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第18話 最強ボスと宝玉争奪戦-10-


 「イカれてやがんぜこの女。自分で隕石振らせておいてわざわざこっちに向かってくるなんてよお。いいぜ、存分にやりあおうじゃねえか!」


 アルバートは盾が無用のものだと思うや否やすぐに捨て去り、新しい武器としてハンマーを装備した。


 明らかに両手持ち用の大きさを片手で持ち上げ、向かってくるメアリーへ投擲した。


「『大鎚一擲』!」


 巨大なハンマーは一直線に向かっていったが、メアリーは速度を緩めることなくかわし、さらにアルバートとの距離を詰める。


「戻ってくるのももちろん想定済みだよ!」


 メアリーはアルバートとの距離がすぐそこまで近づいたにもかかわらず一度アルバートを過ぎ去り、完全な脅威を消し去ってから再び攻撃に転じた。


「てめえの尺度で俺を測んじゃねえよ。ならここまで読めてんのか?武技『二鎚迎撃』!」


 戻ってきたハンマーは右手でつかみ、勢いを利用して向かってくるメアリーの頭上に狙いをすませた。もう1つ、空いた左手でも同じくハンマーを装備し、今度は己の力のみでメアリーの横腹めがけて振りぬく。


 メアリーは上からの攻撃を防いだものの武器を1つしかもっていないせいで2撃目の横からの攻撃をもろに食らうことになった。


「私はまだ死なないよ!剣技『血車』!」


 無理な体勢をとったアルバートはメアリーの剣技を避けることができず、首に刃が当たるまで数センチまでとなった。


「剣技『居合・白刃』!」


 あと少しというところでKarinがメアリーの攻撃を防いだ。まさかアルバートを助けるとは思っていなかったメアリーは驚きながらも一度体勢を立て直すために少し離れた位置で息を整えた。


「これで貸し1だからね!」


「ざけんな、てめえが倒れてんのをわざわざ見逃してんだから貸し借り0だろ。まあいい、あいつからやるぞ。さっきからあの隕石がうざったらしくてたまんねえ。てめえの命はそれからにしてやるよ。」


 ここにきて強者2人が協力する形をとり、1対2という構図に変化してしまった。一見不利なように見えるメアリーだが自動回復がある以上、まだあの2人よりは優位に立っている。


 「いいね!2人同時にかかってきな!」


 地面はボコボコになり、歩く場所すらないほど抉れているがそれでもお構いなしと3人は躊躇なく向かっていく。


「剣技『白鷺』。」

 

 まず最初に、メアリーの背後をとったKarinがメアリーに向けて一撃を与える。メアリーは当然のように防ぐとすでに目の前にはハンマーを振りかぶっているアルバートの姿が見えており、それを一瞬にして刀を持ち替えたメアリーが軽くいなす。反撃をする隙を与えまいとKarinはメアリーに対して次の攻撃を行う。


 前と後ろ、時に横からや上からと四方八方から絶え間なく来る2人の攻撃をメアリーは全身全霊をもって受け止める。当然やられてばっかでないメアリーは、次々と襲い掛かる攻撃を防ぎながら魔法を発動し、2人に向けて放つ。


 それでもなお絶え間なく続く攻撃を受け止め続けたメアリーは1度だけ攻撃を許してしまった。

 たかが1度、されど1度。絶え間なく続く攻撃の中で1発当たればそれだけでバランスは壊れ、2度3度と攻撃が当たる回数を増やしてしまう。


 刀1本で3つの武器を抑え込み、これ以上のダメージを受けないようにしているメアリーはまさしく神業ともいえるものである。2人はメアリーからの反撃には目もくれず、ただメアリーが先に倒れてくれるのを祈りながら各々の武器を振り続けている。ようやく2人がメアリーに一撃与えた頃には、どちらもHPが残りわずかとなっており、あと数発今のような魔法に当たるか1発だけでもメアリーの刀に当たっただけで終わるようなHPとなっている。


 敵が消えるその時まで攻撃をやめる気のない3人は小さな空間で激しい戦闘を繰り返し行っている。刀と刀がぶつかる音も、刀とハンマーがぶつかる音も鳴りやまぬことはなくいつの間にか止んでいる隕石にすら気づかないほど驚異的な集中力を発揮している。

 

 まさしく気合と気合のぶつかり合い。Karinが刀を振ってメアリーが受け止め、アルバートがハンマーを振り下ろしてメアリーがそれをいなして、一瞬でも隙が生まれればKarinに向けて刀を振り、Karinはそれを受け止めその隙にアルバートがハンマーを振るう。メアリーがその場から抜けだそうとしても絶対に見逃さないようにKarinが先回りし、アルバートは逃げだしそうな方角からハンマーを振りぬく。


 しばらくして2撃目を食らってしまったメアリーはいよいよ体に限界がやってきていると直感する。後一撃でも食らえば敗北となる状況で、メアリーは未だ成功したことのないものに挑戦することにした。


「刀舞『血廻乱歩(けっかいらんぶ)』。」

 

 メアリーは自身の体から無機物である刀にまで殺気をこめ、まるで踊り子のように舞いながら刀を振るう。動きは激しく、心は穏やかにし、動き続けたメアリーはKarinが振りぬいた瞬間刀を踏みつけ2度目の攻撃を抑えた。当然のように攻めてくるアルバートのハンマーの上に乗ったメアリーはそのままの勢いで空に少しだけ飛んでいった。

 

 2人はチャンスだといわんばかりに着地の瞬間に狙いすまし、全身全霊で武器を振ろうとしていた。


「スキル『浮遊』。」

 

 一瞬浮くことで落下までの時間を遅延させたメアリーに、2人は虚を突かれていしまい、膠着を生むこととなった。そんな2人を見逃すことなく、メアリーは最後の力を振り絞って刀を振りぬいた。

 

「剣技『血車』。」


 Karinとアルバートはメアリーの間合いから逃げることも、防ぐこともできなかった。しかし、最後の最後まであきらめなかったKarinは刀の刃を上に向けた。それと同時にあきらめなかったアルバートも踏まれた勢いで落ちているハンマーの持ち手の部分を踏み抜き、一か八かの相打ちを狙う。

 

 すでに刀を振りながら落下しているメアリーはこちらを向いている刀も向かっているハンマーも避けることができずに当たってしまう。

 

「くっそおおおおおおおお!」

 

 2日目時刻15時54分。イベント開始から約40時間が経った頃に、3人の強者は相打ちという形で幕を下ろした。

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