表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の大陸の落ちこぼれ  作者: 滝本りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/52

『毒』

……暗い。


 何も見えない。


(……死んだ。)


(ここが、天国?)


 ロウはぼんやりと目を開けた。


「……あれ。」


 身体が動かない。


 胸が痛い。


 息を吸うたびに全身が軋む。


「……生きてる?」


 右手を動かす。


 土。


 左手も土。


「……土の中?」


 ようやく理解した。


 ゴンゾルドタートルに殴り飛ばされ、そのまま地中へ埋められたのだ。


「まずい……。」


 息が苦しい。


 酸素が少ない。


「出なきゃ……。」


 ロウは震える腕で土を掻き始めた。


 一掴み。


 また一掴み。


 何度も。


 何度も。


「はぁ……。」


「はぁ……。」


 視界の先に、小さな光が見える。


「出口だ……!」


 最後の力を振り絞る。


 ドサッ!!


 ロウは地上へ転がり出た。


「はぁっ!!」


 新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込む。


「生きてる……。」


 身体中から血が流れていた。


 腕も。


 足も。


 胸も。


 全部痛い。


「水……。」


「何か……。」


 視線を動かす。


「あ。」


 少し離れた場所。


 枯れ草で編んだリュックが転がっていた。


「よかった……。」


 這う。


 一メートル。


 また一メートル。


 指先だけで進む。


 ようやくリュックへ辿り着いた。


 革袋を開ける。


 水を飲む。


「……生き返る。」


 少しだけ呼吸が楽になる。


 続いて。


 紫色の果実を取り出す。


「これしか……ない。」


 震える手で口へ運ぶ。


 ガブリ。


 噛んだ瞬間。


「っ!!」


 舌が痺れる。


 喉が焼ける。


 胃が締め付けられる。


「しまっ……。」


「これ……。」


「昨日より……強い……。」


 全身へ毒が回る。


「無理……。」


「死ぬ……。」


 ロウは地面へ倒れた。


 その時だった。


 頭の奥で、無機質な声が響く。


 ────────────────


 【成長スキル発動】


 【毒を回復因子として認識しました】


 ────────────────


「……え?」


 身体が光る。


 温かい。


 さっきまで流れていた血が止まる。


 傷がゆっくり塞がっていく。


「な、何これ……。」


「毒なのに……。」


「治ってる?」


 胸へ手を当てる。


 鼓動が戻っている。


 呼吸も楽だ。


「毒で……回復?」


 理解が追いつかない。


 その時だった。


 ガサガサガサッ!!


 草むらが揺れる。


「え?」


 振り向く。


 闇の中で、小さな光が十個。


「……目?」


 違う。


 近付いてくる。


 細長い身体。


 六本の脚。


 蛇のように長く、それでいて蜘蛛のように地面を這う異形の魔獣。


「な、何あれ……。」


 一匹。


 二匹。


 三匹。


 十匹。


「うそでしょ……。」


 ロウは乾いた笑みを浮かべた。


「あぁ……。」


「そういう光だったのか……。」


「いやいや。」


「そんなことより。」


「なんで今なの!?」


「せっかく回復してきたのにぃ!!」


 次の瞬間。


 十匹が一斉に飛び掛かった。


「うわぁぁぁぁぁっ!!」


 ガブッ!!


 肩。


 ガブッ!!


 腕。


 ガブッ!!


 首。


 脚。


 背中。


 腹。


 全身へ牙が突き刺さる。


「ぎゃああああぁぁぁぁ!!」


 大量の血が飛び散る。


 魔獣たちは噛み終えると、何事もなかったように湖の中へ消えていった。


「はぁ……。」


「もう……。」


「好きにして……。」


 ロウは空を見上げた。


「…………。」


 その時だった。


 ────────────────


 【毒を生命力へ変換】


 【身体を修復します】


 ────────────────


 身体が再び淡く輝く。


 傷口が閉じる。


 折れた骨が元へ戻る。


 血が身体中を巡っていくのが分かる。


「え。」


「また治ってる……。」


 ────────────────


 【ゴンゾルドタートルとの戦闘失敗】


 【スネークマリアとの戦闘失敗】


 【成長スキル発動】


 ────────────────


 【Lv428】


 ↓


 【Lv1054】


 ────────────────


「…………。」


 ロウは表示を見つめる。


「は?」


「また?」


「失敗したのに?」


「レベル……。」


「千を超えた?」


 空の大陸へ来てから。


 ロウは初めて思った。


「もしかして……。」


「僕のスキルって。」


「本当に……。」


「ハズレじゃ、ないのか……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ