表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の大陸の落ちこぼれ  作者: 滝本りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/57

『地上への道』

洞窟を出ると、三人は同時に空を見上げた。


 雲を突き抜けるほど巨大な一本の光の柱。


 天と地を繋ぐように、静かに輝いている。


「……あれか。」


 ロウが小さく呟く。


 ジェフも腕を組みながら頷いた。


「たぶんな。」


 ランも光の柱を見つめる。


「行ってみるしかないねぇ。」


 三人はゆっくりと歩き始めた。


 今までとは違う。


 この道の先には、帰る場所があるかもしれない。


 しばらく沈黙が続いたあと、ロウが口を開く。


「ジェフさん。」


「ん?」


「帰るんですか?」


 ジェフは迷うことなく答えた。


「帰る。」


「理由、聞いてもいいですか?」


 ジェフは豪快に笑う。


「がははは!」


「決まってんだろ。」


「鍛冶だ。」


「鍛冶?」


「ああ。」


 肩へ担いだ戦斧を軽く叩く。


「空の大陸へ送られてから、もう十三年だ。」


「十三年も地上の鍛冶に触れてねぇ。」


「俺は《アダマント・ドワーフ》だ。」


「鍛冶師として、自分の腕がどこまで通用するのか。」


「地上で確かめてぇ。」


 ロウは思わず笑った。


「ジェフさんらしいですね。」


「だろ?」


「がははは!」


 今度はロウがランを見る。


「ランさんは?」


 ランは少しだけ空を見上げた。


 いつもの笑顔は少しだけ寂しそうだった。


「私はねぇ。」


「エルフの里へ行ってみようかなって。」


「故郷ですか?」


「うん。」


 ランは小さく頷く。


「変わってるかなぁ。」


「みんな元気かなぁ。」


 少しだけ間を置く。


「……まあ。」


「望みなんて、少しもないけど。」


 ロウが首を傾げる。


「どうしてです?」


 ランは苦笑した。


「幼馴染がいたの。」


「でもね。」


「その子も、一緒に空の大陸へ送られちゃったんだもぉん。」


 小さく笑う。


「キャハ。」


「いるわけないよねぇ。」


「だから。」


「ちょっと見てみたいだけ。」


 その笑顔が、どこか切なかった。


 ロウは何も言えなかった。


 そして。


 二人の視線がロウへ向く。


「ロウ。」


 ジェフが尋ねる。


「お前は?」


 ロウは前を向いたまま答えた。


「僕は……。」


 一度、言葉を止める。


「父さんと。」


「母さん。」


「それと。」


 自然と笑みがこぼれた。


「あいつら三人。」


「友達です。」


「元気にしてるかな。」


「僕のこと。」


「もう死んだと思ってるんでしょうね。」


 五年間。


 会えなかった家族。


 そして、大切な友達。


 その姿を思い浮かべるだけで、胸が熱くなる。


 ジェフは優しく笑った。


「会いに行け。」


「ああ。」


 ランも微笑む。


「きっと驚くよぉ。」


「キャハ。」


 ロウは力強く頷いた。


「はい。」


 三人は歩き続ける。


 やがて。


 光の柱は目の前まで迫っていた。


 近くで見るそれは、想像を遥かに超える大きさだった。


 静かに。


 ただ静かに、空へ向かって伸び続けている。


 三人は足を止めた。


 その瞬間。


 頭の中へ、無機質な声が響く。


 ────────────────


 【地上への往来権限】


 【確認】


 ────────────────


 【転移可能】


 ────────────────


 三人は顔を見合わせる。


 ロウは拳を握った。


 ジェフは不敵に笑う。


 ランも小さく微笑む。


 そして。


 三人は同時に、一歩を踏み出した。


 ――地上へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ