第8話 冤罪
「ハルカさん……」
「いきなり攻撃してくるとはひどいですね……」
「……」
爆発と共にいきなり攻撃…計画的犯行ということですね。
仮面も割れ、ロンド様との通信も途切れた。
「お前に恨みはないがこちらも任務なのでね」
「誰からの依頼だ?」
「言うわけないだろ。少女をいたぶるのは性に合わないが、悪く思うな」
リーシュは腰に刺している棒を手に取り、スイッチを入れる。
「……ずいぶん物騒なものをもってるな」
「人を見た目で判断するとは浅はかだな」
瞬間、リーシュが飛びかかる。
* * *
俺は基地の中に急ぐ。
「……なんだこれは…」
瓦礫の中、人が倒れている。
防衛軍、護衛のハラルド星人、アリグロン、そして……シュヴァイツ王子。
これはまずいことになった。
「ん?」
奥に誰かいる。
「……なるほど……最悪だ」
瓦礫の奥、黒のコート姿。
「あぁ、やはり気持ちがいいですね。ゴミ掃除は」
こっちに視線を向ける。
「おっ、ロンドさんではないですか」
「ジョウとか言ったな。お前がこれをやったのか」
「ひどい言いがかりをつけるのはやめてください」
「あなたがやったんですよ……」
俺のことをギロリと睨む。
「はぁ……やはりな」
「なぁ聞かせてくれよ。最初から俺を犯人にするつもりだったのか?」
「犯人?なんのことかわかりませんね。まぁ誰でもよかったんですよ」
「そこにあなたがいただけです」
外から騒ぎを駆けつけて、多くの人が集まってくる。
「何をしている!!」
「ひぇっ」
「早く来てください!そこにいる男が全員殺してしまいました」
ジョウが叫ぶ。
俺が何を言っても客として来ているハラルド星人とその辺のごろつき、どちらが信用されるかなんて明白だ。
腰のナイフに手をかける。
「……驚いた!この状況でやる気とは…あなた正気じゃないですね」
「あぁ、まともな判断で動くことは、とうの昔にやめたよ」
その瞬間。
爆音と共に煙が舞う。
「くっ……なんだこの煙は!?」
耳元で囁く声。
「先輩、逃げますよ……」
その男の声を、俺は知っている。
* * *
二人で街の路地裏を走る。
「いやー危なかったですね。ギリギリ間に合いました」
「お前、いつから気づいていた?」
「最初からですよ。最初から気づいていました」
リクは答える。
「これからどこに向かう?」
「ひとまず僕の拠点に向かいます」
「仲間を連れていきたいのだが……」
「リーシュさんですよね?安心してください。先に声をかけて向かってもらってます」
「……あぁそうか俺の家にも寄っていく。もう一人連れて行かないと」
俺たちは自宅に向かう。
「アリサ!」
「!?」
「びっくり、どうした急に。もう仕事終わったのか。なぁ聞いてくれよこのソファの色がどうしても……」
「今から家を出る」
「え?」
「しばらくここには戻ってこられない。荷物をまとめろ」
「がーん」
「先輩、さっきの人といい、幼い子供を家に連れ込んでるなんて……」
リクが呆れた顔で言う。
「お前何か勘違いしていないか?」
「しばらくってどれくらい?」
「一生かもな」
俺はこの家に戻ってこられるのだろうか。
* * *
リクのアジト。
「……それで説明してくれるか。ロンド」
アリサが腕を組みながらいう。少し怒っているようだ。
「……嵌められた」
「嵌められた?誰に?」
「ジョウというハラルド星人だ」
「ハラルド星人……」
「外の騒ぎもお前が関係していると?」
「あぁ、そうだ」
そこから俺は事件の経緯を説明した。
「なるほど、そこで中に入って来たロンドを犯人に仕立てられたということか」
「……」
「……あっ、ちょっといいですか?」
端に立っていたリクが手を挙げる。
「それで…この助けてくれた人は……?」
アリサが聞く。
「あっそうでしたね。まずは自己紹介から」
「皆さんはじめまして、僕はリク・グレイシア、ロンドさんの大切な後輩です!」
自分で大切とか言うか?普通。
「ロンド、お前にも後輩とか言う関係値の人物がいるとは」
「……まあな。昔の話さ」
「……そうですね。昔の話です」
「…では改めて」
「今回のハラルド星王子暗殺事件は、ロンドさんあなたが犯人になることは最初から決まってました」
「……」
「ロンドさん個人に対する恨みがあるというわけではなく、現状軍との関係がよくない者がターゲットにされた考えています」
「つまり軍からしても追求しやすい人を犯人に仕立てたと」
「はい、そう考えています」
まぁ、それもあるな。
「そして事件の進行上、邪魔になりそうだった僕とリーシュさんは最初から中に入れてもらえず、とくにリーシュさんがロンドさんと距離が近かったこともあり、あの場所での配置となりました」
「そういえばリーシュは何があったんだ?」
「ハルカとかいう傭兵に襲撃にされて、と言っても僕がついた頃には決着はついていましたが」
「売られた喧嘩を買っただけです!」
もうリーシュの強さに驚くことはない。
「そしてポイントなのが、あのハラルド星人の王子が偽物だということ」
「えっそうだったんですか?」
「ロンドさんは気づいていましたよね?」
「……あぁ」
「なんでもっと早く言ってくれなかったのですか?」
リーシュが言う。
「今回の目的は護衛ではなく軍の調査だ。あの王子が偽物だということはわかってはいたが誰がどんな目的でこれを仕組んでいるのか知りたかった」
「結果、軍というよりもハラルド星の目論みだったと言うことですね」
「いや、両方だ。俺が犯人に仕立てられたということはおそらくその両方だ」
「ジョウだけの企てではないと?」
リクが俺に尋ねる。
「……俺はそう考えている」
「尚更、難しい話になりましたね」
「そうだな……ここが見つかるのも時間の問題、そして情報がこちらにないので動こうにも動くことができない……か」
「……」
リクが何か考え込んでいる。
「……ロンドさん、僕の今のボスに連絡してみます」
「今のボス?」
「はい!ロンドさんも知っている人ですよ」
リクは特殊な小型装置を使って誰かに連絡した。
「あっ…OKでました。でも……」
「どうかしたのか?」
「えっいや、ボスからの伝言で……」
リクが何か言いづらそうな顔をしている。
『菓子折りでも持ってこいよ、くそ野郎』
嫌な記憶が蘇る。




