみたいなんですよっ!」


「そうなんだ」


話題に出たから。

何となく美香の方を見る。

美香は真剣な表情で何か読んでる。

もしかしたら新しい台本なのかも。

テスト中より、授業中より。

ずっとずっと真剣な表情をしてるから。

頑張って台詞とかを覚えてるのかもしれないって思った。


「2人に料理を作れるなんて幸せですっ!」


普通なら。

他の人から聞いたら。

幸せだなんて大げさに言ってるよねって思う。

でも。

たまこは本当に思って言ってるって分かる。

だって、たまこだから。

さっきたまこは言った。

カナやナツミやアイコが凄いって。

だけど、私は思う。

1番凄いのはたまこじゃないかって。

もしたまこがいなければ。

みんなが部室に来てくれる。

みんなが部室に集まることなんて絶対になかって分かる。


「私も幸せだよ」


だから私も言う。

大げさじゃない。

心からの言葉。


「たまこが作った料理を食べれるなんてね」


「ありがとうございますっ!」


そう言ってたまこはにっこりと微笑む。

本当に合宿を申請してよかった。

その笑顔を見て。

心からそう思った。


……

…………

………………


部室に行こうって思って。

廊下に出るとカナとナツミがいた。

カナが待ってくれてるのはいつものこと。

でも今日は。

それにナツミが付き合ってるみたいだった。

いつもは、前までは。

カナは私が教室から出たら。

すぐに気がついて声をかけてくれた。

でも。

今日はちょっと違う。

カナは私が教室を出たことに気がついてない。

教室の扉に向けられてた視線は。

今日は違う方向を見てるから。

カナはナツミとお喋りをしてたから。

2人が何を話してるかはここからじゃ分からない。

でも。

きっと楽しいことなんだろうなって思う。

2人とも笑顔で。

すっごく……


「仲良しみたいですね」


こっそりって感じで。

たまこは私に言った。

何だかその言い方とか言葉とか。

そして見えてる光景が。

とっても私も嬉しいものに感じられた。

ちょっと前のこと。

カナがみんなに謝った何日か後。

学校でナツミが嬉しそうに話しかけてきたことを思い出した。


「カナさんに友達になろうって言われたんだっ!」


ナツミは飛び跳ねそうな勢いだった。

それぐらい。

カナが友達になろうって言ったのが嬉しかったんだろうって思う。

カナも。

ナツミと友達になりたいって思ったのかも。

ずっと前から。本当は。

そう思ってしまうぐらいに2人は仲良さそうに話をしてる。

何だか。

このままにしてあげたいぐらいに。

でも……


「あっ!」


カナが私とたまこに気がつく。


「いっちゃんっ! いたんだっ!」


「本当だねっ!」


続いてナツミも私とたまこの方を見る。

見つかっちゃったな。

何だかそう思ってしまった。


「いつからいたの?」


「ちょっと前かな」


「声かけてくれれば良かったのに」


「2人が仲良さそうだったから……」


「声をかけづらかったんですよねっ!」


「うん」


「そんなに仲良さそうに見えたの?」


ってナツミは笑顔で言う。

そう見えたのがとっても嬉しかったんだって思う。


「見えましたっ!」


「うん。見えたよ」


そして私とたまこはほとんど同時に言った。


「そうなんだねっ!」


って相変わらずナツミは嬉しそう。

カナは……何だかちょっと恥ずかしそうな感じ。

あんまり見れない様子のカナ。

きっとこういうのに慣れてないんだって思う。

私もきっと同じみたいになるはず。


「部室行こっ!」


そんなカナは言った。

ちょっと慌ててるみたいに。

もしかしたら。

恥ずかしいのを誤魔化してるのかもしれない。


「お腹も空いちゃったし」


「そうだね」


「あたしもそろそろ行かないと」


「たまこもですっ!」


冬休み。

でもみんな暇ってわけじゃない。

たまこは料理部。

ナツミはバスケットボール部。

とっても頑張るんだろうなって思う。

アイコは……良く分からないけど頑張るって思う。

頑張って。

また面白い漫画を見せてくれるって思う。


「それじゃ途中まで一緒にいこっかっ!」


「はいっ!」


ナツミの言葉にたまこは元気よく返事をする。

そして歩きだして。

私とカナのちょっと前。

2人でお喋りしながら歩いてる。

2人はあっという間に仲良くなった。

本当に気が合うんだろうなって思う。

ナツミとたまこは誰とでも仲良くできそうだけど……。

って考えて私はアイコの顔が浮かんだ。

カナとたまことナツミ。

3人は面識もあったおかげかすぐに仲良くなれた。

でもアイコは何だかまだみたい。

今もいないし。

カナとは少し話すけど……。

たまことナツミと仲良く話してるってところはあんまり見てない。

1番部室に来てるのに。

でも、それもしょうがないよね。

って思う。

仲良くしてくれるのが1番嬉しい。

でも。

そうできないことだってありそうだしね。


「そういえばね」


私はカナを見て言った。


「さっきナツミと何を話してたの?」


「それは……」


カナはちょっと考える。


「秘密かな」


そして言った。

とっても気になってしまう言葉を。


「そう言われると余計に知りたくなるっ!」


「大したことじゃないよっ!」


ってカナは言う。

でも教えてはくれなさそうな雰囲気。


「そういえばねっ!」


って感じで。

カナが話題を変えたのがその証拠。

こうなったら私じゃ聞き出せない。

そう分かってから。


「どうかしたの?」


私も話題にのることにした。


「顧問になってくれる先生を見つけたんだ」


「本当っ!」


「うんっ!」


合宿の申し込み。

本当は期日が過ぎてたけどカナが生徒会長にお願いして申請できたみたい。

でも合宿するのに必要なことがあった。

それは顧問の先生。

天文部って言うけど扱いは同好会みたいなもの。

だから今まで顧問の先生がいなくても大丈夫だった。

でも合宿するにはいないと駄目とのこと。

夜に活動するから監督者がいないといけないのは当たり前だって思う。

だけど、顧問の先生を見つけるのは大変だった。

顧問になってくれそうな先生はすでになってるみたい。

天文部はあんまり活動しない部。

そう言っても監督とかするのは大変だろうし……。

もちろん、問題行動を起こしたりは絶対しないけど。

私はあんまり先生と関わってこなかった。

杉森先生にはお願いしたけど……。

でも教員じゃないから顧問になれないらしい。

そこで私は手詰まりになってしまった。

だからカナに頼るしかなかった。

そしてカナはちゃんと見つけてきてくれた。


「先生って……誰?」


「まだ正式にってわけじゃないから……秘密ってことでっ!」


カナにも考えとかあるんだろうけど。

教えてくれてもいいのにって思う。

最近のカナはちょっとだけ意地悪。


「そう言われるととっても気になるんだけど……」


「それは分かるけどねっ!」


「それじゃ……」


「先生もちょっと迷ってるみたいだから駄目だった時に気まずくなるのも嫌でしょ?」


「それは……」


そうかもしれないって思った。

もし顧問の先生が決まらなくて合宿がなしになったら。

そしてその先生が誰か分かってたら。

恨んだりは絶対にないって思うけど。

でもカナの言うとおり。

少し気まずくなるかもしれない。

カナはちゃんと色々なことを考えてくれてるんだなって思った。


「だから当日のサプライズってことでっ!」


「うん。分かった」


やっぱり私はカナに頼りっぱなしだな。

勉強とか合宿とか顧問の先生とか……。

カナに頼らないでいこうって決めたばっかりなのに……。

だから早く私もカナに頼られるようになりたいって思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ