第3話 サムライ
「ジジイは……生きてそうだな」
床に横たわるシゲ爺を見る。
敵は……ぱっとみ…二人。
でけぇトカゲと……地球人か?
「本当にのこのこ来やがった!」
でかいトカゲが笑いながら言う。
「……」
あの黒服……只者じゃねぇな。
「ちっ…おい、聞いてんのか?くそ人間」
「あぁ?聞いてねぇよ。トカゲが喋るんじゃねぇ。気持ち悪りぃな」
「……ぶち殺す。”X”俺がやる手を出すなよ」
”X”があいつの名前か。偽名か?
「どこ見てるんだって聞いてるんだよ―――」
でかいトカゲが俺に殴りかかってきた。
一瞬で右にかわし、すかさず距離を取る。外れた拳が地面を割る。
「ちっ、外したか。これならどうだ」
さっきの攻撃よりも速く俺に飛びつく。
* * *
「ゴードラ星人?」
「うん!そう」
「僅かだけど血液からゴードラ星人の成分が検出された」
ポグラが俺に紙を差し出しながら言う。
「そのゴンドラ星人?が犯人ってことか」
「ゴードラ星人ね!可能性は高いよ」
「ゴードラ星人は他の星人の血液を奪うことができるんだ」
「血液を奪う?」
「うん。実際にはゴードラ星人は他の生命体の血液に触れると自分の体内に取り込めるだ」
「気持ち悪りぃな」
「まあね。ただ地球人の血液は繊細で直接取り込めないと聞いたことがある。なんでも専用装置があるだとか」
「それでジジイは拉致られたってことか」
「うん。地球人の血液は簡単には手に入らないし高値で取引されるみたい」
「……」
「まぁなんでもいいや。誰だろうと関係ねぇ」
持っていた紙をポグラに返す。
「ロンドらしいね」
「あと敵の攻撃には気をつけてね」
「攻撃?」
「ゴードラ星人は高い身体能力で近接格闘を好むから…」
「特に硬化させた拳はかなり危険」
* * *
「…あっぶねぇ」
再び振り翳した拳を躱す。トカゲの拳は壁に穴を開ける。
ポグラが言っていたことは本当だったんだな。
奥の黒服はこちらを見ているが何もしてこねぇのか…それか……
「すばしっこい地球人め…」
三度、トカゲは俺に飛びついてくる。
「悪りぃが、何回やっても結果は変わらねぇよ」
懐に入り、担当でトカゲの胸を一突きする。
トカゲは胸から液体を流しながら床に倒れる。
「次はお前だ、黒服」
「……ロンド・グレンジー」
「ん?」
黒いローブから現れた棒…刀を抜く。
「…それ……日本刀か?」
瞬間。
俺は壁に背中を打ち付けられた。
「……っ」
腹から血が出る。
「…ってぇ」
横に落ちている砕かれた短剣を見る。
数十メートル先には黒服。
斬りかかられてなんとか致命傷を回避したが…とんでもないスピードだった。
黒服がこちらに歩いてくる。
「…ちっ」
俺は立ち上がり、銃で黒服に狙いを定めて撃つ。
一秒後、いやもっと速い時間で銃弾をかわされ銃身を刀で切られる。
「はぇぇ」
刀で右肩を刺されそのまま壁に突き刺される。
「……ぐっ」
相手の目を見る。
「……お前、サムライか」
黒服は刀を抜き、俺の血を払い、鞘に納める。
そしてその場を立ち去るように歩き出す。
「おいっ」
俺は黒服を呼び止める。
「……」
黒服は立ち止まる。
「なんでお前みたいな奴が…こんなことしてるんだ」
「……その言葉そのまま返すぞ、ロンド・グレンジー」
そう言って黒のサムライは姿を消した。
* * *
病院。と言っても町医者ぐらいの小さな店。
俺は怪我や病気になったらタツマキ・マキセを頼る。
「はぁ〜また派手にやったね」
包帯でぐるぐる巻きになっている俺の体を見ながら、マキセは言う。
「ジジイは大丈夫なんだろうな」
ベッドで横になっているジジイを見て言う。
「うん!大丈夫だよ…と言っても少しは治療が必要かな」
「てか…ここは禁煙だって何回言ったらわかるの?」
俺は気にせず葉巻を吸い続ける。
黒服、日本刀、サムライ……そしてあの目。
……考えすぎか。
「それにしてもこの切れ味、刀かな?久しぶりに見た」
「あぁ…日本刀だった」
「日本刀ねぇ…」
マキセは窓の外を見る。
ふぅっと息をする声が聞こえる
「……ロンド…」
「起きたかクソジジイ」
「あぁ…そうか…」
「気分はどうだ?」
「あぁ…悪くない」
そうだな、悪くない。
* * *
『ロンドもしばらく休んだほうがいいよ!』
ゴタゴタうるさい医者を相手するのは面倒だから家に帰ってきた。
家の前。ドアが開いていた。
いつもドアが開いていることが多い。
開いていること自体、不思議ではないが…
誰かいる。
慎重に家の中を確認する。
殺気はなさそうだ。
……いた。寝てる。
人間?が俺のソファで寝てる。
というか少女が寝息を立てながら寝てる。
「……ったく次から次へとなんなんだよ」
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