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何でも屋ロンドの災難録  作者: 雫石ぶた丸
第一章 地球編

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第4話 アリサ

「……寝てる」

 この辺りじゃ見ない服を着ている。汚れているが。

 少女…人間か?……いや…この見た目どこかで見たような…


「……!?」

「誰だ!…」

 いきなり少女が目を覚まし飛び起きた。


「こっちのセリフだ、誰だお前」

 葉巻を灰皿の上に置き答える。


「……ここは…どこ?」

 少女はあたりを見渡し答える。


「そうか……私は……はっ」

「リーシュはどこだ?……リーシュ!」

「おいおい、ちょっと落ち着けよ」

「俺が帰ってきた時はお前一人だったぞ、誰だよリーシュって」

「というかお前は誰なんだよ、なんで俺の家で寝て…」

 少女がじーっとこちらを見る。


「あなたは…ロイド・シー…」

「!?」

「俺はロンド。ロンド・グレンジーだ」

「…グレンジー?」

「お前は誰だ?」

「あぁ…私は…アリサ」

「ロンド……そうか。なるほど」

 アリサは何かに納得したようだ。


「ロンド、頼みがある!」

「断る」

「がーん」

 アリサはぽかんと口を開けてフリーズした。なんだこいつ。


「うぅ…こんな可愛い少女が頼んでいるのに…」

「自分のこと、可愛いって言ってる奴にろくなやつはいねぇよ」

「なんと!ぐぬぬ、この方法が使えないとは…」

「困った…」

 アリサは目を閉じてうーん、うーんと唸っている。

 バカなのか、こいつ。


「なんだよ頼みって」

「おっ!聞いてくれるのか、ロイド」

「…ロンドな、今度ロイドって言ったらぶっ殺す」

「…ぐぬぬ、怖い…」

「少しの間、匿って欲しい!」

「はぁ!?」

「なんだよ匿うって。追われているのか?」

「あぁ!怖いやつから追われている。しかも強い」

「断る。厄介ごとには巻き込まれたくないんでね」

「がーん……しくしく…」

「変な泣きマネやめろ。それに、金にならなそうだしな」

「…!?金をわたせば引き受けてくれるのか?」

 マズい。余計なことを言ったか。


「…いや、そういうわけじゃ…」

「よーし、そしたら大金を渡そう」

「お前が払えるとは思えないが…」

 アリサを上から下まで見て答える。

「人を見た目で判断するな!」

「ちょっと待ってろ」

 そういうと横に置いてあった鞄をガサコソとあさり、何かを探し始めた。


「…!あったあった、これを見ろ」

 そう言うと、鞄から銀の紋章を取り出し俺に見せつける。


「……なんだよこれ」

「がーん、通じなかった…」

 アリサはそう言うと涙目になりながらこう言った。


「私はハートヒート星、第四王女」

「アリサ・ドランヴォーグだ」



 * * *



「…ドランヴォーグ?」

「あぁ何か知ってるか?」

 俺はベッドで横になっているシゲ爺に聞く。


「そりゃお前、ちょっとでも軍に関わっていたら知らないやつはいないよ」

「……」


「シゲーさんこれ」

 サリーがシゲ爺の口に食事を運ぶ。

 シゲ爺の看病をしてくれてとても助かっている。


「あぁ、ありがとう。サリー」

「うん!」

 サリーはニコッと笑う。


「見た目は地球人そっくりだ。やや小さめのな。だが、見た目以上に力が強い」

「…へぇ。あの見た目で」

「あぁ、ただ体が脆くてな…それを補うために軍事技術、特に武器に関する技術力が発展している星だ」

「武器?」

 そんなもの持っていたか?あの鞄に入っているとは思えないし……


「自分達で使うだけじゃなく、他の星にも輸出して資金を稼いでいるんだ」

「それで軍人なら知っているということか」

「そうだ」

 サリーがもう一度シゲ爺の口に食事を運ぶ。


「そこの王族がなんで地球に?」

「…第四王女か。もしかしたら跡取り問題かもな」

「跡取り?」

「あぁ、現国王がかなり高齢だと聞いたことがある。正直寿命なんてものはわからないが、子供がたくさんいると継承問題が必ず発生する」


「ハートヒート星人、女いっぱい!」

 サリーが答える。

「そうか、サリーの星と仲良かったもんな」

 シゲ爺が言う。


「そうなのか?」

「うんーそうだよ、ロンドさん」

「サリーの国、ミリヤ星人ハートヒート星は仲良い」

「ミリヤ星人、女の人がたくさん生まれるけど男は少ない、だから他の星の人と子供作る」

「私たちの星とたくさん仲良くしてる」


「それが目的で地球に来たってのか?なんで俺のところに?」

「お前の女癖の悪さが宇宙中に轟いているんじゃないか?」

 そんなバカな……はず……ないよな?


 とりあえず帰っていろいろと聞いてみるか。



 * * *



「それで…何してんの?」

「ん?見てわからないのか?」


 ピンクのカーテン、謎の置物、変な植物…


「おい勝手なことするな!」

「この部屋自由に使っていいと言ってたじゃないか」

「……自由ってそういう意味じゃねぇよ」


 開いている部屋を貸し出したのが間違いだったか…


「勝手に出かけたのか?」

「あぁ、この星の物価は安くていいな!」

 満面の笑みでアリサが答える。

 家の中を見渡すと、他にも家具や食材が増えている。


「誰かに追われているんじゃないのか?」

「そんなに心配するな!家の中に引きこもっているのは性に合わん」


「よし!これで完了!」

 アリサは気持ち悪い色のカーテンをセットし終えて、椅子に腰掛ける。


「……はぁ…まぁいいや」

「そろそろ教えろよ、お前のこと」

「……」

「地球に来た理由を」



 * * *



 ハートヒート星、ロッジグレイブ城


「アリサ様!」

 勢いよく部屋のドアを開ける音。


「……むにゃ」

「アリサ様!!」

「!?」

「びっくり!どうしたリーシュ」

「お逃げください、いや一緒に逃げましょう」

「何を言ってる?逃げる?だれから?」

「早く服着てください!あと最低限の荷物を詰めて…」

「なんだ?何が起きてる」

「説明している時間ありません!はやく!」

「わかった」



 城下、隠し地下通路

「こちらです。これに乗ってください」

「おぉ…一体何が」

「……よしっ、なんとか動きそうだ」

「先刻、リリア様より、アリサ様を連れて逃げるよう命じられました」

「リリアが?」

「はい、アリサ様に危険が迫っていると…」

「……キースか?」

「……わかりません」

 リーシュは宇宙船を操作する。


「他の者はどうした」

「リリア様がなんとかすると…」

「リリア……」

「動きます!おつかまりください」

「どこに行く?」



 ……地球です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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