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空の大陸の落ちこぼれ  作者: 滝本りお


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『帰還者たちと違和感』

 ザルヒはロウを見つめる。


 次の瞬間。


「――《解析》。」


 瞳が淡く光った。


 視界へ情報が流れ込む。


 名前。


 年齢。


 そして。


 レベル。


 ────────────────


 【ロウ】


 【15歳】


 【Lv8914】


 ────────────────


「…………。」


 ザルヒの思考が止まる。


「ザルヒ様?」


 護衛が首を傾げる。


 ザルヒは、もう一度《解析》を発動した。


 ────────────────


 【ロウ】


 【15歳】


 【Lv8914】


 ────────────────


「…………。」


「……は?」


 額から汗が流れる。


「普通じゃねぇ……。」


「あり得ない。」


「そんな……。」


「俺の《解析》が……。」


「壊れた……?」


 ロウは懐かしい顔を見て、小さく笑った。


「久しぶり。」


「ザルヒ。」


 ザルヒは思わず一歩後ずさる。


「ロウ……。」


「お前。」


「生きてたのか……。」


 ジェフは豪快に笑った。


「がはははは!!」


「公爵家の坊ちゃんか!」


 ランも口元を押さえて笑う。


「キャハハ♪」


「面白い再会だねぇ。」


 護衛は戸惑ったままザルヒを見る。


「ザルヒ様……。」


 ザルヒはロウから目を離せない。


「知ってる。」


「忘れるわけがねぇ。」


「こいつは。」


「五年前。」


「空の大陸へ送られた。」


「落ちこぼれだ。」


 その様子を見ながら。


 ロウは不思議そうに首を傾げた。


「ねぇ。」


「何であんなに驚いてるんだろう。」


 ジェフも不思議そうにザルヒを見る。


「……おい。」


「ロウ。」


「地上じゃ。」


「《解析》とか《鑑定》みてぇなスキルでも持ってねぇ限り。」


「相手の情報なんざ見えねぇぞ。」


「……え?」


 ロウは目を丸くした。


「見えない?」


「ああ。」


「普通はな。」


 ランも頷く。


「私たちは空の大陸にいたから当たり前になっちゃったけどぉ。」


「地上じゃ、見えない方が普通だよ。」


「えぇぇぇ!?」


 ロウは驚いてザルヒを見る。


「じゃあ。」


「僕たちがおかしいの?」


「うん。」


「キャハ。」


 ランもザルヒへ視線を向ける。


「ねぇ。」


「ロウ。」


「この子、本当に十七歳なのぉ?」


「え?」


「ロウより二つ上なんだよねぇ?」


「うん。」


 ランは小さく首を傾げる。


「ロウの方が、ずーーっと大人に見える。」


「キャハハ♪」


 ジェフも腹を抱えて笑う。


「がはははは!!」


「空は人を育てるからな!!」


 ロウは苦笑した。


「そうなのかな……。」


 ザルヒは三人の会話を理解できなかった。


(何を言っている……。)


(まさか。)


(俺のレベルまで見えているのか……?)


(そんな馬鹿な。)


 護衛がロウを見る。


 そこには、どこにでもいそうな十五歳の少年が立っているだけだった。


 だが。


 ザルヒの《解析》だけは、はっきりと告げていた。


 ────────────────


 【ロウ】


 【Lv8914】


 ────────────────


 ザルヒは乾いた唇を震わせる。


「あり得ない……。」


「空の大陸は。」


「生きて帰れる場所じゃない。」


 一歩。


 また一歩と後ずさる。


「まして。」


「こんな……。」


「化け物になって帰ってくる場所でもない……。」

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