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何でも屋ロンドの災難録  作者: 雫石ぶた丸
第一章 地球編

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第5話 リーシュ

「それで、そのリーシュってやつと地球に来たけど、途中で逸れたのか」

 葉巻を灰皿に押し付けて言う。


「…逸れた訳じゃない!地球に来た瞬間、変な奴が追いかけてきた」

「リーシュが敵をひきつけて私を逃がしてくれた…」

 アリサは涙目になって下を向いている。

 来た瞬間、ということは追ってきたのか…それとも……


「…どうして俺の家にきた?」

「それはリリアにお前を頼るよう言われて」

「リリア?お前に逃げろって言ったやつか」

「お前!?私にはアリサという可愛い名前がある」

「はぁ……その…リリアがなんで俺のことを知っているんだ?」

 自分の心臓の上に手を置く。心当たりは…ない……よな。


「昔、世話になったとよく言っていた」

「……」

「…まさか覚えていないのか?」

「あぁ」

「がーん、リリアが悲しむぞ」

「まったく、他の星人はいえ、世話をした第一王女を忘れるとは」

「って、第一王女!?」

「あぁ、リリア・ドランヴォーグはハートヒート星の第一王女で私の姉だ」


 ははっ…第一王女……マジかよ。

 もう一本葉巻に火をつける。


「…それでこれからどうするんだ?」

 アリサはこちらをじーっと見ている。心なしかさっきより視線が冷たく感じる。


「とりあえずリーシュを探す。こっちに来ているからな」

「それなら急いで探したほうがいいな」

「そんなに急がなくても問題ない」

「どうしてだ?」

 アリサは強い眼差しでこちらをみて笑う。


「リーシュは……強い!」



 * * *



「はぁ…はぁ…、なんとか逃げ切れたか…」

「こっちに来てから体がうまく動かん…」

 とある路地裏、リーシュは壁にもたれかかるように座る。


「あぁ……アリサ様はロイド様のところに無事辿りついただろうか…」

「場所はなんとなくわかると言っていたが……」

 血まみれの右手を見つめる

「…少し……つかれ…」





「♪」

「なんだかバタバタと騒がしいな」

 マキセは買い出しを終え鼻歌まじりに自宅に戻る。


「人攫いが流行っているようだし、私も気をつけないとな!」

「ん!?」

「誰だこれ……」

 入口の横で横たわっている女性を見つめる。


「人間?いや……」

 倒れている女性の首筋、そして口に手を当てる。


「死んではないか」

「ん?」

 遠くから、複数の足音。


「……」



 ーーーーー


「おい、いないぞ!」

「ちっ、見失ったのか?」

「やばいぞ、ドグロン様に殺される」

「もう少し探せ!」


 ーーーーー



「……行ったか?」

 マキセは抱えている女性をみる。


「はぁ…金にならなそー。てか、この人めちゃめちゃ軽いな」

 そのまま奥の診療室へ運ぶ。



 * * *



 BAR『曇天』


「ロンド、この間は悪かった…」

 サトシはこの間のシゲ爺の一件、もっと早く動けていればと後悔しているようだった。

「お前が悪いわけじゃない」

 事実、早めに情報がきていたところで状況が大きく変わったとは思えない。

 ウイスキーを口にする。


「……最近の人攫いについて聞きたいことがある」

「あぁそうだな」


「アルガンド星人はフェイクだ」

「フェイク?」


 サトシはBARの店内を見渡す。

 そして俺に目配せをする。


 フェイクという言葉にこの店の中の誰が反応したか確認する。

 店内の客は俺含め四人。

 店の入口、奥側のテーブル、二人。

 そして俺と同じカウンターの端、一人。


 サトシが情報屋だと知っている人間はそう多くない。俺みたいなフリーのならずもの、同じく裏社会にいる奴、そして軍。


 この反応からすると、サトシはこの誰かからマークされている可能性が高い。

 ウイスキーを口にする。二回。


 サトシはウイスキーを注ぐ、少量を三度。


「いくら俺がウイスキーが好きだといっても入れすぎだ」

「あぁ…悪いな」

「最近疲れててな今日はこの辺にしとくよ」

「会計は?」

「近々まとまった金が入りそうなんだ、その時に払う」

「期待しないで待っておくよ」


 席を立つ、店を出る。


 すぐに路地を出て大通りに、そして再び路地に入る。

 追手は二人、だがあの店には三人いた。


 監視役か……


 路地を小刻みに曲がり、敵を撒く。


 そして後ろを取る。


「俺になんか用か?」


 二人がピタッと止まる。


 一人が振り返る。

「…いやいや、なんですか急に?」


「BARから俺のことつけてきてただろ」

「……たまたま帰る方向が一緒だっただけですよ」

 男は笑顔で答える。


「…そうか!悪かったな」

「俺はてっきり負け犬防衛軍の奴がちょっかいかけてきているのかと…」


 その瞬間、後ろを向いていた男が振り返る銃を放つ。

 おれは銃弾を躱し、一気に距離を詰める。

 腰のナイフを抜き、拳銃を撃ったやつを仕留める瞬間、

 横の男が蹴りで応戦、一度距離を取り再度、詰める。

 至近距離で撃たれた銃弾を避け、腕を一突き。

 横の男の蹴りを躱し、足払い。そして胸を一突き。


「お前ら軍関係者だな、なぜ俺を狙う」

「くそっ…」


 その瞬間、背後から殺気。

 ドンという衝撃と左上に痛みが。


「ちっ屋上か…」

 間一髪かわしたが情報を聞き出そうとしていた奴が撃ち殺されてしまった。


 長射程のスナイパー。直前まで殺気を感じ取れなかった。いい腕だ。

 もう一度俺のことを狙っている。


「…ん!?」

 スナイパーの頭上、何か降ってくる。大きな岩を持っている…人間か?


 ドンという音とともに、さっきまで屋上にいたスナイパーが大きな物体と割れた地面の間に潰れて死んでいる。


「はぁ〜よかった〜間に合った!」

「うん!カラダも問題なく動く、マキセさんはすごいや」


 マキセ!?


「……」

「あのー…大丈夫でしたか?」

「あぁ、お前は?」

「あっ私は大丈夫です。というかすごいお強いですね」

「いくら体が動かない状態だったとはいえ、私は逃げるのが精一杯でした」


 右腕は包帯でぐるぐる巻かれ、服はボロボロ、小柄の女性……


「……お前、名前は?」


 自分の体の大きさくらいある巨大なハンマーの上に乗っている女性が答える。


「私はリーシュです。リーシュ・スカイテイナー」


『リーシュは……強い!』

 俺はアリサの言葉を思い出す。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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