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第6話 最強ボスvs人力チーター

タイトルの設定を忘れてました。すいません

「装備解除『屍王女の杖』。あ、ちょっと当たっちゃった。」


 メアリーは余裕の顔を見せながら、属性弾が当たったところを手で軽く振り払う。


 一方プレイヤーは立ち上がることすらぎりぎりの状態である。不思議なことに、ここまで圧倒的な差を見せつけられても、彼は依然変わりなく闘志の炎を燃やしている。


「おっと危ない。やっぱ慢心はよくないね。今後の教訓にさせてもらうよ。」


「クッソ、避けんなよ。」


 プレイヤーは一瞬の隙をついて自身の武器を投げつけたが、メアリーに防がれてしまう。


 プレイヤーは技を全て出し尽くして満身創痍に近い状態であるが、メアリーはそれでも、一切の油断なく、全力で目の前の相手を倒そうとする。


「ここまで追い詰められたのは久々だったよ。ありがとう。また頑張って作戦立てて挑んできてね。」


「う、うわああああああああ!」


 プレイヤーは隠し持っていた短剣をメアリーに向けて投げ続ける。メアリーは、一見最期の醜いあがきのように見えるプレイヤーの行動でも何か意図があると一度その場を離れる。


「勝負をあきらめない姿勢は素晴らしいと思うわ。それをおとなしく食らうかどうかは別だけど。」

 

「っち、さすがに警戒されるか。だがここまでやれば後はもうやけだ!『爆破突撃(ニトロ・アタック)』!」

 

 あたりに散らばった短剣が爆発すると同時に、プレイヤーは正真正銘最期の一撃を繰り出そうとする。プレイヤー自身の速度は数十分前と比べても大きく劣っているが、あたりに散りばめた爆発の衝撃のおかげで今まで以上のスピードを出しながらメアリーに襲い掛かる。


 いくら油断しないといっても相手の全力を受け止めず勝利するのは、メアリーが最も重要視しているユニークボスモンスターとしてのプライドに反する。


 メアリーは刀を構え、猛スピードで迫りくるプレイヤーを迎え撃つ。


「スキル『超加速』『疾風乱舞』!」


「剣技『紅』。」


 プレイヤーの速度を上げた最速の一撃とメアリーの龍を屠った最強の一撃がぶつかり合う。爆音すら切り裂くほど剣と剣のぶつかり、森中に音が鳴り響く。


 時間にして1秒に満たないほどの一瞬の出来事でも、メアリーとプレイヤーにとっては数十倍も長い時間のように感じられた。


 互いの位置は入れ替わり、メアリーは次に備えて振り向いた。プレイヤーは振り向かずにそのまま倒れこむ。


「間違いなく今までで一番強かった。その誇りをもって、この戦いを糧にして再び私の前に立ちはだかってくれることを待っています。剣技『血車』。」


 最期、一瞬だけ振り向いたプレイヤーの顔は間違いなく「次は必ず倒す。」という闘志に満ちた表情をしていた。


【プレイヤー『ケイトラ』を討伐しました。対象が討伐されたため『生命の呪い』が解除されます。】


 刀を振り下ろした後、戦いの終わりを告げるアナウンスが流れた。メアリーはその場で倒れこみながら、『屍王女の杖』を使って回復を行う。メアリーは長時間の戦闘で精神的にも疲労しているが、そんな疲労も吹き飛ぶほど強敵との戦闘の勝利に感情を支配されている。


「いやあ焦った。まさかHPを強制的に減らすスキルがあるなんて。スキル『決死の一撃』。これは間違いなく私にとって脅威になりうるスキルね。」


 ここまで自分を追い詰めたのは相手のプレイヤースキルもあるが、スキル『決死の一撃』と『生命の呪い』の存在が大きいように感じた。


 『生命の呪い』は間違いなくユニークレベルの性能をしているので特段考えなくていいにしても『決死の一撃』はおそらく誰でも使えるような汎用スキルだろう。


 メアリーは『決死の一撃』を今後プレイヤーと戦う上で一番気を付けなければスキルだとこれから注意することにした。現状の推測でしかないが自分のHPと同じにする効果と防御力を無視するのは確定だろう。しかし、あのプレイヤーが1回しか使っていないのを見ると、かなり厳しい条件だとも推測できる。まあ、奥の手の1つとして考えればいいだろう。


 「スキルの推測はここまでにして、次は反省会としますか。」


 メアリーは体を起き上がらせあぐらをかいた姿勢で先ほどの戦闘の1人反省会を始めた。


「まずは、油断しすぎたかな。」


 相手を下に見ることは決してしていないと断言できるが、自分のステータスを過信していたかと言われれば何も言い返せない。


 「そもそも夜血の羽衣を装備したのが間違いだったかも。」


 夜血の羽衣は夜に真価を発揮する装備。昼間に装備をつけてもただ軽くてそれなりに防御力が上がるだけの装備なのだ。相手は速度で翻弄するタイプだったのであながち間違いではなかったのだが、それでも別の装備を付けたほうが幾分かましだった。


 メアリーはほかにもあれがダメこれがダメと頭の中で自問自答を繰り返した。次に顔を上げたとき、空はすでに暗くなり始めていた。


「うわっ。もうこんな時間か。」


 かなり集中していたのだろう。気づけばHPはマックスまで回復しており、その分過剰に消費したMPが目に入る。


「装備解除っと。今日はこれくらいにして後はAIちゃんに任せましょうかね。」


 久々に有意義な時間が過ごせたと、すっかり休んだ体を起こしながらログアウトに手を伸ばした。


【付近に粛清対象のプレイヤーが存在します。】


「む。私に残業を求めるか。生きて返してはおけんな。覚悟しろ名も知らぬプレイヤーよ。『吸血女王の飛翔(クイーン・バタフライ)』」


 元に戻った飛翔スキルを使ってプレイヤーの元へ向かおうとする。


【付近に粛清対象のプレイヤーが存在します。】


 少し移動すると再びアナウンスが流れた。


 【付近に粛清対象のプレイヤーが存在します。付近に粛清対象のプレイヤーが存在します。付近に粛清対象のプレイヤーが存在します。付近に粛清対象の……………………


「ちょいちょいちょいちょい!どんだけいるの!?」


 あまりにも異常なアナウンスがメアリーの耳に入り続ける。うるさくて気が散るため1度アナウンスをきって再び空を飛んで進もうとすると、おびただしい数のプレイヤーが森の中を侵略しているのを発見した。

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