海辺の町⑤
「ほんとにごめんなさい。いろいろやらかしてしまってますよね。ご迷惑をおかけして、すみません。」
宿に戻った私は謝罪した。
テイリックさんは笑って、そんなことないですよ、と言ってくれたけど、迷惑をかけている自覚しかない。
「かえでさん、分かってないと思うのではっきり言いますね。」
私がやってきたことは、誰も困ってない、損をしていない、新しいことが分かって喜んでいる、とテイリックさんは言ってくれる。
「それに、僕に頼ってくれることが嬉しいんです。かえでさんが頼るのが僕で嬉しいんですよ。分かってますか。だから、心配しなくて大丈夫ですよ。もっと甘えてくれて大丈夫ですよ。かえでさん。」
テイリックさんは案内人として、私が困らないように助けてくれている、だから、勘違いはダメだ。
そういえば、揚げ物というものは存在するのか、聞こうと思っていた。すると、存在しないことが判明した。
小麦粉はあるようなので、作り方をテイリックさんに言ったところ、油を多く使うのが難しいかも、と言われた。
あの場で言わなくてよかった、と思った。
でも、テイリックさんは、やりたいようにやっていいですよ、と言ってくれる。美味しいものを食べられるので嬉しい、と。
相変わらずテイリックさんは甘やかしてくれる。でも、勘違いしそうでこわい。
かえでさんは、案内人だからと思っているんだろうと、思う。さて、どうやって関係を変えていくのがいいだろうか。もう手放すことができないこの思いをどうやって理解してもらおうかなぁ。とりあえず、甘やかしてみようかなぁ。
伝えたところで信じてもらえそうにない。まぁ、焦りは禁物だ。もう少し我慢しようかな。




