第12話 城内調査
「まだわからないのか?」
キースは部下のエリーヌに対して声を荒げる。
「申し訳ございません。キース様」
「何を聞いても知らないの一点張りで……」
「くそっ」
「その……本当にリリア様はご存じなのでしょうか」
「どういうことだ?」
「本当に国王様とリリア様しか知らない重要な秘密があるとは思えず……」
「お前も見ただろ?地下のアレを」
「……はい」
「あの扉の先にはきっと何かあるはずだ……絶対に……」
「……」
「引き続きリリアを追い詰めろ!精神的に追い詰めれば口を割るはずだ」
「バカ女もこっちに戻っているんだろ?さっさと捕まえろ!リリアの前突き出して痛めつければ絶対に……」
「……仰せのままに」
そう言うとエリーヌは部屋を後にした。
「……エリーヌ様」
部下の一人がエリーヌに尋ねる。
「どうしました?」
「これ以上リリア様を痛めつけるのは…」
「はい。わかっています。しかし我らはキース様の命令には従わないといけません」
「アルガンド星人の奴らも……」
「口を慎みなさい。今は何も考えずにただ実行するだけよ」
「……はい」
* * *
「ここが拠点?」
「あぁそうだ!凄いだろ」
アリサは腰に手を当てながら自信満々に答える。
コルクの家からロッジグレイブ城の裏手の森、そのさらに地中にあるアリサの拠点にたどり着いた。
奇抜なオブジェ、形容し難い絵画など拠点というより……
「秘密基地!遊び場だ」
遠くからいつものえっへんという声が聞こえてくる。
「まぁある程度の人数は入りますし……」
リクが苦笑いしながらフォローしている。
「なんでこんなものがあるんだ?」
アリサに問いかける。
「城にいてもつまらないからな!」
街に抜けるように作ったというのは本当だったのか。
リーシュがため息をつきながらこちらを見ている。
「必要最低限の電気、水は整備してある。ここを拠点に城へ潜入しよう」
「配置はどうしますか?」
リクが俺に尋ねる。
「俺とリーシュで潜入しよう。アリサが城に入って万が一にでも捕まったらそれこそ終わりだ。リクはアリサの護衛を頼めるか」
「わかりました」
「二人でいいのか?」
「最低限の人数の方が動きやすい、それに城内を知る人物がいないとまともに動けないしな」
「わかった。少し休んでからにするか?」
俺はアリサ、そしてリーシュの顔を見る。
「いや、リーシュには悪いがすぐ実行しよう。幸い夜で見張りも少ないかもしれない」
「はい!ロンド様」
リーシュは答える。
この二人、特にアリサは気丈に振る舞っているがどこか心配が顔に出ている。
リーシュには悪いがすぐに実行しよう。
「そこの本棚、一番下の赤い本をとってくれ」
アリサがリクに指示する。
「……赤い本ですか?」
そういって赤い本を抜くと本棚が左にずれて、人間が屈めば入れるくらいの小さな入口が現れた。
「すごいな……」
「そこから城内の書庫につながっている。書庫は私とリリアしか入らなかったからきっと監視の目も薄いと思うぞ」
俺とリーシュは準備を整え、小さな扉を開ける。
* * *
「……やはり連絡がいったか」
ロキの基地。
「宇宙船の発進記録がものの数秒でハートヒート星に送られた」
「……」
「こんな芸当、あいつらしかできねぇな」
ロキは話しかける。
「……」
黒いローブの男は寄りかかっていた壁を離れ扉へと向かう。
「行くのか?」
「……あぁ」
「どの程度まで支配されているかわからねぇ。簡単には行かねぇぞ」
「……それでもやるしかない」
「悪を罰する。それだけだ」
「ふん。まぁ精々死なねぇように。健闘を祈ってるぜ」
黒いローブの男はロキの拠点を後にする。
「悪を罰するねぇ……」
そう言うとロキは端末を操作し、誰かに連絡する。
* * *
「……」
壁の向こう側、少し離れたところから声がする。
「予想通り、見張り少ないですね」
「あぁ……そうだな」
「リリアが捕えられている場所わかるか?」
「地下に牢がありますが……」
重要人物がそんなわかりやすい場所にいる可能性は低いか……
「とりあえず情報がない。見つからないように牢屋を目指そう」
リーシュの案内で狭い小部屋で姿を隠しつつ城内を巡る。
わかったことは、護衛のほとんどがアルガンド星人の部隊だということだ。
それもかなりの数がいる。事前にキースの部隊の人数はそこまで多くないとアリサに聞いていたが、リリアの部隊との差を埋めるためにアルガンド星人の手を借りてこの作戦を実行したことがわかる。
「この階段の先が牢屋です。」
「……見張りがいるな」
「殺ってしまいますか?」
リーシュの目が輝いている。リーシュの戦いを見ていると根っからの戦闘好きなのがわかる。
「そこで何をしているんですか?」
後ろから声。振り向くとハートヒート星人が一人。
目の前の護衛に気を取られて、背後の気配に気づけなかった。
「……エリーヌ・フォリヌス」
「リーシュ・スカイテイナーか……そっちから来てくれるとはありがたい」
「侵入者か!」
護衛のアルガンド星人もこちらを見つけ走ってくる。
「…ちっ」
「リーシュそっちを頼めるか。俺は前のデカブツをやる」
「はい!わかりました」
槍を持って突進してくるアルガンド星人の攻撃をかわし、懐に入り一突き。
もう一人は盾のようなものを俺めがけて振り下ろす。
動きが単調なので何度かかわし、同じく首に一突き。
二体目の巨体が床に倒れる。
後ろを振り向くと、すでに決着はついていた。
床に倒れているエリーヌと呼ばれていたハートヒート星人の頭めがけてリーシュの巨大なハンマーが振り下ろされようとしていた。
「……リーシュ!」
ピタッとハンマーが止まる。
「そいつを連れて帰ろう。情報を聞き出すんだ」
「……はい!わかりました」
「この騒ぎで誰か来るかもしれない。先を急ごう」
俺はエリーヌを抱え、リーシュと牢屋へと向かう階段を降りる。
「……コロン!」
リーシュは牢屋に捕まっている人めがけて走り出す。
「……リーシュ!よかった…無事だったのね」
「コロン!みんなも……」
「あぁリリア様のおかげだ」
「リリア様?」
「ここに捕まっているのはリリア様の側近の一部、捕まることは事前に知らされ、覚悟していた者たちだ。リリア様は私たちがすぐには殺されないように先に動かれていたようだ」
「リリア様はここにはいないの?」
「ここにはいない。私たちもリリア様がどこにいるかわからない」
コロンが俺の方を見る。
「……あなたは?」
「あぁこちらは…」
「……こっちだ!」
遠くから声がする。
「リーシュ、ここを離れるぞ。人数をかけられるとまずい」
リーシュがコロンの方を見る。
「私たちは大丈夫よ、リーシュ。リリア様もきっと大丈夫」
「……わかった。もう少し待っててね」
「リーシュ!」
「はい。ロンド様」
急いで階段を駆け上がる。さっきよりも大人数の声がする。
「まずいな……」
リーシュが腰に刺している棒に手をかける。
その瞬間、ドーンと遠くで大きな音が。
「爆発だ!」
「そっちにいるのか!」
そう言うとアルガンド星人達は皆一斉に動き出した。
「……何が起こっている?」
「とりあえずここを出よう」
俺たちは城を後にする。
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