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第9話 最強ボスと宝玉争奪戦-1-

 現在の時刻は午前9時。広大なステージにイベントの開始を知らせる鐘が鳴り響いた。


 開始と同時に塔の内部に転移させられたメアリーは、何よりも先に自分のステータスの確認からはじめた。

 【ステータス】

 名前:メアリー

 Lv100

 種族:吸血魔王ヴァンパイア・エンペラー

 称号:執行者⋯⋯悪を討つべく使命を与えられた。任意の相手の善悪を確認することができる。善に寄れば寄るほど獲得経験値や与えるダメージが減少し、悪に寄れば寄るほど獲得経験値や与えるダメージが増加する。

 魔王⋯⋯種族:魔族と敵対しない。他種族の好感度が最低値となり、敵対状態となる。また、MPに2倍の補正がかかり、消費MPが半減する。

 裏切り者⋯⋯友好種族を裏切った者に贈られる称号。種族:魔族に準ずる者を討伐した際EXP(経験値)が得られない。他種族を討伐した際に一定量のEXP(経験値)を奪うことが出来る。

 創造主からの贈り物⋯⋯特別な存在に対し、贈られる物。また本人の意思が存在しない場合、自動で敵を殲滅する。

 龍殺し⋯⋯大いなる存在を打ち滅ぼした者に贈られる称号。任意の敵対種族に対して状態異常『恐怖』を付与することができる。

 ユニークボスエネミー……唯一の存在であり、その種族の頂点に君臨するモンスターに対して与えられる称号。固有の武器、装備を生成できる。

 

 HP(体力):100,000

 MP(魔力):200,000

 STR(攻撃力):50,000

 VIT(防御力):5,000

 LUX(幸運): 200,000

 INT(知力): 200,000

 武器:血刀『紅下黒』(装備固定)

 防具:黒鎖の赫服(装備中)

 パッシブスキル:MP自動回復(極大)、HP自動回復(極大)、状態異常耐性(大)、夜王の眼、他

 アクティブスキル:浮遊、全属性魔法(大)、並列魔法使用(5)、身体強化(大)、魔法操作(大)、他


 概ね資料にあった通りの調整のためステータスもスキルの問題もなし。確認が終わり、決めていた作戦通り塔に来たプレイヤーを討伐していこうとしたメアリーだが、当然好奇心に勝てるわけがなく、イベント開始から5分が経った頃に塔から飛び出していった。


「うっわぁ!」

 

 一面砂だらけの荒野がメアリーの眼前に広がる。付近には塔らしきものがいくつもそびえたっており、かなり最悪な位置に転移させられたことを理解する。


「ん、あれはプレイヤーなの、かな?」


 かなり小さくわかりづらいが人型のようなものが一斉にこちらへ近づいてくるように見える。


 この塔に戻って待っていてもこちらへ向かってきそうだが、メアリーはせっかくならと、わざわざ人影の元へ向かっていく。


「あっ、飛べないんだ。不便だな~。」


 今までよく使っていた吸血女王の飛翔は消えて浮遊という初期スキルに調整されている。このスキルはただ浮くだけで自由に動き回ることなんでできないので実質死にスキルとなっている。


 仕方なく歩いて人影の元へ向かったメアリーはしばらく移動し、プレイヤー達の目の前までやってきた。


「お嬢ちゃん!今回のイベントではしゃぐ気持ちはわかるけど、1人で行動しないほうがいいよ!今回は見逃してあげるけど次あったときは戦うことになるから!」


 プレイヤーの軍団の中、1人のプレイヤーが前に出て荒野の中を1人で歩き回る少女に向かって忠告をする。


「結構です。それよりせっかく相まみえたのだから少し遊びませんか?」


 塔に帰っても結局1人のメアリーはプレイヤーの軍団に向かって己の武器を向ける。


 前に出たプレイヤーは深くため息をつくと、他のプレイヤーに合図をした。


「仕方ない、どうせ3回までなら復活できるから今回は教訓として倒すことにするよ。みんな、油断せずに行くよ!」


 プレイヤーたちはコンビネーションこそはぎこちないがそれぞれが己の役割を理解し、最善の行動をしている。


 メアリーが関心する間もなく、目の前に剣や槍、盾を持ったプレイヤーたちが攻めてくる。


「剣技『血車』。」


 「グハッ!リ、リーダー!こいつ異様に攻撃力が高い!気を付けて……」

 

 メアリーは前に攻めてきたプレイヤーたちを一掃しようとしたが、1人だけHPを削りきることができなかった。

 

「剣技『血突』」


 まさか生き残るとは思っていなかったメアリーは、弱体化の具合が思ったよりも影響していることに驚いた。タンク1人すら一撃で倒せないレベルまで攻撃力が落ちているとなると高レベルのプレイヤーを複数相手にするのは厳しいかもしれない。


 メアリーは自身の弱体化の認識を改めた。特にHP管理とMP管理については一歩間違えただけで敗北の可能性もあるので気を付けなければならない。

 

「スキル『小炎弾』!とりあえず遠距離で牽制するぞ!」


「スキル『身体強化(小)』。ひとまずみんなにバフかかけていきます」


 一瞬にして前衛がやられたプレイヤーたちは、メアリーの間合いに入らないように注意しながら遠距離から攻撃を仕掛けていく。


「魔法なら魔法で対抗しましょうか。『炎槍』『氷槍』『岩槍』『雷槍』『影槍』」


 5つの属性の違う魔法がプレイヤーの放った魔法を消し飛ばし、そのままプレイヤーに向かっていった。


「に、逃げろ!『挑発』『魔力壁』!」


 5本の槍は進路を変え、1人のプレイヤーに向かう。プレイヤーは1人前に出て、防御壁を展開する。1本の槍は完全に防ぐことができたが2本目で壁にひびが入り3本目で完全に破壊されてしまう。残りの2本をまともに食らったプレイヤーはそのまま消滅してしまった。


「逃げるぞ!全員、元の塔に戻れ!」


 1人のプレイヤーが叫ぶと他のプレイヤーたちは一目散に来た道を戻っていく。


「あれ、もう帰るんですか?ならせっかくなので手土産を差し上げましょうか。スキル『爆炎星』『魔法操作』」


 メアリーは逃げ去っていくプレイヤーたちの中で一番密集しているところに狙いを定めた。小さな火種は正確にプレイヤーたちの元へ飛んでいき、着弾したかと思うと、大きな爆発音が辺りを包み込む。


 始めは30人程で行動していたプレイヤーたちは、メアリーと遭遇したことで帰るころには10人にも満たないほどまで減ってしまった。


 メアリーは特に追いかけることをせず、満足そうに振り向いて自分の塔へ歩いて戻った。

 

 

 ――宝玉争奪戦ランキング(残り:71時間51分)

 1位 メアリー 210pt

 2位 わかめおにぎり 15pt

 3位 さいとう 10pt

 4位 タケノコ 10pt

 5位 ぽぽ 5pt

 ……

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