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第12話 最強ボスと宝玉争奪戦-4-


 「取られたものは仕方ない。気を取り直して取り返そう。」


 イベント開始から半日経過し現在の時刻は21時となった。ログインするプレイヤーも増え、廃人ともいえるプレイヤーたちも増え始めるだろう。


「まず取られた分を取り返そう!話はそれから!」


 少なくとも1時間前から戦っていたのだからそんなに遠くの塔から来てないはずだ。付近の塔を片っ端から潰していけば確実に宝玉を取り戻せるだろう。


「もう考えるのなんてなし!さあ、レッツゴー!」


 今日のところは塔を手放すことになってしまうがそれでもかまわない。2つ取られたのなら2つ取り返す。3つ取られたのなら3つ取り返す。それがメアリーの心の中の掟だ。


 メアリーは早速塔へ行く準備をする。一応としてHPの確認をするとステータスが増加しているのを確認した。


 「あ、そっか!夜じゃん!」


 メアリーは吸血鬼の中でも最上位の吸血魔王ヴァンパイア・エンペラーである。通常の吸血種族であれば日が出ている間弱体化するのだがメアリーは一切の日による弱体化を受けない。むしろ夜の間であればHP、MP、攻撃力、防御力のステータスが2倍にまで上昇するのだ。


 「スキル『身体強化』『隠密』『消音』。」


 メアリーは思わぬ誤算を惜しみなく使っていく。音と姿を消し、身体能力を上げた。迅速にプレイヤーを狩るために隠密特化の暗殺スタイルで闇夜を駆け抜ける。


 「剣技『血車』。」


 メアリーは見かけたプレイヤーを1人として見逃さず奇襲を仕掛け討伐していった。パッシブスキルにある夜王の眼のおかげで夜眼が効くため、確実に先にプレイヤーを見つけ、確実に先に攻撃を仕掛けることが可能となっている。


 これに加えて身体強化も使っているので今のメアリーを止めるすべなど存在しない。


 こうして5分もしないうちに目的の塔までたどり着いたメアリーは、更なるポイントを求めて付近のプレイヤーたちを狩りつくす。

 

「剣技『血車』。スキル『魔血弾』5連。」


 プレイヤーを倒しながら、片手間で別のプレイヤーを倒す。


「スキル『炎槍』5連。スキル『氷槍』5連。剣技『血車』。」


 スキルのクールタイムが終わらないのなら別のスキルを撃てばいい。並列魔法や魔法操作はMPさえ使えばクールタイムなしで扱うことができるのでどんどん使っていく。


 敵の存在に気付いたとしても見つからないのなら意味はない。気づかれそうなら剣技を、少し遠くにいるなら魔法を使い続け、10分もかからずにほとんどのプレイヤーを討伐していった。


「ここからは塔の内部だからバレること前提で行かないと。ま、真正面からはいかないんだけどね。スキル『壁歩き』。」


 メアリーは自分にやられた策はすぐに試す。塔の壁面はところどころ返しがついているようで登りづらいが、メアリーは何とか頂上まで登ることができた。


 このまま階段を下りればすぐに宝玉の部屋へと続く。メアリーが下りようとしたところ、下で話し合う声聞こえた。


 このまま突っ込んでも確実に宝玉を盗むことはできる。しかし、ここでばれてしまえばせっかくの隠密行動が台無しになってしまう。

 

「あ、いいこと思いついた。スキル『魔法隠密』『魔法反壁』。」

 

 メアリーは宝玉の部屋に魔法反壁を展開した。魔法を反射する壁に、密室。後は少しのアクセントを加えるだけでいい。


「スキル『魔血弾』5連。」

 

 直後内部から叫び声が響き渡る。メアリーは内部の状況を見ていないため、悲鳴が聞こえなくなるまで、『魔血弾』を撃ち続けた。


「はい。宝玉1つゲット。いやあこれは楽だねえ。じゃあ次の塔に行こうっと。」


 メアリーは楽々と宝玉を手に入れ、その場を去った。


「次はあそこの塔かな。」


 メアリーは狙いを定めて同じように周りの敵を片っ端から討伐していき、塔の頂上へ登って、逃げ場をなくした状態で魔法を放つ。


「ここも1個。次はあそこにしよう。」


 こうして2基、3基と塔を襲撃していったメアリーは4時間が経った頃には荒野に存在する塔、計6基をすべて襲撃しそこにあった宝玉を根こそぎ奪っていった。


「さすがに疲れたかも。後は塔に戻って宝玉を守ろう。」


 MP自動回復があっても回復量よりも消費量が上回ったせいで残りは10分の1もMPは残っていない。


 メアリーは身体強化を解いて少しでも回復速度を上げようとする。といっても20分ほどで全回復するのでMPが半分ほどに回復した時点で再び身体強化をし、自身の塔へ帰った。


「さあ、ここからは塔を改造する時間だね。」


 眠い目をこすりながらも、メアリーは自分が休んでいる間に盗まれないように塔に魔法を施す。


「スキル『血の茨』。」


 塔をの壁面を真っ赤な茨が覆い隠す。これだけで壁面を登られるなんていうへまはしないだろう。


「次は内部っと。スキル『魔罠』。設置スキルは『炎槍』、こっちには『氷槍』っと。あ、こっちには別の種類のスキルを、せっかくだからここには回復系の当たりを入れておこっと!」


 『血の茨』も『魔罠』も効果時間は消費したMPに依存する。今回の場合槍系の魔法スキルが30発、回復系の魔法スキルが2発、さらに今出せる最高火力の魔法である『爆炎星』と『雷帝星』を1発ずつの計34発を設置した。血の茨の分も合わせて1分あたりの消費量は1,400ほどになる。


 しかし、私は称号の効果によって消費MPが半減されるため、実際は1分あたりの消費量は700となる。


「とりあえず大目に見て8時間にするとして40,000に8時間かけるから…………大体32万くらいか!」


 こうして塔の魔改造を終えたメアリーは集めた宝玉計10個を置いて、そのまま宝玉の部屋でログアウトを行い、万全の状態でプレイヤーを待ち構えて眠りについた。


  ――宝玉争奪戦ランキング(残り:54時間15分)

 1位Karin 82,125pt(宝玉所持数5個)

 2位 わかめおにぎり 63,210pt(宝玉所持数4個)

 3位 アルバート 56,635pt(宝玉所持数8個)

 4位 トメィトゥ 46,785pt(宝玉所持数2個)

 5位 タケノコ 40,570pt(宝玉所持数2個)

 ……

 20位 メアリー 30,310pt(宝玉所持数0個)

 ……

お読み下さりありがとうございます!

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