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俺の親友が今日も悪役ムーブで世界を震え上がらせている件  作者: 矢満田太郎
第2章:国家レベルの誤解
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【第9話】 世界宗教の崩壊危機と、悪役の影が神域に届く

 黒城レイが“魔王を跪かせた”という衝撃は、世界会議を超えて――

 ついに **宗教国家エルディア** にまで届いていた。


 いや、届いたどころではない。


 宗教国家は、もはや“崩壊寸前”だった。


「黒城レイが魔王を跪かせた……?」

「いや、跪かせたどころか“押さえつけた”らしい……」

「そんな存在……神の敵か、神そのものか……」


 街中の神殿は大混乱だった。


 レイはそれを聞きながら、なぜか満足げに頷いていた。


「フッ……我が闇の名は、ついに神域にまで届いたか」


「いや、悪い意味でだよ!!」


 俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。


 そしてレイの後ろには、監視官セリスと聖女アリシアがついてくる。


「黒城レイ。今日、あなたは“宗教国家エルディア”に呼ばれているわ」


「宗教国家……?」


 レイは首をかしげた。


「俺は悪役だぞ? 神殿など関係ないだろう」


「関係あるのよ!! あなたのせいで宗教が崩壊しかけてるの!!」


「そうなのか?」


「そうよ!!」



 宗教国家エルディア――

 世界最大の神殿を持つ、信仰の中心地。


 だが――

 その神殿の前には、数万人の信者が集まっていた。


「黒城レイが来るぞ!!」

「神の敵か……神の化身か……」

「どちらにせよ、世界が変わる……!」


 いや、変わらないよ!!


 レイは満足げに頷いた。


「フッ……歓迎されているようだな」


「歓迎じゃないよ!! 完全に神話扱いだよ!!」



 神殿の大広間に入ると、

 そこには宗教国家の最高位―― **大神官ルシア** が立っていた。


 白いローブ、金の杖、神聖な光をまとった女性。

 その存在感は、まさに“神の代弁者”だった。


「黒城レイ……あなたが噂の“魔王を跪かせた男”ですね」


「フッ……悪役だが?」


「悪役って言うな!!」


 アリシアが叫ぶ。


 ルシアはレイを見つめ、震える声で言った。


「黒城レイ……

 あなたの存在は、我々の信仰体系を揺るがしています」


「揺るがしているのか?」


「揺るがしてるのよ!!」



 ルシアは杖を掲げた。


「黒城レイ。あなたの力……

 “神の奇跡”と同等、もしくはそれ以上です」


「フッ……悪役としては悪くないな」


「悪くないじゃないのよ!!」


 俺が叫ぶ。


「レイは魔王でも神でもない!!

 ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」


 だがルシアは震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、神の器……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 その時――

 神殿全体が光に包まれた。


 ――ゴォォォォォォン!!


「緊急事態!!」

「神託が降りた!!」

「神が黒城レイに言及した!!」


「は?」


 俺とレイとアリシアは同時に声を上げた。


 神殿の天井に巨大な魔法陣が浮かび上がり、

 そこから“声”が響いた。


『黒城レイ……』


「神の声だ!!」


「いや、なんで神がレイに話しかけるんだよ!!」


 神の声は続けた。


『黒城レイ……

 汝の力、我が神域を揺るがす……』


「揺るがしてるのか?」


「揺るがしてるのよ!!」


 アリシアが叫ぶ。


『ゆえに……試練を与える』


「試練……?」


 レイは首をかしげた。


「俺は悪役だぞ? 試練など必要ない」


『必要だ』


「必要なんだよ!!」


 俺が叫ぶ。



 神殿の床が光り、巨大な扉が現れた。


「これは……“神域ダンジョン”……!」


 ルシアが震えながら言った。


「黒城レイ。あなたに神が試練を与えたのです」


「フッ……悪役として、神の試練を受けるのも悪くない」


「悪くないじゃないのよ!!」



 レイは扉を開け、神域ダンジョンへ足を踏み入れた。


 中は光に満ち、神聖な空気が漂っていた。


 だが――

 その神聖な空気が、レイの黒い魔力に触れた瞬間。


 ――バチィィィィィン!!


 神域が悲鳴を上げた。


「な、なんだこの反応は……!?」

「神域が……黒城レイの魔力に耐えられていない……!」


「いや、なんでだよ!!」


 俺が叫ぶ。


 アリシアは震えながら言った。


「……黒城レイの魔力、神域の“神聖属性”を上回ってる……!」


「上回ってるのか?」


「上回ってるのよ!!」



 神域の奥に進むと、

 そこには巨大な光の存在―― **神獣セラフィム** がいた。


「黒城レイ……

 汝の力、試させてもらう……!」


「フッ……良いだろう」


「良くないよ!!」


 神獣が突進する。


 レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。


「――跪け」


 その瞬間、神獣が地面に叩きつけられた。


 神域全体が震え、光が乱れた。


「な……っ……!?

 神獣が……押さえつけられて……?」


 ルシアは震えながら言った。


「黒城レイ……

 あなたは……神をも超える存在……!」


「いや、違うだろ!!」


 俺が叫ぶ。


「レイは神じゃない!!

 ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」


 だが神獣は震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、神の器……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 神域が光に包まれ、神の声が響いた。


『黒城レイ……

 汝を“神域危険度SS級”と認定する』


「認定するなよ!!」


 俺が叫ぶ。


『そして……

 汝の監視役に、神殿直属の“神官長ルシア”を任命する』


「は?」


 俺とレイとアリシアは同時に声を上げた。


 ルシアが前に出る。


「黒城レイ……

 今日から私もあなたを監視します」


「フッ……神官に監視される悪役か。悪くない」


「悪くないじゃないのよ!!」



 こうして――

**黒城レイは“神をも超える危険存在”として、

 宗教国家からも監視されることになった。**


 もちろん本人は、まったく理解していない。


 そして俺は――

またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。



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