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俺の親友が今日も悪役ムーブで世界を震え上がらせている件  作者: 矢満田太郎
第2章:国家レベルの誤解
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【第8話】 世界会議の勘違いと、悪役の影が国境を越える

 黒城レイが“魔王を跪かせた”という噂は、翌朝には世界中に広がっていた。


 いや、噂というより――

 もはや“世界規模の危険情報”として扱われていた。


「黒城レイ……魔王を一瞬で沈めたらしいぞ」

「いや、沈めたというより“跪かせた”らしい……」

「どっちにしろ魔王級どころじゃないだろ……」


 学園の廊下は、昨日以上に騒がしかった。


 レイはそれを聞きながら、なぜか満足げに頷いていた。


「フッ……我が闇の名は、ついに世界へと響き渡ったか」


「いや、悪い意味でだよ!!」


 俺――白峰ユウは、朝からツッコミで喉が枯れそうだった。


 そしてレイの後ろには、監視官セリスと聖女アリシアがついてくる。


「黒城レイ。今日、あなたは“世界会議”に呼ばれているわ」


「世界会議……?」


 レイは首をかしげた。


「俺は悪役だぞ? 世界会議など関係ないだろう」


「関係あるのよ!! あなたのせいで世界が混乱してるの!!」


「そうなのか?」


「そうよ!!」



 王都中央区――世界会議の会場。


 巨大な塔、魔力障壁、そして空を飛ぶ監視魔導兵。


 だが――

 その全てが、レイを警戒していた。


「黒城レイが来たぞ!!」

「魔力障壁を最大出力にしろ!!」

「いや、逆に刺激したら危険だ!!」

「どうすればいいんだ……!」


 いや、どうすればって……普通に迎えろよ!!


 レイは満足げに頷いた。


「フッ……歓迎されているようだな」


「歓迎じゃないよ!! 完全に敵扱いだよ!!」



 世界会議の大広間に入ると、

 そこには各国の代表者たちがずらりと並んでいた。


 隣国の将軍、砂漠国家の王、海洋国家の提督、宗教国家の教皇――

 世界のトップが勢揃いしていた。


 そして中央には、世界会議議長が座っていた。


「黒城レイ……貴様が噂の“魔王を跪かせた男”か」


「フッ……悪役だが?」


「悪役って言うな!!」


 アリシアが叫ぶ。


 議長はレイを睨みつけた。


「黒城レイ。貴様が魔王を跪かせたというのは本当か?」


「跪かせたというより……少し押さえつけただけだが?」


「それが問題なんだよ!!」


 各国代表がざわめく。


「魔王を押さえつけるなど……」

「人間の領域ではない……」

「やはり魔王候補……いや、魔王そのもの……」


 レイは腕を組み、堂々と立っていた。


「……ユウ。俺はどうすればいい?」


「どうすればって……誤解を解くしかないだろ!!」


「誤解……?」


「そうだよ!! お前は魔王じゃないって言え!!」


 レイは少し考えたあと、世界会議に向かって言った。


「俺は魔王ではない」


 会議が静まり返る。


「……では、何者だ?」


 レイは胸を張って答えた。


「悪役だ」


「言うなって言ってるだろおおおおお!!」


 世界会議が大混乱に陥った。


「悪役……!?」

「魔王より危険では……?」

「いや、悪役の方がタチが悪い……!」


 セリスが絶望した顔で言った。


「黒城レイ……あなた、世界を滅ぼす気……?」


「そんなつもりはない。俺は悪役ロールを楽しんでいるだけだ」


「それが一番危険なんだよ!!」



 議長が震える声で言った。


「黒城レイ……

 貴様を“世界危険度S級”と認定する!!」


「認定するなよ!!」


 俺が叫ぶ。


 だが議長は続けた。


「そして……

 貴様の監視役には、世界会議直属の“七賢者”を任命する!!」


「は?」


 俺とレイとアリシアは同時に声を上げた。


 七賢者の一人、白髪の老人が前に出る。


「黒城レイ……

 あなたの力、我々が監視する」


「フッ……賢者に監視される悪役か。悪くない」


「悪くないじゃないのよ!!」



 その時――

 世界全域に警報が鳴り響いた。


 ――ゴォォォォォォン!!


「緊急事態!!」

「魔王軍が世界会議に接近!!」

「黒城レイを奪還しに来た可能性あり!!」


「いや、奪還ってなんだよ!!」


 俺が叫ぶ。


 アリシアは魔力探知器を見て震えた。


「……これは……魔王軍の“幹部級”が複数……!

 しかも……魔王本人の魔力反応まで……!」


「またかよ!!」



 世界会議の外が黒い霧に包まれた。


 その中心に、魔王が現れた。


「黒城レイ……貴様を迎えに来た」


「迎えに来るなよ!!」


 俺が叫ぶ。


 魔王はレイを見つめ、震える声で言った。


「黒城レイ……

 貴様こそ、我が後継者……!」


「違う!!」


 アリシアが叫ぶ。


「黒城レイは魔王じゃない!!

 ただの……ただの……」


 アリシアは言葉に詰まった。


「……ただの何?」


 俺が代わりに言った。


「ただの悪役ロールプレイヤーだよ!!」


 魔王は震えながら言った。


「……悪役ロールでこの力……

 やはりあなたこそ、魔王の器……!」


「いや、なんでそうなるんだよ!!」



 魔王が突進する。


 レイは微動だにせず、ただ指を鳴らした。


「――跪け」


 その瞬間、魔王の身体が地面に叩きつけられた。


 世界会議の床が砕け、建物全体が震えた。


「な……っ……!?

 わ、私が……押さえつけられて……?」


 魔王は震えながらレイを見上げた。


「貴様……本当に……魔王……?」


「違う。悪役だ」


「悪役で魔王を押さえつけるな!!」


 アリシアが叫んだ。



 こうして――

**黒城レイは“世界危険度S級の魔王候補”として、

 世界会議と魔王軍の両方から“頂点”として扱われることになった。**


 もちろん本人は、まったく理解していない。


 そして俺は――

またしてもツッコミ役として地獄を見るのだった。



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