第13話 企て
「はぁ…はぁ…」
「あっちに逃げたぞ!」
ニーナは小部屋に入り姿を隠す。
「はぁーあの二人うまく逃げ切れたかな」
「それにしても牢屋を正面突破とは…相変わらずねリーシュ」
廊下に顔を出し状況を探る。
「あとはリリア様の場所か…」
「きっとあの場所だ……もう少しの辛抱です。リリア様」
* * *
「なんだったんだ、一体」
「みんな爆発があった方に行ってしまいました」
城内の爆発を機に城を脱出した。
「……結局リリア様の捕まっている場所はわかりませんでした」
落ち込んでいる様子のリーシュに俺は言う。
「そのためにこいつを連れてきたんだろ?」
ぐったりとしているエリーヌとかいうハートヒート星人を担ぎ拠点へ戻る。
「戻ったか!」
アリサが満面の笑みで出迎える。
「……一人増えた?」
「キース軍配下のエリーヌです」
「ボコして捕まえてきました」
リーシュが満面の笑みで答える。
「リク、悪いが少し見てくれるか。起こして情報を聞き出したい」
「わかりました!お任せください」
「リクお前医療もできるのか?」
アリサがリクに聞く。
「少しだけです。戦場で一時的な治療ができる程度の技術しかありませんよ」
「とりあえずそいつが目を覚ますまでわかったことを話そう」
俺とリーシュは城内でわかったことをアリサ、リクへ共有する。
敵の大まかな数、配置、牢屋での出来事。
そして爆発による脱出。
「……その爆発は、意図的なものかもしれません」
「おれもそう考えている。ここにいるメンツ以外に協力者がいる可能性がある」
「あと、俺らを探しているようだった」
「……僕たちがこちらに来ていることは把握されていましたか」
「ロキからか?」
「はい、ボスによると僕たちが乗った宇宙船の発進状況はすぐにこちらに伝わっていると連絡がありました」
やはりといったところか。まぁわかってはいたが……
「……んっ……はっ!」
「ロンド様、エリーヌが目を覚ましました!」
「くっ…リーシュ・スカイテイナー……それとロンド?」
「よぉ、エリーヌとか言ったか。気分はどうだ」
エリーヌは特殊な拘束具で腕と足を拘束されている。
「……くそっ」
「やめておけ。それは簡単には外せない。例えハラルド星人でもな」
ギロリと俺を睨むエリーヌ
「ロンド様、やはりこの状況がわかっていないバカを今すぐ殺しましょう」
「まぁ待てリーシュ、こいつは聞かなきゃいけないことがある」
目が笑っていないリーシュを止める。
「リーシュ、落ち着け!」
「はっ、アリサ様……申し訳ございません」
「……アリサ様も…」
「さてと、早速で悪いんだがいろいろと教えてもらおうか。まずはリリアがいる場所から……」
「お前達に話すことなどない!さっさと私を殺せ!」
俺はしゃがみじっとエリーヌのことを見つめる。
「……っ」
「あんまり乱暴なことはしたくないんだ。話してくれないか」
「私はキース様をお慕いしている。例えどんな状況においてもな」
「お前、心のどこかで何か引っ掛かっているだろ?」
「……!?」
「誰かを信じているその目、嫌いじゃないが心の奥底で本当にそれでいいのか自問自答しているんじゃねぇのか」
「……お前に何がわかる!そうだとしても私が今かここで何かを話すことはない」
「ふん、悪くねぇ」
俺は立ち上がりリクを呼ぶ。
「ロンドさん……本当にいいんですね」
「あぁ、構わねぇよ」
「何するつもりだロンド?」
「俺は女、子供をいたぶる趣味はねぇ。だが、そいつが俺の仲間を攻撃してくるやつであれば話は別だ」
「自白ってのは、やり方がいろいろあるんだぜ」
「見たくなかったらそっちの奥の部屋にでも行ってろ」
アリサとリーシュはギョッとこちらを見て生唾を飲んでいる。
リクは袋から注射器と特殊な小型瓶に入った液体を取り出す。
そしてその注射器を瓶に差し込み、中の液体を引き抜く。
「……くそ、何する気だ」
俺はリクから注射器を受け取り、エリーヌの首筋に向かって針を向ける。
その瞬間ドンという音とともに少女が入口の階段から転がり落ちて来た。
「いてて……」
そう言うとパッと立ち上がり部屋を見渡す。
「ニーナか!」
「……アリサ様」
もう一人、強力な仲間が増えようとしていた。
* * *
「まだ話さないのか?」
「……ドモン隊長…申し訳ございません」
「あの女、痛めつけても一言も喋らずただ一点を見つめるばかりです」
「食事は?」
ドモンは床に置いてある銀のトレーを見て話す。
「最低限の食事を与えているのですが……本人が全く口にしません」
「ドモン隊長…このままだと本当に死んでしまいます」
ドモンがリリアに近づいて話す。
「本当にこのまま何も話さず死ぬつもりか?」
「……」
ドモンはリリアの腹めがけて拳を振り抜く。
小さいリリアの体は壁に打ち付けられ、そしてぐったりと倒れる。
「……っ」
ドモンはリリアの顎をとり、目をみる。
「敵ながら尊敬するよ、リリア王女」
「おい!」
「はっ、今日はもういい。気を失ったとキース様に伝えておく」
「だが明日からはより強く尋問しろ」
「はっ!」
ドンと大きな音と部屋の中に衝撃が走る。
「何があった!?」
ドモンは部屋の外に出て兵士に聞く。
「アリサ邸の方で大きな爆発音です」
「何者かが侵入しました」
「何している。さっさと捕らえろ!」
「はっ」
ドモンは部屋を出る瞬間リリアの方を一瞬見る。
より一層その目に光が宿り、そしてわずかに口角が上がっていた。
* * *
「ニーナ!」
「アリサ様、リーシュも……」
「よかったご無事で……」
ニーナと呼ばれるハートヒート星人がこちらを見る。
「ニーナはリリアの側近だ。であっちが協力してくれているロンドとリク」
「……ロンド様、リク様……ありがとうございます」
ニーナは涙を浮かべている。
「どうしてここに?」
「ご説明します」
「私はリリア様の命により、この悪しき事が起こる前にひと足先に城を後にし、身を隠しておりました」
「……リリアが?」
「リリア様は『もうすぐ事が起こる。そして私はこの城から逃げるつもりはない。必ず援軍を連れて助けに戻ってくるであろう妹を待つ。その時に妹を助けて欲しい』と」
やはりここまでお見通しってことか。すごいな。
「リリアはどこにいる?牢屋にはいなかったと聞いた」
「リリア様はキース様邸の地下牢にいます」
「……そんなものがあるのか?」
「はい。キース様およびその側近しかその部屋の存在を知らないようです」
「そこのエリーヌも知っていたかと」
「……っ」
エリーヌはニーナを睨みつける。
「どうりで見つけようにも見つからないはずだ…」
「リリアは無事なのか?」
アリサは心配そうにニーナに聞く。
「…わかりません。ただキース様はリリア様の秘密を探っているようでした。おそらくその秘密を吐かせようとしている気がします」
秘密か……それがある以上、自分は殺されずに時間が稼げると踏んだか。
皆、苦しそうに下を見ている。
「悠長なことは言ってられないな。いくら気が強いとはいえそう何日も耐えられる環境ではないと考えた方がいい」
「はい、私もそう考えています。アリサ様達がこちらに戻ってきたとコルクから連絡がありました」
「コルク?」
リーシュが驚いた声を上げる。
「えぇコルクには事前に何かあったら連絡するよう伝えてありましたので……」
「そして何かないかと城の中を探っているうちに二人を見つけ後を追っておりました」
「もしかしてさっきの爆発は?」
「はい。私です。敵の目を逸らすために行いました」
「助かったよ。ありがとう」
「アリサ様、申し訳ないのですがアリサ様邸の一部を爆発させました」
「私の家!……全然気にしないぞ」
「……もしかして…」
「はい、可能性は低いですがリリア様にアリサ様が戻ったことが伝わるかもしれません」
王女が優秀だと部下も優秀か……
「なおさら、早めに動いた方が良さそうだ」
「これからリリア奪還作戦を言い渡す」
こうして俺はみんなに説明を始める。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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