麦の村③
カツオ節を細かく削って、炊いておにぎりの具にした。
おじいさんもおばあさんもテイリックさんも、私が作ったものを美味しいと食べてくれるので、おばあさんといろいろな具材を作って、おにぎりを作った。
村の人がこちらをチラチラ見てる中、おにぎりを食べた。その場で焼きおにぎりも作った。匂いにつられて子どもたちがやってくるので、少しづつあげた。
テイリックさんたちには、作り手を増やそうとしていることがバレていたらしく、笑いながら子どもたちに分け与えていた。
そもそも麦も米も作り方に大きな違いはない。ただ、食べ方が分からないのに作っても収入に繋がらないために作らなかったのだ。
だが今は、食べ方が分かった。味も美味しい。
麦と時期がズレることから、麦も米も作れる。
ならばやる価値はある。
そうして、米農家が増えた。やった!
隣でテイリックさんが優しく見ていたことは知らなかった。
米も小麦と同じように粉にして使えること、麦を食べると痒くなったりする人でも米は大丈夫だというと、小さな子を連れたお母さんが泣いていた。
おばあさんに、水加減を間違えて水分の多いご飯が炊けたとしても、おにぎりの具のように味がついたものを混ぜると食べやすいよ、病人にも優しい食べ物になるよ、と伝えておいた。
また水分が少なくて固くても、味付けをした出汁の中に具材を入れて炊いたら美味しく食べられることも伝えた。
そして夜、米を見つけた喜びで、小麦粉を手に入れるのを忘れていたことに気付いた。
テイリックさんは私が楽しそうだと、知ってたけど言わなかったらしい。
なので拗ねたふりをしたら、ごめん、と抱きしめられた。
ドキドキしてるのがバレそうで、でも離れがたくて、離れようとした。でも今日はテイリックさんがなかなか離してくれなかった。
テイリックさん、大丈夫かな?そろそろカスクの町に戻らないとダメなのかも。
かえでさんが拗ねた姿がかわいくて抱きしめたら離せなくなった。多分、ようやくここに慣れてきたのかもしれない。どこか危うかったかえでさんが、そんな感じをあまり出さなくなった。
おじいさんもかえでさんはもう大丈夫そうだと言ってくれた。
それもあって離せなくなったのだと思う。
もう少しだけこのまま抱きしめさせてね、かえでさん。




