豆の村③
「テイリック、案内人の役目を引き継がないかい?儂はもう迷い人とあちこち歩く体力がない。息子には無理だろうが、テイリックならできると思うがね。」
今なら儂も手伝えるぞ、分からんことだらけだがな、と大笑いしながらじいちゃんは僕に言った。
それからしばらくして迷い人が現れた。
かわいらしい人だなぁと思った。同時に大変だったんだなぁとも。ここでは、楽しく生きて欲しいなぁとも。
かえでさんは律儀にミウさんにお礼を、と会いに行った。そこからはあれよあれよという間に豆の村に行くことになった。
ふとした瞬間に寂しそうにしているかえでさんを見かける。何かをしている時、考えている時は大丈夫、周りに誰もいない時が、不安になっているようだった。
昔、じいちゃんと話していて思ったことがある。
その時は迷い人のことは知らなかったから、他の誰かが関係してたんだろうけど。
もし、ひとりぼっちになったら、寂しいのかなあと。じいちゃんは、「誰かがいるよ、見えないかもしれないけど、1人ってことはないよ」と言っていた。
案内人は、迷い人にとって、その誰か、であるといいのかもしれない。
朝からかえでさんは、村長さん宅にやってきたミウさんと豆腐の販売について話し合っていた。
「あ、おはようございます。テイリックさん。昨日はありがとうございました。」
「いえ。おはようございます。何かありましたか?」
ミウさんは興味津々でこっちを伺っているみたいだが、言うつもりはない。なので、運搬方法、販売方法を相談しておいた。
この周辺は行商人に任せる。問題はカスクの町でどのように売るか、である。
丁寧に運ばないと店に着く前に粉々になりそうである。
豆乳の状態のものを運ぶのは問題ない。牛乳と同じく扱えるから。
ならばと、ミウさんの妹夫婦が、カスクの町で作って売ってはどうかと、言い出した。可能ならばやってみたい、と。
結局、村長さんの許可を得てミウさんの妹夫婦がカスクの町で作って、ミウさんの店で売る、と言う形に落ち着いた。




