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マリオンvsユリアーノ


「失礼、楽しそうな声が聞こえたもので」


 


 マリオンは仕事の合間を縫ってリシェラに会いに行った。結婚して以来、リシェラの顔を見たり、話したりするとリラックスできるようになったのだ。リシェラとより愛情深い関係性になりたいと思い、部屋へ向かった。

 部屋の前に着くと、楽しげなリシェラの声と、ハリのある男の声が聞こえた。


「ユリアーノ王子、我が妻リシェラと話して機嫌がよいようで」

 我が妻を強調して言う。


「これはマリオン王子。リシェラ様の心からのおもてなしに感謝していたところです」

 そう、心からのおもてなしにね。


 焦ったのはミーナだった。マリオンが仕事時間に部屋を訪ねてくるのは珍しく、まさかユリアーノと鉢合わせしてしまうとは思っていなかった。

 誰だって自分の居ないうちに、妻が他の男性と楽しく話しているのは嫌なはずだ。ましてや、賓客のもてなし期間はすでに終わっている。

 ミーナからの発言はできないが、極力リシェラの近くに控える。


「今日は先日ミーナがユリアーノ様にしてしまった粗相のお詫びの会ですの」

「なるほど、ミーナがね」

「侍女の不始末は主人の責任ですわ」

「ではミーナが不始末をしなければよかった話では?」

 こんなに機嫌が悪いマリオンは珍しい。よほど仕事の合間のスイートタイムを邪魔されたくなかったのだ。


「マリオン王子がこんなに大人がないとは。起きてしまったことはしかたのないこと。ましてや大したことではなかったのです」

「では、のこのこと我が姫のところにやってくる必要もなかったのでは?」


「お兄様、おやめください。ユリアーノ王子は国賓です。私が本日お招きすると決めたのです。もし間違えてしまったなら時間をあらためてご指導ください」

「では、リシェラには夜に」


「ユリアーノ王子、夫がいる女性の部屋に長居は感心しませんぞ」

 マリオンは太い尾びれを見せつけるようにゆっくりと動かしながら退出した。


「夫が申し訳ございません」

 リシェラは困惑していた。マリオンが怒るようなことではなかったはずだった。

 ユリアーノは、内心むかっ腹が立っていたが、困ったような表情を作って見せた。

「たしかにマリオン王子がおっしゃる通り、わざわざリシェラ様のお手を煩わせる程度のことではなかったかもしれませんね」

「いえ、ミーナは私が可愛がっている侍女です。このようなことになってしまい、またお詫びをしなければ・・・」

 

「私に、ユリアーノ王子がご滞在中のお世話をさせてください!」

 ミーナは思い切って言ってみた。

 自分のミスで、こんなに問題が大事になってしまった。しばらくマリオンと顔を合わせない方がよいし、なによりリシェラのメンツを傷つけてしまった自分が許せなかった。


「まぁ。。。ユリアーノ様、それでよろしいでしょうか?」

 リシェラは、ミーナがユリアーノの世話係になれば、2人の仲が良くなるのではと考えた。


 ユリアーノのほうも棚からぼたもちである。滞在中の可愛い世話係ができてしまった。

「では、それでお願いします。明日城下へ行く予定だったので、案内してくれますか?」

「はいっご案内いたします!」

 ミーナの緊張は服越しでもツンと分かるほどだったが、ラッキーすけべの女神なので致し方ない。


 ユリアーノは明日を楽しみに退出した。


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