第16話 最強ボスと宝玉争奪戦-8-
「剣技『血車』。」
「剣技『白鷺』。」
お互いに一歩も譲らず激しい攻防戦が繰り広げられている。刀がぶつかり合い膠着状態になればメアリーは魔法攻撃を放ち、Karinは一度下がって冷静に対処する。その後Karinは魔法を使われないようにさらに攻撃の間隔を短くし、メアリーはその攻撃を受け止め空いた隙を狙って魔法を撃ち続ける。
はたから見れば異次元ともいえる戦いに周りの生き残ったプレイヤーはみな手を止め観戦に回っていた。
「すごい剣技だね。太刀筋が私よりもきれいだ。」
剣の腕ではKarin が圧倒的に優勢だが、メアリーの剣と魔法を合わせた戦い方でぎりぎり調和が保たれている。
「貴女もさすがユニークボスって言ったところだね。いや、それを抜きにしても本当にいい太刀筋だ!」
2人とも笑顔でまだまだ余裕だといわんばかりに小話まで始めている。しかし、最初にその均衡を破壊したのはほかでもないメアリーだった。
「いいね良いね!すごく楽しいよ!どんどんギアを上げちゃおう!血刀『紅下黒』。私の血を吸いなさい。」
メアリーの刀がどんどん赤く染まり、最終的に完全な赤色の刀へと変化した。当然あからさまな強化を見逃すわけがないKarinはメアリーが完全に強化される前に邪魔をしようと攻撃をしようとするが後一寸先のところで防がれてしまった。
「っくうぅ~!」
Karinはただ防がれたはずが、まるで刀を金属に思い切りたたきつけたかのような感触に悶えた。
「剣技『赫断』。」
メアリーはその場を動けないKarinに向けて刀を振り下ろす。Karinはぎりぎりのところで復活し、何とか避けることに成功したかのように思えた。
「痛っ!刀が伸びるとかあり?」
間合いを間違えることなど絶対にしないKarinが攻撃を掠ったとなると答えは刀が成長したくらいしかありえない。
「ばれないように少ししか伸ばしてなかったのに。ちなみにこんなこともできるよ。剣技『赫薙』!」
刀身を長くしたメアリーは横に思い切り刀を薙ぎ払った。
「危ない!避けて!」
とんでもない長さまでに成長したメアリーの刀は、振りぬく速度が遅くなっているため、避けるのは簡単にできる。しかし、それはあくまでKarinなどのごく少数のプレイヤーに限った話なだけであって普通のプレイヤーに避けるほどのプレイヤースキルは存在しない。
周辺にいたプレイヤーたちは誰一人として避けることができず、範囲内にいたプレイヤーたちはそのまま退場してしまった。残されたのはKarinと範囲外にいた数人のプレイヤーだけとなっていた。
「さあ、随分と静かになったね。じゃあ続きといこっか。」
刀を普通の長さに戻したメアリーは再びKarinのほうに刀を向ける。あまりの規格外さにKarinの頬に汗が伝うが、諦めることなくメアリーと対峙する。
「っち。なんで俺んとこでKarinと執行者が戦ってんだよ。意味わかんねえな。」
再び戦いが始めようと互いが地面を強く踏みしめたタイミングで1人の間延びしただらしない声が響いた。
「アルバート!」
Karinがアルバートと呼んだその男は武器すら手に持たず、丸腰でメアリーの後ろからやってきた。
「なんだKarin。お前こんな弱ってるやつに苦戦してんのか?ずいぶんと落ちてんな。」
「剣技『縮赫』。」
メアリーは、一瞬で間合いを詰めると隙だらけのアルバートに向けて剣を振るった。Karinですら避けることを選んだ攻撃をアルバートは顔色変えずに、いとも簡単に受け止めた。
「お前、なんで剣にこだわってんだ?まだ魔法を使われた方が厄介だぞ?スキル『反射』。」
メアリーは一切の油断せず、何が来ても対応できるように構えを続けていたにもかかわらず、次の瞬間攻撃を食らい、遠くまで吹き飛んでいった。
「ぼ~っとしてんじゃねえよ。スキル『回転攻撃』『魔法操作』。」
アルバートは唖然としていたKarinに向けて不規則に動き回る弾を放った。一度戦い、彼の戦い方を知っているKarinは弾を避けずに斬ろうと刀を振った。弾の軌道も剣を振るタイミングも何もかも完ぺきだったにもかかわらず、弾はKarinの体の中心を打ち抜いた。
「クソどら猫風情がのんきに人様の縄張り荒らしてんじゃねえよ。」
ものの数秒でメアリーとKarinを吹き飛ばしたアルバートは苛立ちをあらわにしながら2人に宣戦布告をした。
メアリーとKarinの宝玉をかけた戦いはランキングの1位の乱入によって、敗者がすべてを失う3つ巴の戦いへと変化していった。
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