『つけてきたエルフの正体』
ジェフは戦斧を肩へ担ぎ直し、ランをじっと見据える。
「ランと言ったな。」
「お前、何者だ?」
「何でロウを付けてきた。」
ランはきょとんと首を傾げる。
「付けてきたつもりじゃないよぉ?」
「ほら。」
「珍しい異核を持ってたから。」
「もらえないかなぁって思って。」
ロウは慌てて胸元を押さえた。
「えぇっ!?」
「そのあとね。」
「後ろからウホウホ聞こえてきてぇ。」
「振り返ったらゾーマコング。」
「いつもならすぐ倒しちゃうんだけど。」
「面倒だったから放っておいたら……。」
肩をすくめる。
「増えちゃった。」
「キャハッ♪」
ジェフが頭を抱えた。
「笑い事かよ!!」
「まさか群れになるとは思わなかったんだもーん。」
「キャハハハ♪」
ロウも苦笑する。
「いや……。」
「百匹はさすがに驚きました。」
ランが「あっ」と思い出したように指を立てた。
「そうそう。」
「最初は異核じゃなくてね。」
「魔獣以外の生き物がいるーって思って。」
「嬉しくなって。」
「ちょっと後ろから見てたの。」
ジェフが即座に突っ込む。
「やっぱ付けてきてるじゃねぇか!!」
「キャハッ♪」
「でも責任持ってコング全部やっつけたんだから。」
「文句言わないでよねぇ。」
ジェフは大きくため息を吐いた。
「まったく……。」
そして改めてランを見る。
「ところで。」
「お前。」
「エルフか?」
「何か普通のエルフとは違うな。」
ランはにこっと笑う。
「だって。」
「エルフ・ジェネシスだものぉ。」
「キャハッ♪」
ジェフの眉がぴくりと動いた。
「……なんだよ。」
「ただの伝説か。」
ロウが目を丸くする。
「え!?」
「伝説のエルフ!?」
「聞いたことないですよ!」
ジェフは親指で自分を指した。
「まあ。」
「俺も伝説だがな!」
ランが吹き出した。
「えぇ?」
「ただのドワーフじゃなかったのぉ?」
「キャハハハ♪」
「なんだとぉ!!」
ジェフが戦斧を振り上げる。
「俺はアダマント・ドワーフだぞ!!」
「あー。」
「なるほどぉ。」
「どうりで強いわけだぁ。」
「キャハハハ♪」
「笑うなー!!」
二人のやり取りを見ていたロウは、頭を抱えた。
「なになに!?」
「何の話してるんですか!?」
「全然ついていけないんですけど!?」
二人は顔を見合わせる。
そして同時に吹き出した。
「がはははは!!」
「キャハハハ♪」
炎の森へ、久しぶりの笑い声が響く。
ひとしきり笑ったあと、ジェフが肩をすくめた。
「まあいい。」
「こんな所で立ち話も何だ。」
「久しぶりの会話で盛り上がっちまったからな。」
親指で森の奥を指差す。
「俺の一時的な隠れ家が近くにある。」
「そこでゆっくり話そう。」
ロウは頷いた。
「はい。」
ランもにこりと笑う。
「賛成。」
「お腹も空いちゃったし。」
三人は炎の森の奥へと歩き始めた。
まだ誰も知らない。
この出会いが。
空の大陸の未来を大きく変える、最初の一歩になることを。




