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俺の親友が今日も悪役ムーブで世界を震え上がらせている件  作者: 矢満田太郎
第2章:国家レベルの誤解
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【第10話】 冒険者ギルド総本部の崩壊危機と、悪役の影が英雄たちを震わせる

 黒城レイが“神域の神獣を跪かせた”という衝撃は、宗教国家を超えて――

 ついに **冒険者ギルド総本部** にまで届いていた。


 いや、届いたどころではない。


 冒険者ギルドは、もはや“崩壊寸前”だった。


「黒城レイが神獣を押さえつけた……?」

「いや、押さえつけたどころか“神域を揺らした”らしい……」

「そんな存在……魔王でも神でもない……何なんだ……?」


 ギルドの受付嬢たちは震え、

 S級冒険者たちは武器を構え、

 ギルドマスターは頭を抱えていた。


 レイはそれを聞きながら、なぜか満足げに頷いていた。


「フッ……我が闇の名は、ついに冒険者の世界にも届いたか」


「いや、悪い意味でだよ!!」


 俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。


 そしてレイの後ろには、監視官セリス、聖女アリシア、神官長ルシアがついてくる。


「黒城レイ。今日、あなたは“冒険者ギルド総本部”に呼ばれているわ」


「冒険者ギルド……?」


 レイは首をかしげた。


「俺は悪役だぞ? 冒険者など関係ないだろう」


「関係あるのよ!! あなたのせいでギルドが崩壊しかけてるの!!」


「そうなのか?」


「そうよ!!」



 冒険者ギルド総本部――

 世界中の冒険者が集まる巨大な建物。


 だが――

 その前には数千人の冒険者が集まっていた。


「黒城レイが来るぞ!!」

「魔王を跪かせた男……」

「いや、神獣を押さえつけた男だ……」

「どっちにしろ世界最強だろ……!」


 いや、違うよ!!


 レイは満足げに頷いた。


「フッ……歓迎されているようだな」


「歓迎じゃないよ!! 完全に災害扱いだよ!!」



 ギルドの大広間に入ると、

 そこには世界最強の冒険者たちが並んでいた。


 S級冒険者、英雄、伝説級の戦士たち。


 そして中央には、ギルドマスター・ガルドが立っていた。


 筋骨隆々、巨大な斧を背負った男。

 その存在感は、まさに“人類最強”だった。


「黒城レイ……貴様が噂の“神獣を跪かせた男”か」


「フッ……悪役だが?」


「悪役って言うな!!」


 アリシアが叫ぶ。


 ガルドはレイを睨みつけた。


「黒城レイ。貴様が神獣を押さえつけたというのは本当か?」


「押さえつけたというより……少し跪かせただけだが?」


「それが問題なんだよ!!」


 S級冒険者たちがざわめく。


「神獣を跪かせるなんて……」

「人間の領域じゃない……」

「やはり魔王候補……いや、魔王そのもの……」


 レイは腕を組み、堂々と立っていた。


「……ユウ。俺はどうすればいい?」


「どうすればって……誤解を解くしかないだろ!!」


「誤解……?」


「そうだよ!! お前は魔王でも神でもないって言え!!」


 レイは少し考えたあと、ギルドに向かって言った。


「俺は魔王でも神でもない」


 ギルドが静まり返る。


「……では、何者だ?」


 レイは胸を張って答えた。


「悪役だ」


「言うなって言ってるだろおおおおお!!」


 ギルドが大混乱に陥った。


「悪役……!?」

「魔王より危険では……?」

「いや、悪役の方がタチが悪い……!」


 セリスが絶望した顔で言った。


「黒城レイ……あなた、世界を滅ぼす気……?」


「そんなつもりはない。俺は悪役ロールを楽しんでいるだけだ」


「それが一番危険なんだよ!!」



 ガルドは巨大な斧を構えた。


「黒城レイ……

 貴様の力、確かめさせてもらう!!」


「フッ……良いだろう」


「良くないよ!!」


 ガルドが突進する。


 その速度は、魔王すら上回っていた。


「速い……!」

「これが人類最強……!」

「黒城レイでも避けられないんじゃ……?」


 いや、避ける必要ないんだよな……


 レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。


「――跪け」


 その瞬間、ガルドの身体が地面に叩きつけられた。


 ギルド全体が震え、床が砕けた。


「な……っ……!?

 わ、私が……押さえつけられて……?」


 ガルドは震えながらレイを見上げた。


「貴様……本当に……魔王……?」


「違う。悪役だ」


「悪役で人類最強を押さえつけるな!!」


 アリシアが叫んだ。



 ガルドは立ち上がり、深々と頭を下げた。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我ら冒険者ギルドが忠誠を誓うべき存在……!」


「誓うなよ!!」


 俺とアリシアが同時に叫んだ。


 だがS級冒険者たちは震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、人類の頂点……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 その時――

 ギルド全域に警報が鳴り響いた。


 ――ゴォォォォォォン!!


「緊急事態!!」

「魔王軍がギルドに接近!!」

「黒城レイを奪還しに来た可能性あり!!」


「いや、奪還ってなんだよ!!」


 俺が叫ぶ。


 アリシアは魔力探知器を見て震えた。


「……これは……魔王軍の“幹部級”が複数……!

 しかも……魔王本人の魔力反応まで……!」


「またかよ!!」



 ギルドの外が黒い霧に包まれた。


 その中心に、魔王が現れた。


「黒城レイ……貴様を迎えに来た」


「迎えに来るなよ!!」


 俺が叫ぶ。


 魔王はレイを見つめ、震える声で言った。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我が後継者……!」


「違う!!」


 アリシアが叫ぶ。


「黒城レイは魔王じゃない!!

 ただの……ただの……」


 アリシアは言葉に詰まった。


「……ただの何?」


 俺が代わりに言った。


「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」


 魔王は震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、魔王の器……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 こうして――

**黒城レイは“人類最強と魔王を跪かせた存在”として、

 冒険者ギルドからも“頂点”として扱われることになった。**


 もちろん本人は、まったく理解していない。


 そして俺は――

またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。



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